[債権質]法理編 栞とお勉強
夕方の事務所で、私はノートを開きました。
そして、今日の登場人物を三人並べます。
竹原さん。
森田さん。
久世さん。
「……嫌だなあ」
「何がだ?」
真壁さんが後ろから覗き込んできました。
「三人いるんですよ」
「見りゃ分かる」
「法律って、登場人物が三人になると急に難しくなるんです」
「そうか?」
「二人なら、貸した、借りた、で済むんですよ」
「うん」
「三人になると、AがBに対して有する債権をCのために――とか始まるんです」
「お前、ABCに恨みでもあんのか」
「あります」
前世で何度殺されたことか。
私はノートを指しました。
「だから今日は、人間の名前で覚えます」
「その方がいいな」
「まず竹原さんです」
私は書きました。
竹原 ―― 家具店の借主。
竹原さんは、森田さんから店舗を借りている。
そして、森田さんに三千万円の敷金を預けていました。
だから竹原さんには、
条件が整ったら、
「森田さんから敷金を返してもらう権利」
があります。
竹原
↓
森田
「敷金を返してください」
「これが敷金返還請求権か」
「はい」
真壁さんが頷きました。
「で、竹原さんは久世さんから二千万円借りた」
「そうです」
「その担保に……」
真壁さんが一瞬止まった。
「三千万円そのものを渡した?」
「違います」
「敷金を渡した?」
「もう森田さんが持ってます」
「じゃあ何を渡すんだ」
私はにやりとしました。
「権利です」
「出たな」
そう。
ここが債権質の最初の山です。
◇
私はノートに大きく書きました。
【債権質とは?】
債権質とは、
債権を目的とする質権です。
「もっと簡単に」
「人からお金をもらえる権利を、担保にすることです」
「最初からそう言え」
「法律用語も覚えないと試験に受かりません」
「面倒くせえな」
本当に。
たとえば。
AさんがBさんに百万円を貸した。
するとAさんには、
Bさんから百万円を返してもらう権利がある。
これが貸金債権です。
その後、Aさん自身がお金に困って、Cさんから百万円を借りた。
Cさんとしては、
「本当に返してくれるんでしょうね」
となる。
そこでAさんが言う。
「だったら、私がBさんから百万円を返してもらう権利を、担保にします」
これが債権質。
「つまり」
真壁さんが言いました。
「“金”を担保にするんじゃなくて、“金をもらえる権利”を担保にする」
「そうです!」
私は赤鉛筆で囲みました。
債権質
=
「将来、お金などを受け取る権利」を担保にする。
「今日なら?」
「竹原さんが森田さんから敷金を返してもらう権利を」
「久世さんへの借金の担保にした」
「正解です」
「簡単じゃねえか」
「そこだけならですよ」
「嫌な予告するな」
◇
債権質が難しくなる理由。
それは、
第三債務者
という人が登場するからです。
「誰だ、それ」
「森田さんです」
「大家?」
「はい」
私は三人の関係を書きました。
久世
↑
|二千万円を貸した
|
竹原
|
|敷金三千万円を預けた
↓
森田
「竹原さんから見れば、久世さんには金を返さなきゃいけない」
「はい」
「森田さんから見れば?」
「将来、竹原さんに敷金を返す立場です」
「だから第三債務者?」
「そうです」
債権質では、
質権の目的になった債権について、
その支払いをする人を第三債務者と呼びます。
今日なら。
竹原さん=質権設定者。
久世さん=質権者。
森田さん=第三債務者。
「よし」
私は三つを四角で囲みました。
「ここを最初に固定します」
「そんな大事か?」
「ものすごく大事です」
宅建の長文問題で、
A、B、Cが出てきたら、
まず名前の横に役割を書く。
それだけで生存率が上がります。
「宅建ってそんな命懸けなのか」
「受験生の精神的には」
◇
「で」
真壁さんが聞きます。
「竹原さんと久世さんが二人で、“敷金返還請求権を担保にします”って決めれば、それで全部終わりなのか?」
