20XX年 9月6日 MRI室内 彼女の見た夢
わざと落とした、うす暗い照明の中で、人狼判定AIからのホログラムが青白く浮かんでいる。
ドン、ドン、ドン……
低く唸るドラム音。この機械、かなり凝った造りよね。
Gqhe子が、パパの会社で開発中の試作品なの、と持ってきたゲーム機。
思ってた以上に、面白かった。
人狼ゲームを、4人でやっても面白くないでしょ?
そういった私に指を振って。
「これはプレイヤー1人につき、2人の仮想人格を扱えるのだよん」
そんな事を言ってきたので、興味が湧いた。
人狼は、村人たちの会議で、誰か一人を人狼として吊るす。
吊るされた人は、もうゲームには参加できず、成り行きを見守るしかない。
まあ、それはそれで良いのだけど、ゲーム序盤で吊られてしまうと、面白くないのは確かだ。
でも、このルールなら、いわばスペアがいるんだから、長くゲームに留まれる。
tndro美と、妹のRroookoooと一緒に、私はゲームに参加した。
私は村人陣営。職業は、狩人。
プレイヤーは、役職と市民の二人を操作することが出来る。
人狼陣営の場合は、市民ではなく狂人という事になる。
仮想人格としてカードリーダーに読み込ませた時点で、AIがプレイヤーの意向にそって性格を決め、演じるらしい。
なので、議論はプレイヤーも加われるので、最初は計12人で参加しているかのように遊べるわけだ。
面白い。すごく面白い。
人狼が誰かを推理しつつ、読み込ませた仮想プレイヤーの行動もケアしてあげなければならない。
仮想狩人さん、ちゃんと大事な人を守ってあげてね……
ドキドキしながら、状況を見守っていると……
急に、人狼判定AIが、強く光った!
「きゃぁっ!」
「な、なに……?」
「ナニコレナニコレ!」
「えぇえっ?」
彼女たちの叫び声が、広いリビングに響いた。
そして、誰も、いなくなった。




