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【書籍化&コミカライズ決定】会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


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罠の匂い

 いつも読んでいただきありがとうございます。

【重要告知】今後の更新頻度や新作スケジュール、その他のお知らせ を活動報告に載せました。 

 こちらは更新頻度の変更や新たにnoteの開設、新作の公開(note専用)などの告知となります。

 何卒、ご確認よろしくお願いいたします。

 仕事部屋を出たノアは、廊下を歩きながらスマホの追跡報告を読んでいた。

 車列は今もロダン・ホール方面へ進んでいる。

 塔を出たアレクサンダーは巨人族の方へ向かったままで、市内各地へ部隊が動いているという報告も続く。


 「そのまま追って。車が止まっても勝手に仕掛けるなよ」


 追跡班へ返事を送り、ノアは車列の画像を開いた。

 英国政府とロダン家の護衛が付いた車には、真壁遼が乗り、封印ケースも積まれているはずだ。

 だが、ケースが載っていると分かるだけで、中身まで見えたわけではない。

 《フロンティア・コンパス》の針を狙って襲いかかった結果、まったく別のものを奪って帰る羽目になるのは勘弁してほしい。

 しかも、あれだけ警護を付けている相手だ。

 道路上で足止めしたところで、欲しいものを探す時間をくれるとは思えなかった。


 「ノア様、移送先の情報が入りました」


 「英国政府に潜り込んでる工作員から?」


 「はい。回収した針を、ロダン・ホールの地下魔導金庫へ移すよう指示が出ています。英国政府の管理と警護はそのままです」


 「……本当にあそこへ持ってくのか。ケースの中も見た?」


 「そこまでは。確認できたのは、針の移送手配です」


 ノアは封印ケースを車に運び込む画像を見直した。

 車列の進路も、工作員から届いた移送先と一致している。


 「じゃあ、あのケースに針が入ってる前提で動く。ただ、中身は確認できてない。そこは忘れるなよ」


 「承知しました」


 ノアは建物の出口へ向かう足を止めた。

 針に手が届くかもしれない。

 その都合の良さが、かえって引っかかる。


 「政府の金庫じゃないんだよな?」


 「移送先はロダン・ホールです。政府施設へ変更されたという連絡は来ていません」


 英国政府には、存在そのものがほとんど知られていない異次元金庫がある。

 回収した針をそこへ入れられれば、奪いに行くのはまず無理だ。

 ロダン家の守りも厳重だが、あの金庫と比べるなら、まだ近づく方法を探せる。

 それほど厳重な金庫があるのに、なぜ針をロダン・ホールへ運ぶのか。


 「針って、政府が手放したわけじゃないだろ。ロダン家に返すとか、そういう話も出てない?」


 「出ていません。政府が管理を続けたまま保管する手配です。護送の指示も実際に動いています」


 「だったら、自分とこの一番厳重な場所に入れればよくね?」


 「その理由は、こちらからは確認できていません」


 街では巨人が出ている。

 急いで安全な場所へ移す必要があるのは分かるが、それだけでロダン家を選んだと決めるわけにもいかない。


 「なあ、これって俺をロダン・ホールに誘い込む罠じゃね?」


 「……ロダン家が、ですか」


 「誰が仕掛けたかは分かんないけど。政府が異次元金庫を使わない理由も、それなら説明がつくだろ」


 追跡班の映像と工作員の報告は一致している。

 針を本当にロダン・ホールへ運び、奪いに来たところを待ち受ける。

 相手が仕掛けるなら、そういう罠もあり得る。


 ノアはスマホで車列の現在位置を確認した。

 アレクサンダーが巨人族の現場から戻ったという連絡はない。

 当主が街を守るために出撃したのは本当だろう。


 だが、当主がいないからといって屋敷の警備がなくなるわけではない。

 車列にも英国政府とロダン家の護衛が付いている。

 道路で襲えば、その護衛と戦うことになる。

 ケースを奪う前に包囲され、針を狙っていることまで相手に知られかねない。


 「移送中の襲撃はなし。ケースを確保する前に囲まれたら終わりだ」


 「では、ロダン・ホールの周辺を調べさせますか?」


 見張りを増やして、罠があるか調べることはできる。

 しかし、今もアレクサンダーは巨人族の対応に追われている。

 騒ぎが収まって屋敷へ戻れば、針へ近づくのはいっそう難しくなる。

 その間に政府が針を異次元金庫へ移してしまえば、もう奪いに行けない。

 もう一度当主を引き離すために、あの邪悪な腕をもう一本送ってくれと頼むのも嫌だった。

 あれは何が出るか選べない。

 次にロンドンで何が起きるかも分からないのだから。


 「いや。政府に潜らせた工作員に、俺がロダン・ホールへ入れるよう手引きさせろ」


 「承知しました」


 「罠かもしれないけど、針が政府の異次元金庫に入ったら手が出せない。なら、今のうちに動くしかないだろ。……入りたくねえんだけどなぁ」


 部下が工作員へ連絡する間、ノアは車列の追跡班にも指示を送った。


 「そっちは車列を追うだけでいい。到着しても、勝手に近づくなよ」


 『了解です』


 ほどなく、政府内部の工作員から手引きの準備に入ると連絡が届いた。


 「よし。何か分かったらすぐ送って。俺も出る前にちょっと準備があるから、報告はスマホに頼む」


 ノアは部下を残し、仕事部屋へ戻った。

 しばらくして、再び廊下へ出てきたノアは、スマホに届いた追跡報告を確認した。


 「……ま、これで保険もかけたしな」

読んでいただきありがとうございます。

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