「そこが次です」
私はページをめくりました。
【第三債務者への対抗要件】
「債権って、時計みたいに手渡せないでしょう?」
「ああ」
「だから、“この債権には質権が設定されましたよ”ということを、第三債務者に分かる状態にしておく必要があります」
「森田さんに知らせる?」
「そうです」
方法は大きく二つ。
① 質権設定者から第三債務者へ通知する。
または
② 第三債務者が承諾する。
「今日なら?」
「竹原さんが森田さんへ、“この敷金返還請求権に久世さんの質権を付けました”と通知する」
「または?」
「森田さんが、“分かりました”と承諾する」
「それで森田さんに対抗できる?」
「はい」
私は書きました。
第三債務者に対する対抗要件
通知 または 承諾。
「じゃあ久世さん本人が森田さんに電話して、“俺が質権者だからよろしく”って言えば?」
「ここ、試験では注意です」
「駄目なのか」
「通知をする主体は、質権設定者側で整理して覚えた方が安全です」
債権譲渡の対抗要件と同じ仕組みを使います。
だから基本形は、
債権者――今回なら竹原さん――から第三債務者の森田さんへの通知。
または、
森田さんの承諾。
「電話一本で済む?」
「第三債務者本人との関係だけなら、論点はまず通知・承諾です」
「“本人との関係だけなら”?」
真壁さんが嫌そうな顔をしました。
「出ますよ」
「何が」
「第三者」
「また増えるのかよ」
「法律ですから」
「登場人物四人目は反則だろ」
同感です。
◇
私は赤鉛筆に持ち替えました。
【超重要 第三者に対抗する場合】
たとえば。
竹原さんが同じ敷金返還請求権について、
別の債権者にも担保を設定した。
あるいは、
別の債権者がその債権を差し押さえた。
すると、
誰が優先するの?
という争いが起こります。
「嫌な世界だな」
「お金が絡むと人は急に並び順を気にします」
「スーパーのレジみたいに言うな」
でも法律では、その並び順が数千万円を左右します。
「第三者にも質権を主張したい場合は」
私は書きました。
確定日付のある証書による通知
または
確定日付のある証書による承諾
が必要。
「確定日付?」
「出ました。宅建受験生が嫌いな四文字です」
「四文字じゃねえだろ」
「雰囲気です」
「適当だな」
確定日付とは、
簡単に言えば、
後から勝手に日付をさかのぼらせにくい、信用できる日付です。
「なんで必要なんだ?」
「たとえば二人の債権者が争った時に」
私は芝居がかった声を出しました。
「私の方が去年から担保を取ってました」
「俺は一昨年だ」
「じゃあ私は三年前!」
「子供か」
「こうなったら困るでしょう?」
「ああ」
だから、
第三者との優先関係まで争う場合には、
単なる口頭の承諾や普通の書面だけでは足りない。
後から日付を操作しにくい形が必要になります。
私は二つに分けました。
第三債務者に対して
↓
通知または承諾。
第三債務者以外の第三者に対して
↓
確定日付のある証書による通知または承諾。
「そこ違うんだな」
「そうなんです」
「森田さん本人に対抗するだけなら、確定日付まで必須とは限らない」
「はい」
「他の債権者との争いになると?」
「確定日付が重要」
「なるほど」
私はそこを赤でぐるぐる囲みました。
宅建では、
「書面による承諾さえあれば第三者にも対抗できる」
などと出されたら要注意。
ただの書面ではなく、
第三者対抗要件では、
確定日付のある証書
がポイントです。
民法364条は債権質について467条のルールに従うものとしており、第三債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付のある証書による通知または承諾が必要になります。
◇
「よし」
真壁さんが立ち上がりました。
「分かった。帰ろう」
「待ってください」
「まだあんの?」
