第六十一章 電話を切る
十二月に入ると、朝の冷え込みが強くなった。
周は朝食を食べたあと、しばらく窓の外を見ていた。
最近、知り合いから頼まれていた仕事のことで、少し面倒なことが起きていた。
まだ解決していない。
ただ、いくつかの手続きが予定どおり進まなくなっただけだった。
周自身は、まだ何通りか方法があると思っていた。
昼過ぎ、携帯電話が鳴った。
父親からだった。
周は電話に出た。
「最近、どうだ?」
「まだ同じことをやってるよ」
「どうなった?」
周は現在の状況を説明した。
どこまで進んでいるのか。
どこで止まっているのか。
誰かに相談したが、まだ返事がないこと。
話しているうちに、父親の声が少しずつ強くなった。
「だから言っただろ」
周は黙っていた。
「そもそも、なんでそんなところに行ったんだ」
「今は、その話じゃないよ」
「じゃあ何の話なんだ」
「今どうなっているかを話してるだけだよ」
父親はしばらく黙った。
それから、
「そんなことになるくらいなら、最初からやめておけばよかったんだ」
と言った。
周は時計を見た。
まだ話すことはできた。
しかし、もう話す必要はないと思った。
「今日はもういいよ」
「お前はいつも――」
周は電話を切った。
しばらく携帯電話を机の上に置いた。
数分後、また電話が鳴った。
周は画面を見た。
出なかった。
もう一度鳴った。
それも出なかった。
三度目も同じだった。
劉が台所から出てきた。
「誰?」
「父さん」
「出ないの?」
「今はいい」
「何かあった?」
「話しても、今は何も変わらないから」
劉はそれ以上聞かなかった。
周は携帯電話を伏せた。
しばらくして、父親から短いメッセージが届いた。
周は画面を開いたが、すぐには返信しなかった。
怒っているわけではなかった。
ただ、今返事をすれば、また同じ話になる気がした。
問題そのものは、まだそこにある。
それは周が自分で考えて、必要なところに連絡して、少しずつ処理していくしかない。
父親が心配することまで、周が止めることはできない。
けれど、その心配を全部受け取らなければならないわけでもなかった。
夜になった。
周は食事のあと、携帯電話を手に取った。
父親からの着信は、その後なかった。
周は少し考えてから、短いメッセージを送った。
「今のところ、自分で処理している。何か必要になったら連絡する」
送信した。
それだけだった。
劉が隣でテレビを見ていた。
「もう大丈夫?」
「分からない」
「そう」
劉はテレビに目を戻した。
しばらくすると、周の携帯電話が一度だけ震えた。
父親からだった。
「分かった」
周はその画面を見て、携帯電話を机に置いた。
その夜は、それ以上連絡しなかった。
次の日の朝、周はいつもどおり起きた。
米を洗い、湯を沸かし、窓を開けた。
昨日の問題は、まだ解決していない。
父親との話も、完全に終わったわけではない。
それでも、一つの電話を切ったことで、二つあった問題のうち一つは、それ以上大きくならなかった。
周はそれを特別なことだとは思わなかった。
電話に出る日もある。
出ない日もある。
話せるときには話す。
話しても何も進まないときは、いったん離れる。
人との関係は、それだけで切れるものでもなかった。
周は湯気の立つ茶を一口飲んだ。
そして、昨日途中で止まっていた問題の続きを考え始めた。




