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宅建見習い栞の人情事件簿 〜転生したら昭和の不動産屋だったので、巻き込まれているうちに宅建過去問が解けるようになりました〜  作者: 条文小説
〈権利関係 配点14点/50点〉 時効

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[消滅時効]法理編 栞とお勉強

挿絵(By みてみん)


 夕方の事務所で、私はノートを開きました。


 今日の事件を、もう一度、最初から整理してみる。


 森田さんのところに届いた、十一年前の造成工事分担金の請求書。


 請求額は二百八十万円。


 そして相手は、


「払わなければ家まで危ない」


 という雰囲気で迫ってきた。


 でも、実際には――。


 造成工事分担金の「債権」と、森田さんが持っている土地建物の「所有権」は、まったく別の権利だった。


「……ここからだな」


 私はノートの一番上に、大きく書きました。


 消滅時効を考える順番


 ① 何の権利か

 ② いつから権利を行使できるか

 ③ 何年間行使しなかったか


「三つだけか」


 後ろから声がした。


 振り返らなくても分かります。


 真壁さんです。


「また覗いてます?」


「見える場所で書く方が悪い」


「では真壁さん、問題です」


「いきなりかよ」


「森田さんの土地の所有権は、二十年間使わなければ消えますか?」


「今日やっただろ」


「復習です」


 真壁さんは少し考えたふりをして、


「消えない」


 と答えました。


「正解です」


「賞品」


「ありません」


「教師として最低だな」


 私は無視して、ノートに書きました。


 ――所有権は、消滅時効にかからない。


「まずここ、大事です」


「そんなに出るのか?」


「出ます」


 私は赤鉛筆で囲みました。


 所有権は、長期間行使しなくても、それだけで消滅することはありません。


「例えば?」


「山を二十年間見に行かなかった」


「うん」


「だから所有権消滅」


「しない」


「空き地を二十年間使わなかった」


「それも消えない」


「押し入れの奥に二十年間、壺を入れていた」


「それもか?」


「所有権は消えません」


「じゃあ何が時効で消えるんだ?」


「典型的なのは、債権です」


 私は書きました。


 代金を払え。


 貸した金を返せ。


 損害を賠償しろ。


 そういう「相手に何かを請求する権利」は、一定期間行使しないと消滅時効の問題になります。


「なるほどな」


「なので試験問題で」


 私は鉛筆を持ち直しました。


 『所有権は二十年間行使しなければ消滅する』


 と書いてあったら――。


「誤り」


「即答してください」


「今しただろ」


 私は次のページをめくりました。


「では、本題です」


「一般の債権だな」


「はい」


 改正民法では、一般的な債権について、大きく二つの期間を見ます。


 私はノートに太く書きました。


 一般の債権


 ① 債権者が「権利を行使することができる」と知った時から五年


 ② 権利を行使することができる時から十年


 いずれか早い方で、消滅時効が完成する。


「待て」


 真壁さんがすぐ口を挟みました。


「五年と十年、両方あるのか?」


「あります」


「じゃあ十五年?」


「足さないでください」


「違うのか」


「違います」


 私は大きくバツを書きました。


 五年+十年=十五年


 ではありません。


「二つの時計が、同時に動くことがあるんです」


「二つの時計?」


「はい」


 私はノートに二つの時計を書きました。


 一つ目。


 知った時から五年。


 二つ目。


 権利を行使できる時から十年。


「そして」


 私は二つの時計の間に、


 先にゴールした方


 と書きました。


「どちらか早い方が来たら、時効完成の問題になる」


「なるほど」


 真壁さんが顎をさすります。


「じゃあ普通の売掛金なんかだと?」


「債権者は、自分が請求できることを最初から知っていますよね」


「まあな」


「そうすると、五年の方が先に来ることが多いです」


「じゃあ十年は何のためにある?」


「債権者が権利を行使できることを知らない場合でも、いつまでも権利が残り続けないようにするためです」