「ここからが今日の事件です」
「長えよ」
私は新しいページを開きます。
【質権者は、第三債務者から直接取り立てられる】
「久世さんは?」
「質権者」
「森田さんは?」
「第三債務者」
「条件が整ったら?」
「久世さんが森田さんから直接、敷金返還債権を取り立てられる」
「そういうことです」
債権質の大きな特徴です。
質権者は、
質権の目的となっている債権を、
自分で直接取り立てることができます。
「竹原さんを通さなくていい?」
「そうです」
「便利だな」
「担保ですから」
たとえば、
久世さんの竹原さんに対する債権が二千万円。
質権の目的である敷金返還請求権が三千万円。
金銭債権の場合、
質権者が取り立てられるのは、
自分の債権額に対応する範囲です。
「三千万円全部、自分の物にできるわけじゃない」
「当然です」
「二千万円の借金なのに三千万円取ったら?」
「一千万円得してるじゃないですか」
「質権長者だな」
「そんな制度ありません」
私は書きました。
被担保債権 二千万円
目的債権 三千万円
↓
質権者が自己の債権額に対応する部分を取り立てる。
「でも」
真壁さんが言いました。
「今日、久世さんは取り立てられなかった」
「はい」
「なんでだ?」
「時間です」
「また時間か」
「債権質では、二つの時計を見るんです」
私はページの真ん中に、
時計を二個描きました。
「下手だな」
「時計です!」
「ジャガイモかと思った」
「黙ってください」
◇
一つ目の時計。
久世さんが竹原さんに貸した二千万円。
つまり、
質権によって担保される債権です。
二つ目の時計。
竹原さんが森田さんから返してもらう敷金。
つまり、
質権の目的となっている債権です。
「二個の債権があるわけだ」
「そうです」
私は名前をつけます。
久世 → 竹原
被担保債権。
竹原 → 森田
目的債権。
「ここをごちゃ混ぜにすると死にます」
「また死ぬのか」
「試験で」
今日の事件では、
久世さんの貸金債権の返済期限は来ていました。
竹原さんは返せなかった。
だから久世さんとしては、
担保を使いたい。
そこまでは正しい。
しかし。
竹原さんの森田さんに対する敷金返還請求権については、
まだ店舗を借りている最中。
少なくとも、今すぐ敷金返還を求める時期ではありませんでした。
「だから久世さんが」
真壁さんが言いました。
「“俺への借金の期限が来たんだから敷金を今払え”と言っても駄目」
「その通りです」
「別々の時計だから」
「そう!」
私は赤鉛筆を振りました。
これです。
ここを分かってほしい。
質権者の債権の期限が来たからといって、
質権の目的となっている債権の期限まで、
勝手に前倒しされるわけではありません。
「担保を取るってのは」
真壁さんが言う。
「その権利を、元より強い権利に作り変えることじゃないわけだ」
「……!」
私は真壁さんを見ました。
「何だよ」
「今日、かなり賢いですね」
「“今日”も取れ!」
でも、その通りです。
質権は、
目的となる債権に担保権を付ける制度。
元の債権に存在しない、
「今すぐ払え」
という権利を魔法のように生み出す制度ではない。
前編で久世さんの要求を止められたのは、
そこでした。
◇
「じゃあ逆は?」
真壁さんが聞きました。
「逆?」
「敷金を返す時期の方が先に来たらどうする」
「おお」
私は思わず姿勢を正しました。
「出ましたね」
「何が」
「宅建のいやらしいところです」
たとえば。
久世さんの貸金債権の返済期限は、
半年後。
ところが竹原さんが今日、店舗を退去する。
敷金の精算も終わって、
森田さんが敷金を返さなければならない時期が来た。
「でも久世さんへの借金は、まだ期限前」
「そうです」
「じゃあ久世さんが二千万円取る?」
「まだ自分の債権の期限が来てません」
「竹原さんに三千万円返したら?」
「それだと、せっかく質権を設定した担保が外へ出てしまう危険があります」
