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家系ラーメンが好きすぎて、擬人化してしまった!?  作者: 源三郎


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第19話 妖精達の家系会議

巡礼ノートに浮かんだ伊豆の家系地図の上で、妖精達の光が一斉に同じ方角へ集まり始めた。


「呼ばれてる」——その光を追った先にあったのは、家系会議。


山、海、券売機、米、雨、古い写真。


そのすべてが、店ごとの妖精達の記憶として残っている。


次の休日に選ばれる一杯をめぐって、彼女達が集まります。


けれど、騒がしい会議の真ん中で、思いがけないことが起こります。

昨夜、巡礼ノートの上に浮かんだ伊豆の家系地図。


その上を、妖精達の光が、一斉に同じ方角へ流れていく。


「呼ばれてる」


メンちゃんがそう言ったのが、昨日の夜。


休日の朝、光の流れる先を、ノートの上で指でたどった。


集まる先は、一点だった。


「……ここ、うちの部屋だぞ」


呼ばれた先が、現在地だった。


顔を上げた瞬間、巡礼ノートと麺ノ家の暖簾のれんの端が、同時に光った。


部屋の空気が豚骨醤油になった。


家系会議は、勝手に始まった。


光を追いかけたつもりが、会場に呼び出されていたらしい。


理不尽にもほどがある。


正確に言うと、空気だけじゃない。


カーテンが少し鶏油色に光った。


鶏油。スープの表面できらきら光る、あの鶏の脂の色だ。


テーブルの上のマグカップが、なぜか水用のコップみたいに涼しい顔をした。


昨夜食べた覚えのない海苔の香りが、棚の上からした。


休日の朝に会議を開く人間は信用できない。


だが、妖精達は人間ではない。


だから遠慮もない。


「ご主人様」


メンちゃんが低い声で言う。


「窓を開ける?」


「そういう問題じゃない」


「でも、換気は大事」


「この状況で最初に出る言葉がそれか」


「ご主人様に、いい空気を吸ってほしいので」


メンちゃんは窓を少し開けた。


外の空気が入る。


しかし、部屋の湯気は逃げない。


むしろ、換気のおかげで会議にちょうどいい濃さになった気がした。


やめてほしい。


湯気の中から、峠子が現れた。


山の土色の影を足元に落としている。


続いて潮風子。


部屋の空気が少し軽くなる。


けん子は食券の光から出てきた。


こめりは白い湯気をまとい、雨乃は静かな水滴を残す。


こはるは古い写真のような色で、部屋の端に立った。


「狭い」


俺は思わず言った。


「家系会議です」


けん子が明るく言う。


「開催通知は?」


「地図の光で」


「あれが通知だったのか」


「心にも届いていたはずです」


「便利な言い方をするな」


潮風子がくすりと笑う。


そこへ、頼んでもいない寸胴が、部屋の隅に勝手に湧いて出た。


一つ、二つ、三つ。


数えているそばから、四つ目が炊飯器の横に生えた。


「なんで寸胴が増えるんだ」


「議席です」


峠子が真剣に答える。


「議席が寸胴なのはおかしいだろ」


「家系会議なので」


けん子が便利な言葉を使い回した。


換気扇が、ぶおん、と悲鳴みたいな音を上げた。


回りきれない湯気を、必死に外へ押し出そうとしている。


俺の六畳が、一瞬で、待合席のある店の裏になった。


「まず議長を決めましょう」


峠子が言った。


「では私が」


「いや、券ノ助が」


「支えるのは米なので、こめりが」


「議長よりまず換気を」


雨乃が正論を言うが、誰も聞いていない。


一秒で議長選が決裂した。


「議題は?」


俺が無理やり口を挟む。


「次の休日に選ばれるべき一杯について」


メンちゃんのリボンが揺れた。


「ほら来た」


峠子が静かに、けれど譲らず言う。


「疲れた身体を引き戻す、骨太の一杯なら麺乃峠です」


潮風子が笑う。


「帰り道まで軽くするなら、潮ノ屋でしょう」


けん子が食券を掲げる。


「迷う楽しさなら券ノ助! 限定もあります!」


こめりがしゃもじを持つ。


「支えるのは米です」


雨乃は傘の先を見つめる。


「雨の日なら、うちです」


こはるは壁を見た。


「記憶は、古い店にも残っています」


完全に割れた。


スープ派、麺派、ライス派、チャーシュー派、鶏油派。


いつの間にか、全員が小さなプラカードを持っていた。