 私は書きました。


 主観的起算点 → 知った時から五年


 客観的起算点 → 権利を行使できる時から十年


「……主観的?」


「試験勉強上、そう整理すると分かりやすいです」


「難しい言葉増やすな」


「では」


 私は書き直しました。


 本人が知った時計 → 五年


 法律上、請求できる時計 → 十年


「そっちの方が分かる」


「真壁さん向け翻訳です」


「喧嘩売ってる?」


「じゃあ今日の森田さんは?」


「そこです」


 私は今日の契約書を思い出しました。


 造成工事分担金。


 支払期限。


 十一年前の十二月三十一日。


「支払期限が決まっていました」


「確定期限付きだな」


「はい」


 確定期限のある債権は、


 その期限が到来した時から権利を行使できます。


 つまり、


 十二月三十一日までに払ってください。


 という債権なら、その期限を過ぎれば請求できる。


「そこで十年の時計が動き始める?」


「そう考えます」


「じゃあ十一年間何もしてなかったら……」


「消滅時効の問題がかなり強く出てきます」


 私はそこでペンを止めました。


「ただし」


「出たな」


「何です?」


「お前が『ただし』って言うと、大体話が面倒になる」


「法律ですから」


「それ便利だな」


 私は続けました。


 時効は、単にカレンダーだけ見ればいいわけではありません。


 途中で裁判を起こしたり、債務者が債務を認めたりすれば、時効の進行に影響することがあります。


「今日、森田さんに『一部払ったことはないですか』って聞いたのはそれか」


「はい」


「『そのうち払います』って言ったことがないか、も?」


「そうです」


「請求書が一回来ただけなら?」


「そこは、何をしたかによって扱いが違います」


 私はノートの端に、


 完成猶予・更新は別テーマ


 と書きました。


「ここを全部やると、今日のノートが一冊になります」


「もう十分厚いぞ」


「次回です」


「連載ものかよ」


 私は起算点を整理しました。


 ここは宅建で地味にいやらしい。


 数字を覚えても、


 どこから数えるのかを間違えれば終わりです。


 ノートに表を作ります。


 確定期限のある債権

 → 期限到来時


 不確定期限のある債権

 → 期限到来時


 期限の定めのない債権

 → 原則として債権成立時から権利行使可能


 停止条件付き債権

 → 条件成就時


 債務不履行による損害賠償請求権

 → 本来の債務を履行請求できる時を基準に考える


 契約解除による原状回復請求権

 → 解除によって原状回復請求権が発生し、行使可能となった時


「……多いな」


「だから暗記だけだと嫌になるんですよ」


「覚え方あるのか?」


「あります」


 私は表の下に書きました。


 時効の時計は、


 「請求していいですよ」


 となった時から動き始める。


「雑だな」


「でも分かりやすいでしょう?」


「まあな」


「期限がまだ来てないのに、『払え』とは言えません」


「うん」


「条件がまだ成就していないのに、『払え』とも言えません」


「そうだな」


「だから、権利を行使できる状態になってから時計を見る」


「なるほど」


 真壁さんが頷きました。


「先に『何年か』じゃなくて、『いつ請求できるようになったか』を見るんだな」


「その通りです」


 私はそこに大きく丸をつけました。


 超重要。


 消滅時効は、


 期間より先に起算点を見る。


「じゃあ」


 真壁さんが椅子を引き寄せました。


「全部五年と十年でいいのか?」


「いい質問です」


「珍しく褒めたな」


「残念ながら、例外があります」


「やっぱりな」


 まず――。


 占有回収の訴え。


「誰かに土地を占拠された話か?」


「もっと正確には、占有を奪われた人が、その占有を取り戻すための訴えです」


 私は書きました。


 占有回収の訴え


 占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。


「一年?」


「はい」


「短いな」


「占有関係は、現状を早く安定させる必要がありますから」


「十年前に『昔ここ俺が使ってた』とか言い出されたら困るしな」


「そういう感覚です」