「じゃあどうするんだ」
「供託です」
私は大きく書きました。
目的債権の弁済期が、
質権者の債権の弁済期より先に来た。
↓
質権者は第三債務者に、
弁済すべき金額を供託させることができる。
「一回預かってもらう?」
「そんなイメージです」
森田さんから竹原さんへそのまま返してしまうのではなく、
供託によって、その価値を確保する。
そして質権は、
その供託金の上に残ります。
「担保が三千万円の敷金返還請求権から、供託金に引っ越す?」
「そういうイメージです」
「質権って引っ越し好きだな」
「物上代位っぽい言い方しないでください」
でも、
なぜ供託という仕組みがあるかは、
事件で考えると分かります。
質権者の債権はまだ期限前だから、
今すぐ久世さんに渡すのは早い。
でも、
そのまま竹原さんへ返したら、
せっかく担保にしていた価値が散ってしまうかもしれない。
だから。
いったん安全な場所へ置く。
「誰にも早すぎないようにするんだな」
「はい」
「久世さんにも早く渡さない」
「はい」
「竹原さんにも自由に持っていかせない」
「そうです」
「供託、意外と公平だな」
そう。
制度にはちゃんと理由があります。
◇
「じゃあ試験問題にするぞ」
真壁さんが突然言いました。
「え?」
「俺が問題出す」
「珍しいですね」
「今日の俺は賢いらしいからな」
根に持ってる。
「竹原さんが森田さんに三千万円の敷金を預けた」
「はい」
「その返還請求権に、久世さんのための質権を設定した」
「はい」
「森田さんは承諾した」
「はい」
「久世さんの貸金債権の期限が来た。でも竹原さんはまだ店を借りていて、敷金返還請求権の期限は来てない」
「はい」
「久世さんは、“俺の債権は期限が来たから今すぐ敷金をよこせ”と森田さんに言える」
「誤り」
即答。
「理由は?」
「目的債権である敷金返還請求権自体の弁済期が来ていないから」
「正解」
「ふふん」
「腹立つな、その顔」
「では私から」
今度はこちらの番です。
「敷金返還請求権の弁済期が先に来ました。でも久世さんの竹原さんに対する貸金債権はまだ期限前です」
「うん」
「久世さんは森田さんに、“俺に直接二千万円払え”と当然に請求できる」
真壁さんが考える。
「……駄目」
「理由は?」
「久世さん自身の債権がまだ期限前だから」
「ではどうする?」
「供託」
「正解!」
「簡単じゃねえか!」
真壁さんが嬉しそうです。
「もう一問」
「来い」
「森田さんが普通の書面で質権設定を承諾しました。久世さんは、その書面だけで他の差押債権者など第三者に対しても当然に優先を主張できる」
「……」
止まった。
「真壁さん?」
「待て」
「はい」
「森田さん本人に対抗するなら承諾でいい」
「はい」
「でも他の第三者に対抗するなら」
「はい」
「……確定日付」
「正解!」
「よし!」
拳を握っています。
何でしょう。
犬に「待て」を教えて成功した時に近い感動があります。
「今、失礼なこと考えただろ」
「いいえ」
「顔に出てるぞ」
危ない。
◇
そこへ所長がやってきました。
「何を騒いでる」
「真壁さんが宅建に目覚めました」
「勝手に目覚めさせるな」
所長が私のノートを見る。
「債権質か」
「はい」
「どこまでやった」
「通知と承諾。第三者には確定日付。直接取立て。それから供託です」
「そうか」
所長はページをめくりました。
そして、
二つの時計――私が描いたジャガイモ――を見て止まりました。
「……これは何だ」
「時計です!」
「そうか」
「絶対ジャガイモだと思いましたよね?」
「法律の話をしろ」
逃げた。
「栞」
「はい」
「債権質の問題で一番大事なのは何だ」
私は考えました。
三者関係。
通知。
承諾。
確定日付。
直接取立て。
供託。
どれも大事。
でも。
今日の事件を思い出す。
竹原さん。
久世さん。
森田さん。