峠子のには「濃」。


潮風子のには「抜」。


こめりのには「飯」。


どこから出したのかは、もう聞かないことにした。


「一票、入れてください」


けん子が票箱まで召喚した。


「投票制になったのか」


「多数決は平和です」


「ぜんぜん平和じゃない空気だぞ」


案の定、次の瞬間には全員が自分に一票入れて、六対六みたいな地獄になった。


湯気の中で、スープと鶏油とライスの匂いが、空中でぶつかり合う。


混ざりすぎて、味が渋滞していた。


チャーシューの脂の香りが、海苔の香りに体当たりする。


俺の部屋の真ん中で、家系全部が押し合いへし合いしていた。


換気扇が、もう一段大きな悲鳴を上げる。


「家系法度・第十九条」


メンちゃんが突然、宣言した。


「会議中の増殖、禁止」


寸胴が一つ、しゅん、と湯気に戻った。


「第二十条。プラカードを持って主張する者は、まず一口ぶんの理由を言うべし」


プラカードが、ぱたぱたと下りていく。


「条項の増え方が理不尽なんだよ」


「理不尽な会議には、理不尽な法度です」


正しいような、正しくないような。


だが、部屋の渋滞は、少しだけほどけた。


俺はメンちゃんを見た。


彼女は腕を組んでいる。


やきもちというより、審判の顔だった。


ただし、審判のリボンが少し怒っている。


「ご主人様」


「何だ」


「今、全員の言葉に少しずつ頷いた」


「頷いたな」


「全部好きなの?」


「全部好きだ」


メンちゃんの頬が膨らむ。


「正直すぎる」


「嘘をつく場面でもない」


「そういうところが危ない」


その指摘は正しい。


俺はどの店にも惹かれている。


だから会議が成立してしまっている。


プラカードが、ぱたぱたと再び上がり、けん子が第二回投票を宣言する。


「疲れた身体を引き戻すなら、麺乃峠です」


峠子の声が、ひときわ大きかった。


「骨太のスープは、山道の帰りに——」


かたん、と乾いた音がした。


峠子のプラカードが、床に落ちていた。


拾おうとした峠子の指が、プラカードをすり抜けた。


指先が、白かった。


いや、湯気だった。


第一関節から先が、輪郭をほどいて湯気に混ざろうとしている。


さっきまで議席だ投票だと騒いでいた部屋が、一瞬で静まり返った。


換気扇の低い音だけが、やけに大きく聞こえる。


「峠子?」


メンちゃんの声が硬い。


峠子は、慌てなかった。それが、逆に怖かった。


「……失礼しました。会議を、続けてください」


「続けられるか」


足元の山の土色の影が、来た時より細い。


麺乃峠で俺の「また来たい」に濃くなった、あの影が。


「峠子」


こはるが静かに名前を呼んだ。


「いつからですか」


峠子は少し黙ってから、諦めたように言った。


「観光の季節が終わってから、山の店は、静かです」


「常連さんは来てくれます。でも、少ない」


「『また来たい』が細くなると、妖精は湯気へ戻ります」


「私のは、たぶん、この中で一番細い」


一番大きな声で骨太の一杯を推していたのが、一番細い妖精だった。


「誰が人になれるか」も「湯気に戻りたくない」も、さっきまでは湯気の向こうの抽象論だった。


それが今、俺の部屋の真ん中で、指先から薄れていく実物になっている。


店から出られないはずなのに、中伊豆の駅のホームまで、半歩だけついてきた影。


あの願いの強さは、客足の細さの裏返しだったのだ。


「家系法度・緊急条項」


メンちゃんが、宣言した。


「妖精は、仲間を湯気に戻さない」


「そんな条項、あったのか」


「今、作った」


「今作った条項が一番まともだな」


メンちゃんは峠子の前に立った。


怯えも隠れもせず、いつも俺の後ろか隣にいる彼女が、今日は一番前に立っていた。


「峠子、手を出して」


「メンちゃん、これは」


「議長権限」


「議長選は決裂したはずでは」


「今、可決した。全会一致で」


異議は出なかった。こういう時だけ、この会議は速い。


メンちゃんは、胸元のリボンの奥から、麺ノ家の最後の一杯と同じ色の湯気を一筋、取り出した。


「私の湯気。少しだけ、持ってて」


湯気が白い指先にそっと巻きつき、指の輪郭が戻り始めた。


「潮風子は帰り道の軽さ。けん子は、押された瞬間のボタンの光」


海風の色の風と、食券の小さな光が、峠子の手の甲に灯る。


「こめりは炊きたて。雨乃は傘の下。こはるは——記憶を、少しだけ」