 私は大きく、


 一年


 と囲みました。


「ここは五年・十年と混ぜない」


「次は、不法行為です」


「人の物を壊したとか?」


「そうです」


 例えば、


 他人の車をぶつけて壊した。


 塀を壊した。


 建物を壊した。


 そういう物損。


 私はノートに書きます。


 不法行為による損害賠償請求権――物損


 ① 被害者または法定代理人が、「損害」と「加害者」を知った時から三年


 ② 不法行為の時から二十年


「今度は三年と二十年か」


「はい」


「五年十年じゃない」


「別枠です」


「数字が渋滞してきたな」


「宅建ですから」


「それで全部済ますな」


 私は例を出しました。


「真壁さんが私の自転車を壊したとします」


「なんで俺なんだ」


「加害者の顔に向いてるので」


「お前今日強いな」


「私はすぐ真壁さんが壊したと知りました」


「うん」


「そこから三年間、何もしなかった」


「時効の問題になる」


「そうです」


「じゃあ、犯人が分からなかったら?」


「そこで二十年の方が出てきます」


 私は矢印を書きました。


 誰が壊したか分からない。


 でも、不法行為から二十年たった。


 → 原則として請求できなくなる。


「つまり、三年は『知ってから』」


「はい」


「二十年は『事件そのものから』」


「そうです」


 真壁さんが少し感心したように頷いた。


「この二本立て、一般債権の五年十年と似てるな」


「よく気づきました」


「また賞品なしだろ」


「ありません」


「でも」


 私は少し声を変えました。


「人の命や身体が傷つけられた場合は、物損より長く保護されます」


 真壁さんの顔から笑いが少し消えました。


 私は書きます。


 人の生命・身体を害する不法行為


 ① 損害および加害者を知った時から五年


 ② 不法行為の時から二十年


「物なら三年」


「はい」


「人なら五年」


「はい」


「二十年は同じ」


「そう覚えると分かりやすいです」


 私は横に並べました。


 物損 → 三年・二十年


 人損 → 五年・二十年


「人の方が二年長い」


「生命や身体という重要な利益を侵害された場合なので、短期の時効期間が長くされています」


「これは覚えやすいな」


「物より人を厚く守る」


「なるほど」


 私は赤鉛筆で書きました。


 物損 三


 人損 五


 長期 二十


「語呂合わせは?」


「考えてません」


「そこは考えとけよ」


「真壁さんが作ってください」


「物は三年、人は五年、二十年経てば……」


「はい」


「……もういい」


「諦めるの早いですね」


 そこへ所長がやってきました。


「何をやってる」


「消滅時効です」


「またずいぶん広げたな」


「真壁さんが質問するからです」


「俺のせいか?」


 所長がノートを見ました。


「所有権は?」


「消滅時効にかかりません」


「抵当権は?」


 私は一瞬止まりました。


 あ。


 そこ来ますか。


「原則として、抵当権は被担保債権と切り離して、単純に『設定から十年たったから消えます』とは考えません」


「そうだ」


 所長が頷きます。


「抵当権は債権を担保する権利だ」


 私はノートに追記しました。


 抵当権


 設定から十年経過しただけで、当然に消滅するわけではない。


 原則として、被担保債権の時効消滅との関係が重要。


「つまり」


 真壁さんが言いました。


「借金を担保するための抵当権なのに、借金は残ってる、でも抵当権だけ十年で消えました、とはならない?」


「そういう単純な話ではない、ということです」


「なるほど」


 私はさらに書きました。


 宅建でよくある引っかけ


 「抵当権は設定時から十年で消滅する」


 → 誤り。


「栞」


 所長がノートを指差しました。


「今日の事件で、黒川が言っていたことをもう一度整理してみろ」


「はい」


 私は書きました。


 黒川債権管理の主張。


 自分たちは最近、この債権を譲り受けた。


 最近初めて債権の存在を知った。


 だから、そこから五年ある。


「で?」


「その考え方は、そのままでは通りません」


「なぜだ」


「債権譲渡があったからといって、時効期間が最初からやり直しになるわけではないからです」