二つの債権。
二つの期限。
「……誰が誰に対して、何の債権を持っているか」
私は答えました。
所長が頷いた。
「そうだ」
そして、ノートに書きます。
① 人を整理する。
② 債権を二つに分ける。
③ それぞれの弁済期を見る。
「いきなり通知だの供託だの考えるな」
「……はい」
「まず図にしろ」
「図」
「久世から竹原への債権」
「被担保債権」
「竹原から森田への債権」
「質権の目的債権」
「この二本を見失わなければ、大半は解ける」
私は目を見開きました。
なるほど。
難しい用語を全部一度忘れて、
まず矢印を二本描く。
その後に、
今どちらの期限の話をしているのか。
誰が誰へ請求しているのか。
それを見る。
「所長」
「なんだ」
「それ、最初に教えてくださいよ」
「自分で悩んだ方が覚える」
「昭和の教育!」
「昭和六十三年だからな」
正論で殴られました。
◇
私は最後に今日のノートをまとめました。
【債権質 重要ポイント】
① 債権質とは
債権そのものを目的とする質権。
簡単に言えば、
「人からお金などを受け取る権利」を担保にする。
② 登場人物を三人に分ける
竹原 = 質権設定者
久世 = 質権者
森田 = 第三債務者
③ 債権も二本に分ける
久世 → 竹原
質権によって担保される債権。
竹原 → 森田
質権の目的となる債権。
④ 第三債務者への対抗要件
質権設定の通知
または
第三債務者の承諾。
⑤ 第三債務者以外の第三者への対抗
確定日付のある証書による通知
または
確定日付のある証書による承諾。
⑥ 質権者は、目的債権を直接取り立てることができる
金銭債権の場合には、
自己の債権額に対応する範囲で取り立てる。
⑦ 目的債権の期限がまだなら
質権者側の債権の期限が来ていても、
目的債権そのものを勝手に期限前倒しにはできない。
⑧ 目的債権の弁済期だけが先に来た場合
質権者は、
第三債務者に弁済額を供託させることができる。
そして質権は、
その供託金について存在する。
最後に。
私は一番大きな字で書きました。
債権質は、
「三人」と「二本の債権」と「二つの期限」を分ける。
「……これだ」
私は鉛筆を置きました。
昨日までなら、
債権質なんて、
文字だけ見てページを閉じたくなる分野でした。
AがBに貸して。
BがCに貸して。
第三債務者がどうして。
確定日付がどうして。
供託がどうして。
読んでいるうちに、
誰が誰へ金を返すのか分からなくなる。
でも。
今日、顔がついた。
竹原さん。
久世さん。
森田さん。
竹原さんは金を借りた。
久世さんは金を貸した。
森田さんは敷金を預かっている。
それだけだった。
その三人の間に、
二本の債権がある。
そして、
その二本には別々の時間が流れている。
法律は難しい言葉を使うけれど。
やっていることは、
意外と単純なのかもしれない。
誰の権利なのか。
誰が払うのか。
いつ払うのか。
それを一つずつ整理している。
「栞」
「はい?」
真壁さんが机に紙を置きました。
「問題作ったぞ」
「え?」
見る。
手書きで、
AがBから金を借り、
BがCに――
私は紙を伏せました。
「嫌です」
「なんでだよ!」
「せっかく今日、人間の名前で覚えたのに!」
「試験はABCで出るぞ!」
「明日にしてください!」
「逃げるな!」
「脳にも弁済期があります!」
「そんな民法ねえよ!」
所長が吹き出しました。
私は鞄を抱えて立ち上がる。
昭和六十三年。
債権にも、
借金にも、
敷金にも、
ちゃんと期限があります。
だったら。
今日の私の勉強にも、
期限があっていいはずです。
「栞」
「はい?」
「明日はABCで十問な」
「所長まで!?」
どうやら、
私の弁済期だけは、
かなり早く到来するようでした。
以下に私の作品へのリンク貼ってます。是非、手に取って頂ければと思います。また、ついでに評価ブックマーク頂ければ幸いです。




