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【書籍化&コミカライズ決定】会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


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せかいのにんきもの③

 「これ、行って大丈夫なんですか?」


 支援チームの女性が慌てて通訳役としてついてくる。

 ADも相馬も何か言っているが、もう流れは止まらない。


 イヤホン越しに、相馬の声が聞こえた。


 『あの人は何もしなくても、何かに巻き込まれるスキルでも持ってんのか?』


 いや、そんなスキルは持っていない……はずだ。


 相馬はすぐに思考を切り替えた。


 『シオちゃんが持っているスマホの動画に切り替えられるか確認。各局へ共有、シオちゃん側の映像もいけたら使います』


 シオは、そのやり取りに気付いたらしい。

 オリヴィアの掌の上で、スマホを少し持ち上げた。

 そして動画撮影を始める。


 『あ、シオちゃんから映像きました! これいけます!!』


 『シオちゃんナイス! 配信調整室に伝えて!! シオちゃんのスマホをメインに切り替えると』


 一方のアメリカチームは、オリヴィアの行動に大盛り上がりだった。

 周囲の選手たちが笑い、何人かが手を振る。

 その中から、ローガン・ブレイクがこちらへ近づいてきた。


 ローガンは片手を上げて、にっと笑った。


 『やあ、初日ぶりだね。今日はレポーターのお仕事かい?』


 支援チームの女性が傍で訳してくれる。


 「あ、お久しぶりです。今日はレポーターの仕事でここに来ましたが……俺らここにいていいの? 怒られない?」


 通訳が入る。

 ローガンは声を上げて笑った。


 『ははは、面白いジョークだ! 誰が俺たちを怒るって言うんだい?』


 「ジョークではないんですけど」


 俺の言葉は、なぜかまた笑いを誘った。

 ローガンはオリヴィアを親指で示す。


 『うちのオリヴィアが、いきなりですまんね。あいつ、シオのことがめっちゃ好きでさ。初日にあいついなかっただろ? それで、ずるいずるいってうるさくてな』


 支援チームの女性が、少しだけ笑いをこらえながら訳す。


 「ははは」


 俺は、とりあえず笑った。


 シオはオリヴィアの掌に乗ったまま、アメリカチームを動画で映している。

 ただ、しっかり自分も画面の端に入れていた。

 シオの触手は自由自在に伸びるので、カメラ位置取り含めて人間が撮れないような絶妙な角度で動画を撮っていた。


 コメント欄がまた騒がしくなる。


 『え? 真壁さんとローガン知り合いだったの?』

 『めっちゃ普通にしゃべってるやん』

 『いつもの配信だと疫病神にしか見えないけど、やっぱすごいひとなんだなぁ』

 『疫病神草』

 『し、シオちゃんの配信が神!!』

 『めっちゃ上手く撮影してるよな』

 『この熱狂がハッキリとわかるし何よりも見やすい』

 『カメラマンシオ爆誕』

 『それと比べたら真壁さんの撮影能力の低さよ…』

 『それな』


 シオは、まるで配信専門スタッフのようにスマホを動かしていた。

 アメリカチームが全員で盛り上がって手を振る光景だったり、ローガンの笑顔やオリヴィアの近距離撮影など、お宝映像満載のカットを配信で届けていた。


 さらに自分を必ず画面に少し入れているため、まるでシオの背後から撮っているような、絶妙なアングルを触手で実現していた。


 配信ブース側では、相馬の指示が飛んだ。


 『このままシオちゃんの動画でいくぞ。シオちゃん、よろしくね』


 シオは忍ばせているイヤホンからその声に反応し、触手で器用に丸を作った。


 そしてローガンが、アリーナ中央の方を指さした。


 『どうせ写真撮影するなら、あそこでみんなでやろうぜ』


 支援チームの女性が訳す。


 「どこでやるんですか?」


 俺はローガンの指した方を見た。

 その方向はアリーナ中央。

 閉会式用のモニュメントが置かれ、各国選手が集まっている一番目立つ場所だった。


 今まさに選手たちはハグしたり、手を振ったり、自撮りをしたりしている。

 そこだけ世界中の国を代表する探索者が集まった、それこそ祭りの中心みたいになっていた。