「そうだ」


 私は続けました。


「もし債権を譲るたびに時計が新品になるなら」


 真壁さんが言いました。


「九年ごとに売ればいい」


「そうです」


「永久債権の完成だな」


「法律が許すわけありません」


 私はノートに大きく書きました。


 債権譲渡によって、


 それまで経過した時効期間が当然にリセットされるわけではない。


「債権を買った人は」


 私は言いました。


「原則として、その債権が持っていた状態を引き継ぎます」


「良いところだけ新品にはできない」


「そういうことです」


 私は一度ペンを置きました。


「ただ」


「またただしか」


「大事なんです」


 消滅時効は、


 期間が経過した瞬間に、裁判所が勝手に債務を消してくれる制度ではありません。


 ここも重要です。


「どういう意味だ?」


「時効の利益を受けたい人が」


 私は書きました。


 時効を援用する。


「援用?」


「簡単に言えば」


 私は言い換えました。


 『時効が完成しているので、その時効を使います』


 と主張すること。


「じゃあ」


 真壁さんが眉を上げました。


「十年経ってても、黙ってたら?」


「時効完成の効果を受けるためには、原則として援用が必要です」


「勝手に借金が蒸発するわけじゃない?」


「そうです」


 私は赤で書きました。


 超重要


 時効期間経過


 =


 自動的に債務が消えて、何もしなくてよい


 ではない。


 時効の援用が必要。


「今日、森田さんに『払わなくていいです』と即答しなかったのも?」


「それもあります」


「途中の事情も確認して」


「はい」


「時効が完成しているかを確認して」


「はい」


「必要なら援用する」


「そうです」


 真壁さんが感心した顔をしました。


「時効って、ただ年数覚えるだけじゃないんだな」


「前世の私にも聞かせたいです」


「前世?」


「独り言です」


 危ない危ない。


「あと一つ」


 所長が言いました。


「試験なら、消滅時効と似ている期間制限を全部『時効』だと思わないことだ」


「……あ」


 私は頷きました。


 占有回収の訴えの一年。


 遺留分侵害額請求の期間。


 契約不適合責任における通知期間。


 法律には、


 何年以内。


 一年以内。


 三年以内。


 という数字が山ほど出てくる。


 でも、全部が同じ性質の「消滅時効」とは限りません。


「問題文の制度をまず確認する」


「そうだ」


「数字だけで分類しない」


「そういうことだ」


 私はノートに書きました。


 数字から制度を当てない。


 制度を確認してから数字を当てる。


「……これ大事ですね」


「宅建受験生は、数字を見ると反射で答えたくなるからな」


「分かります」


「お前もか?」


「めちゃくちゃやりました」


 私は最後に、今日の内容を一枚にまとめました。


 消滅時効・最重要整理


 ① 所有権


 → 消滅時効にかからない。


 長期間行使しなくても、それだけで所有権が消えることはない。


 ② 一般の債権


 → 原則として、


 ・権利を行使できることを知った時から五年


 または


 ・権利を行使できる時から十年


 のいずれか早い方。


 ③ 起算点


 → 「いつから請求できたか」を見る。


 確定期限付き債権なら、期限到来時。


 停止条件付き債権なら、条件成就時。


 ④ 不法行為・物損


 → 損害と加害者を知った時から三年。


 または不法行為時から二十年。


 ⑤ 不法行為・生命身体侵害


 → 損害と加害者を知った時から五年。


 または不法行為時から二十年。


 ⑥ 占有回収の訴え


 → 占有を奪われた時から一年以内。


 ⑦ 抵当権


 → 設定後十年経っただけで当然に消滅するわけではない。


 被担保債権との関係を見る。


 ⑧ 債権譲渡


 → 譲渡したからといって、時効期間が最初からやり直しになるわけではない。


 ⑨ 時効完成後


 → 時効の利益を受けるには、原則として援用が必要。


「……多いな」


 真壁さんが言いました。


「なので最後に、試験用にもっと短くします」


「頼む」


 私は別の紙に書きました。


 消滅時効の問題を見たら――


 第一問。


 何の権利?


