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【書籍化&コミカライズ決定】会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


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別の答え

 両親と食事をした翌日。

 桐野の実家で朝食を終えると、シエルから声をかけられた。


 「伯父さんから連絡があったわ。もう一度、真壁さんと話したいって」


 「この前、もう話は終わったと思ってたんだけど」


 「私もよ。今度は鑑定のことで聞きたいそうよ」


 この前は、俺の鑑定が間違っているかもしれないと言われて帰された。

 それを確かめたいなら、あの時に聞いてくれればよかったんだが。


 「いつ行くの?」


 「来られるなら、今日のうちにって。父には私から伝えてあるわ」


 シオは俺の肩で、昨日撮った家族写真を専用スマホに表示している。


 「また出かけるぞ」


 『いく!』

 名取と支援チームの女性にも連絡が入っていて、車は用意できるという。

 俺にも断る理由はない。


 「じゃあ、行こう。今度は話を聞いてもらえるといいんだけど」


 「私も一緒に行くわ。伯父さんが何を言うのか、聞きたいし」


 俺はコートを取り、シエルと玄関へ向かった。



 ◇



 《ロダン・ホール》へ着くと、前回と同じように使用人が書斎まで案内してくれた。

 名取と支援チームの女性も一緒に入り、ほかの護衛は扉の外に残る。

 当主は今度も書斎にいたが、俺たちが席に着くのを待ってから話し始めた。

 俺が日本語で話した内容は、隣の支援女性が英語に訳し、向こうの言葉も日本語にしてくれる。


 「Let me make one thing clear. I am still opposed to removing that needle.(先に言っておく。私は今も、あの針を取り外すことには反対だ)」


 シエルも伯父に何か言いかけたが、俺が先に聞いた。


 「じゃあ、今日は何の話ですか?」


 「If there is a way to remove it without causing problems here, that is another matter.(取り外しても、こちらに支障が出ない方法があるなら、話は別だ)」


 訳を聞いて、俺は返そうとしていた言葉を飲み込んだ。

 この前は針の話そのものを打ち切られたのに、今日は向こうから別の方法がないかと聞いている。


 「それを調べてもいい、ということですか?」


 「I want to ask about your Appraisal. Can it show not only how to restore something, but another way to solve the problem?(君の【鑑定】について、確かめたい。壊れた物を元に戻す方法だけではなく、別の方法を示すこともあるのか)」


 「必要な物や、動かす条件まで出ることはあります。でも、今回も出るかは見てみないと分かりません。何も出ない可能性もありますよ」


 「That is enough. If I already knew the answer, there would be no reason to call you here.(それでいい。答えが分かっていれば、君を呼ぶ必要はない)」


 「見てから、分かったことをお伝えします。それならできます」


 「I want you to examine not only the needle, but the clock tower itself.(君には、針だけでなく時計塔そのものを見てもらいたい)」


 あの大きな時計塔を思い浮かべると、外から見上げた長針がすぐに浮かんだ。


 「時計塔ごとですか。時計の仕組みも含めて?」


 「Yes. I want you to see whether the needle can be removed without causing problems for the clock tower.(そうだ。針を外しても、時計塔に問題が出ない方法があるのか。それを見てほしい)」


 何に使っているのかも、どうして外せないのかも、今日も教えてくれない。

 それでも、時計塔を調べてほしいと言うのなら、針が中で何をしているのかまで見られるかもしれなかった。

 外殻から場所を追った時は、針がどこにあるかまでしか見ていない。


 「針は必要です。でも、時計塔を壊してまで持ち帰りたいわけじゃない。外しても問題が出ない方法があるなら、俺たちもその方がいいです」


 「Then our purpose is the same.(なら、調べる目的は同じだな)」


 シエルが伯父に尋ねた。


 「Uncle, will you let him examine it from inside the tower?(伯父さん、塔の中で見せてもらえるの?)」


 「I will arrange access to the interior. But there are conditions, Mr. Makabe.(内部への立ち入りはこちらで手配する。ただし、真壁君には条件がある)」


 ようやく、中へ入れる話になった。


 「はい。どんな条件ですか?」


 「Do not touch the needle without permission. If I tell you to stop, you stop the appraisal immediately. Those are my two conditions.(針には勝手に触れないこと。私が止めろと言ったら、その時点で鑑定も中止すること。この2つは守ってもらう)」


 「承知しました。見るだけにして、止められたらそこでやめます」


 「If you can abide by those conditions, I will cooperate with the investigation.(それを守るなら、調査には協力しよう)」


 名取が、当主の返事を受けて俺へ声をかけた。


 「私たちも同行します! 外で止めた時と同じですからね。何かあれば、先に知らせてください!」


 「分かってる。何も言わずに針を引っこ抜いたりしないよ」


 「引っこ抜く前だけでは困ります!」


 シエルが隣で笑いそうになっていたので、俺もそれ以上は言わない。

 当主は立ち入りの手配を進めると答えた。

 日程が決まり次第、こちらにも知らせてもらえるという。

 俺はその言葉が訳されるのを待って、礼を言った。


 「ありがとうございます。中で調べられるなら、やってみます」


 「I also want to know what you will find.(私も、君が何を見つけるか知りたい)」


 何があって考えを変えたのかは気になった。

 でも、また話が止まるより、中へ入れるなら今はそれでいい。

 書斎を出ると、シエルが俺の横に並んだ。


 「今度は、ちゃんと話ができたわね」


 「うん。今回は追い返されなかった」


 「もう。そこじゃないでしょ」


 シエルは呆れた顔をした。

 俺も車に戻る途中で、名取へ声をかけた。


 「塔の中へ入る時は、よろしくお願いします」


 「ええ。その時は、私もそばにいます!」


 手配が済めば、次は時計塔の中から【鑑定】する。


読んでいただきありがとうございます。

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