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「女子高生がコンビニで買い物してたら、いきなり警察官に逮捕されて、後ろ手に手錠を掛けられました ~ 私は何も知らないし、何もやってない!」  作者: 白河・DG・夜舟
20XX年 9月5日

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9/23

20XX年 9月5日 反抗的な女囚を引き続き監視下に置く

 ひどい夢を見た気がする。

 でも、何の夢なのか、思い出せない。

 それでも、朝が来て、刑務所の職員に起こされるのだから、眠ったことに変りはないのだと思う。


 独房内で、シリアルに牛乳を掛けただけの朝食を、直接、口を付けて食べた後で。


挿絵(By みてみん)


 女子高生は刑務所の職員に連れられて、4人部屋の集団房に連行されていった。

 拘束具は、外して貰えなかった。

 刑務所側としては、再び暴れ出す可能性があるので、まだ外すわけには行かない。

 だが、そんな弱り切った彼女を、部屋の囚人たちは値踏みし始めている。

 リーダー的な、30代の、ロングボブの、目つきがとても鋭い女性。

 20代位の、とても体格の良いセミロングの女性。

 そして40代位の、ショートカットでとても小柄な女性。

 彼女たちは、何も言わない。

 連行してきた刑務官も、何も、注意する事すらなかった。

 ただ、やっかいものを、部屋の中に入れただけ。

 この人たちは、昨日の騒ぎの時にも、いたと思う。

 女子高生は、そう認識していた。

 その張本人が、手を、腕を、拘束されたままで、こうしてやって来た。

 私は、受け入れて貰えるのだろうか?

 女子高生は、内心の不安を、うつむいて隠す位しか、出来なかった。


     ~ ・ ~


挿絵(By みてみん)


 職員が立ち去ったのを確認した後。

 大柄な女性が、女子高生の拘束具を、ベルトごと掴んだ。

 少し吊るすように持ち上げられて、彼女は身動きが取れないと感じた。

 その目の前で、目つきの鋭い30代位の女性が、迫力のある声で尋ねた。

「アンタ、一体何をやらかしたんだい?」

 女子高生は、怖れに囚われた。

 助けを求めたくても、ここは密室。

 しかも、入口には40代位の小柄な女性が見張りに立っている。

 警察の取調室は、法が、秩序があった。

 最低限の配慮を、感じさせてくれた。

 でも、ここはまた別の法が支配している。

 暴力と、恐喝という、法が。

「わ、私は、何も知りません。何もやってないんです……」

 声が震えそうになるのを何とか堪えて、女子高生は本心を声に出した。

「何もしていないのに、こんな所に寄こされる訳がないじゃないか」

 目つきの鋭い女性の声は、あくまで厳しく、胸に突き刺してくるかのようだった。

「本当に、何も知らないんです。信じてください……」

 目つきの鋭い女性は、女子高生の頬を軽く叩く。

「ねんねじゃないんだ。何も知らないだなんて、アタシを舐めてるのかい?」

 そのまま、平手打ちされるのではないかと、女子高生は震えた。

 でも、知らないものは知らないのだ。

 でも、やってないものは、やってないのだ。

 答えられないものは、答えられない。

「何も知らないし、何もやってない、です……」

 ずっと堪えていた涙が、限界を超えて溢れてくる。

「泣いても無駄だよ。そんなものにほだされちまうような人生を、アタシは送ってないんだよ」

 目つきの鋭さは、全く変わらない。

 でも、涙の向こう側で、この人は責任感が強い人なんだと、女子高生はそう思った。


     ~ ・ ~


挿絵(By みてみん)


 囚人たちには、それぞれに軽作業が割り当てられている。

 無論、両手が使えない女子高生に出来る事は、ほとんどない。

 ただ、何もしていないだろうという、嫉妬のようなものから、彼女たちはそれとなく守ってくれた。

 夕食も、惨めな思いをしながら、直接口を付けて食べている女子高生が、好奇の視線に晒されないように、さりげなく周囲で壁になってくれた。

 食べさせてくれるわけでは無い。

 恐らく、そうした行為は禁止されているのだろう。

 両手を後ろで拘束しているというのは、そういう懲罰の意味があるのだろうから。

 それでも、さりげなくではあるけれど、人間味を感じることは出来た。

 そんな彼女に、目つきの鋭いあの女性は「刑務所じゃ、反抗してもいい事なんか何も無いんだよ」と、 言い聞かせるように話してくれた。

 でも。

 でも、私は何も知らない。

 でも、私は何もやってない。


     ~ ・ ~


挿絵(By みてみん)


 不自由な彼女のために、下のベットが空けられた。

「お前はそこで寝な」

 そう、目つきの鋭い女性が言ってきた。他の2人は、何も言わなかった。

 緊張感が抜けて、そのまま女子高生は横になった。

両腕を縛られたまま、就寝するのは、だんだん慣れてきたのだと思う。


 他人と同じ部屋で眠るという不安感は、なぜか感じなかった。

 理由など分からないけど、この人たちに受け入れて貰えている。そう思えた。

 きっと、もう少しすれば、何もかも思い出せる。

 思い出せる……



                    (つづく)


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