 第二問。


 いつから請求できる?


 第三問。


 何年?


 第四問。


 途中で何か起きてない?


 第五問。


 時効を使う人は誰?


「お」


 真壁さんが頷きました。


「これは分かりやすい」


「でしょう?」


「珍しく」


「余計です」


 所長が横から言いました。


「一番上にもう一つ書け」


「何ですか?」


「問題文をちゃんと読め」


「それ、法律以前じゃないですか」


「だから一番重要なんだ」


 真壁さんが吹き出した。


「所長、それ試験全部に使えるじゃないですか」


「使えるから書いておけ」


 私は渋々、一番上に足しました。


 〇 問題文を最後まで読む。


「小学生みたいになりました」


「小学生でもできることを、大人が試験になると忘れる」


 所長は平然と言います。


 反論できません。


 私はノートを閉じかけて、もう一度開きました。


 今日の事件を、一行でまとめる。


 十一年前の請求だから払わなくてよい。


 ――ではない。


 私はそれを消しました。


 書き直します。


 古い請求が来たら、


 何の権利か。


 いつから行使できたか。


 どれだけ時間が経ったか。


 途中で何があったか。


 それを一つずつ確認する。


 そして、その下にもう一行。


 所有権は、長く使わなくても消滅時効では消えない。


「それでいい」


 所長が言いました。


「時効は、古いものを何でも消す消しゴムじゃない」


 私は顔を上げました。


「消しゴム?」


「ああ」


 所長は机の上の鉛筆を一本取った。


「消せる権利と、消せない権利がある」


「……それ、分かりやすいですね」


「だろう」


「所長、たまに説明上手ですね」


「たまに、は余計だ」


 真壁さんが笑う。


「栞、書いとけよ」


「はい」


 私はノートの最後に書きました。


 消滅時効は、


 時間が経てば、何でも消える制度ではない。


 まず、


 何を消そうとしているのかを見る。


 その言葉を眺めていると、森田さんの顔を思い出しました。


 最初に事務所へ来た時。


 十一年前の請求書を握りしめて、


「家を取られるかもしれない」


 と震えていた。


 でも、権利を分けたら、見え方が変わった。


 土地の所有権。


 金銭債権。


 支払期限。


 時効期間。


 それぞれを別々に考える。


 法律は、怖い言葉を増やすためにあるんじゃない。


 怖い話を、小さく分解するためにある。


 たぶん私は、今日それを覚えました。


「栞」


「はい?」


 真壁さんが、机の上に羊羹を置きました。


 昨日より少し厚い。


「今日の先生代」


「……ありがとうございます」


「所有権は?」


「私です」


「まだ渡したとは言ってない」


「今、置きましたよね?」


「冗談だ」


「心裡留保の話に戻します?」


「やめろ」


 所長が新聞の向こうで笑いました。


 私は羊羹を確保して、ノートを鞄にしまいました。


 今日の数字は、


 五年。


 十年。


 三年。


 二十年。


 一年。


 正直、多い。


 宅建受験生を数字で包囲する気かと言いたくなる。


 でも、もう前ほど嫌いではありません。


 数字の向こうに、


「いつまで請求され続けるのか」


「いつまで争いが続くのか」


 と不安になる人がいると分かったからです。


 法律は、権利を守る。


 でも同時に、


 終わらせる。


 いつまでも昔の争いを引きずらないように。


 いつまでも人を不安の中に置かないように。


 時間に線を引く。


 それが、消滅時効。


 私はノートの表紙を閉じました。


 そして最後に、一つだけ心に刻みました。


 古い請求書が届いても、


 まず怖がらない。


 まず払わない。


 まず捨てない。


 そして――。


 まず日付を見る。


 宅建受験生としては、


 かなり正しい生存戦略だと思います。

 以下に私の作品へのリンク貼ってます。是非、手に取って頂ければと思います。また、ついでに評価ブックマーク頂ければ幸いです。

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