20XX年 9月6日 女囚に精神鑑定を施す
集団房で朝の点呼を受けた後、女子高生は看守たちに更衣室に連れて行かれた。
女性職員たちによって、背中の拘束具が解かれる。
保管されていたブレザーの制服を見て、女子高生の胸が躍った。
ああ、ついに、私の無罪が証明されたんだ!
私は何も知らない。
私は何もやってない。
その事が、ようやく分かってもらえたんだ!
晴れ晴れとした気持ちで、女子高生は久しぶりのブレザー服に袖を通していった。
男性の看守が、手錠を掛けるので腕を後ろに回すようにと言ってきた。
女子高生の顔に、不安の色がはしる。
しかし、周囲にはあの女性職員が3人。
正面には、背の高い男性の看守。
ブレザー服を身に付けたとはいえ、女子高生に逆らう気持ちは起きなかった。
今だけ、きっと、今だけ。
そう、自分に言い聞かせて。
彼女は素直に両手を後ろに組んだ。
その手首に、手錠が蛇のように絡みつき、噛みつかれるような金属音が響いた。
看守に、正面玄関まで連れて行かれると。
黒塗りのハッチバックがすでに待ち構えており、二人の背広を着た男たちが彼女を出迎えてきた。
女子高生はそのまま引き渡され、後部座席に乗り込むように促される。
男たちに左右を挟まれ、アイマスクを示された。
これを付けろ、ということ?
彼女の考えていた通りだった。
両手の使えない彼女に、単に次に何を行うのか、示すだけであった。
それでも、無理にされるよりは、まだ良い。
彼女はこくりと頷き、男たちに身を任せた。
すぐに視界が暗くなり、アイマスクの感触が顔を包む。
車が動き出し、しばらくの間、彼女は穏やかな揺れに身を任せていた。
「あの、どこに連れて行かれるんですか?」
女子高生は尋ねてみたが、返事は無かった。
男たちは、何も話す気は無いようだ。
そしてそれは、これまで彼女が、何を聞かれても、何も知らない、何もやっていないと答え続けたことと、全く同じだった。
なるように、なるしかない。
そう、彼女は思い込むしかなかった。
刑務所での経験が、生活が、彼女から色々なものをそぎ落としていった事を、彼女は自覚していなかった。