 「いや、さすがにあそこの輪に入るのは」


 言い終わる前に、オリヴィアが俺の肩を押した。

 ローガンも笑いながら歩き出す。

 アメリカチームが中央へ向かうので、俺たちもその流れに飲み込まれた。


 あっという間に、アリーナ中央の一番目立つ場所へ来てしまった。


 アメリカチームが向かっている時点で、周囲の注目は集まっていた。

 そこに、どこかで見たことのある小さな殻の生き物がいる。


 選手たちがそれに気付くまで、時間はほとんどかからなかった。


 『シオだ!』

 『あそこにシオがいるぞ!』

 『うぉぉ、生シオだ!!』

 『え? シオ神がここに?』


 通訳なしでも分かるくらい、いろんな国の言葉でシオの名前が飛んだ。

 次々に選手たちが中央へ寄ってくる。


 配信ブースの出演者たちも、驚きの表情を隠せないでいた。


 『こ、これは…凄まじいですね…』


 『シオちゃんの人気、やば…』


 相馬だけは、この状況に小躍りしている。


 『これはめちゃくちゃすごい映像だぞ! シオちゃん、周囲の選手をバンバン映していって!』


 シオはオリヴィアの掌から移動し、頭の上に上った

 オリヴィアは少しだけびっくりするも、更にご機嫌になっていく。

 そこから伸びる触手を使って色んな選手を動画で撮影していった。

 

 観客席も、そこでようやく状況に気付いたらしい。

 大型ビジョンに、シオがオリヴィアの頭の上にいる映像が抜かれる。

 アリーナ中央で、それもオリヴィアの頭の上でスマホを構えるシオの姿も、別カメラで世界に配信されていく。


 「アリーナのあそこにシオがいる!」


 観客席から、そんな声が重なって聞こえてくる。

 会場の歓声が、さらに大きくなった。


 その時、ローガンが両手を上げ、大声で叫んだ。


 『全員写真撮るぞ!! ここに集まれ!!!』


 支援チームの女性が訳すまでもなかった。

 選手たちが、どんどん中央のセレモニースペースへ集まってくる。


 国もチームも関係なく、選手たちは笑いながら互いの近くへ寄っていく。

 オリヴィアもシオを連れてこちらに近づいてくる。

 ローガンは俺の肩を軽く叩いて、ジェスチャーでシオに写真撮影を撮るよう促している。


 「あーおっけーおっけー! …これ俺らも映るんじゃ…」

 

 「むしろ、この囲まれた状況でどうやってここから出るんですか?」


 支援チームの女性が即答した。

 よく見るまでもなく選手に囲まれていて、俺たちの逃げ道は既になかった。


 シオがオリヴィアの頭の上からおもいっきり上空目掛けて触手を伸ばし、スマホをこちらに向けた。

 上空から全員を見下ろすようにスマホが固定された。


 『りょう ここから 撮る』


 「シオが、あのカメラから写真撮影するそうです!」


 俺が支援チームの女性へ伝えると、彼女はすぐにローガンへ英語で伝えた。

 ローガンが全員へ向かって叫ぶ。


 『みんな、あそこのスマホに向かって笑顔を向けろ!』


 選手たちが一斉に上を向いた。

 

 ガッツポーズをする者。

 メダルを掲げる者。

 隣の国の選手と肩を組む者。

 シオへ手を振る者。


 閉会式の中央が、完全にひとつの巨大な集合写真になっていた。


 シオの声が、俺に届く。


 『りょう いくぞ さん にー いち』


 反射的に、俺は大声で叫んだ。


 「はい、チーズ!」


 その瞬間、シオのスマホが、世界中の選手たちの笑顔を撮った。

【本日、新作を全7話一挙投稿します!】

『会社をクビに』の世界観を使った、物語形式の創作論――


『なろう! 小説家に!!』を本日投稿します!


探索者全盛時代。

小説家を完全に舐めているコンサル会社員が、


「探索者にはなれないので、小説で一山当てる」


と言い出し、ツッコミ担当の女性探索者を巻き込みながら、本当に賞を取るまでのお話です。


タイトル、あらすじ、第1話のフック、物語そのものの面白さなど、私が実際の投稿を通して考えてきたことを、フィクションとして面白おかしく詰め込みました。


本日19時10分から、10分刻みで全7話を一挙投稿します。

短めのお話ですので、ぜひ最後までお楽しみください!


※執筆者向けの話です。好き嫌いあるかもです。

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