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20XX年 9月6日 精神病院に移送中 彼女の見た夢
アイマスクで視界が覆われている、女子高生。
適温の車内。高級車の上質なサスペンションによる、穏やかな揺れ。
左右に男性から挟まれたまま座る事にも、慣れてきたのかもしれない。
女子高生は、いつの間にか眠ってしまっていた。
~ ・ ~
私がいる。
キャミソール姿で、立ち膝で座っている、私がいる。
あの大きな人狼が、妹を家まで送り届けるまでの間。
わたしは、こうして待ち続けている。
人狼が契約を破った場合、私は自由の身になれる。
人狼が契約を成した場合、私は人狼の花嫁になる。
人狼の、花嫁。
私は彼を受け容れ、この世界において、彼の拠り所となる。
私は彼の容れ物となり、この世界において、彼の其の者になる。
私の肉と血は、彼のもの。
私の心と魂は、彼のもの。
私は、どこにもいなくなる。
私の外見と、記憶と、存在の痕跡を残したままで。
でも、私は、私。
私は、私のものだ。
そのことを、私は、知っている。