白い湯気と静かな水滴が重なり、最後に、こはるが古い写真の色の指で触れた。


「何十年ぶんの、常連さんの顔です」


「重いです」


「温かいでしょう」


「……はい」


峠子の指が五本とも戻り、足元の山の土色の影も戻ってくる。


部屋中の妖精の温かさを一人に集めた、即席の寸胴みたいだった。


「皆さんの温度がします」


メンちゃんは頷いて、それから言った。


「でも、これ、治ってないから」


「借り物の温かさは、すぐ薄れる。他人のスープは、自分の出汁にならない」


「峠子を繋ぎ止めたんじゃなくて、薄れるのを遅くしただけ」


「応急処置。それ以上でも、以下でもない」


「分かっています」と峠子は頷いた。


「本当に残るには、借り物ではない、私の店の『また来たい』がいる」


彼女達は、俺を奪いたいわけではない。


自分の店の一杯を、本気で好きでいてほしいだけなのだ。


だが、誰にも選ばれないままでいると、こうやって薄れていく。


それを俺達は今、見てしまった。


「湯気に戻るのは、怖いですか」


メンちゃんが聞いた。


峠子が、一番に答えた。


「怖くないと言えば、嘘になります」


「さっき、指の先から、音が消えました」


「あちら側は、静かすぎます」


潮風子は窓の外を見る。


「声だけ残るのも、少し寂しいですよ」


けん子は食券を握る。


「次に押してもらえないボタンは、暗いです」


こめりはしゃもじを下げる。


「茶碗が空のままだと、やっぱり寒いです」


雨乃は小さな水滴を見た。


「雨の日に思い出してもらえないと、店の中も静かです」


こはるは、少しだけ間を置いてから、微笑んだ。


「それでも、常連の顔が残っています」


その答えの後、しばらく誰も話さなかった。


部屋の時計の秒針だけが鳴る。


湯気に戻りたい妖精なんて、一人もいなかった。


みんな、誰かの帰り道に残りたいだけだった。


メンちゃんは、いつものように俺の前へ立った。


だが、今度は俺を隠すためだけではない。


妖精達全員に、ちゃんと見える場所へ立った。


自分も消えたくなかった。


自分も、うまいと言ってもらいたかった。


だから、彼女達の願いが分かる。


「でも」


メンちゃんは一歩、前に出た。


「ご主人様一人を使って、みんなが人になるのは違う」


妖精達は何も言わない。


「ご主人様の胃袋も休日も、一つしかない」


メンちゃんの声は、静かだった。


「無理して食べたら、うまいが嘘になる」


「次の休日を全部渡したら、今のうまいが義務になる」


けん子の食券が静かになる。


こめりの湯気が細くなる。


「でも、忘れない」


メンちゃんは、机の上の巡礼ノートを開いた。


そこには、全員の名前がある。


峠子。


潮風子。


けん子。


こめり。


雨乃。


こはる。


そして、メンちゃん。


「一人をとりこにするんじゃなくて、たくさんの『また来たい』で残ればいい」


「でも、それだと時間がかかります」


けん子が言った。


「一人を強くとりこにした方が、早く人に近づける」


「峠子には、その方が早い」


その言葉に、部屋の湯気が少し濃くなる。


こめりも目を伏せた。


「早い方が、寂しくない時もあります」


俺が毎週通えば、と言いかけるより先に、峠子が首を振った。


「それは、赤い食券と同じです」


毎日食べなければ消える、あの赤い日々を、俺は忘れていない。


「義務の『また来たい』で残っても、それは、私の店の一杯ではありません」


「私は、もう長いこと、湯気に戻っていません」


部屋の端で、こはるが静かに言った。


古い写真みたいな色の指を、そっと胸に当てる。


「誰か一人に、とりこにされたわけじゃない」


「何十年も、たくさんの人が、あの店まだあるかな、って思い出してくれた」


「その小さな『また来たい』が積もって、私を残してくれた」


けん子が、食券を握ったまま、まばたきをした。


「……時間はかかるけど、湯気に戻らない残り方だ」


自分で口にした言葉に、今、気づいたみたいだった。


一人を虜にして早く人になる道が、駄目なわけじゃない。


でも、こはるは、別の道でずっと消えずにいる。


たくさんの帰り道の、たくさんの「また来たい」に、少しずつ支えられて。


一人の取り合いではなく、たくさんの「また来たい」が集まる場所。


そのカオスの真ん中から、細い糸みたいに、一つの道が見え始めていた。


もう、抽象論ではない。


その道の先に、峠子がいる。


メンちゃんは頷いた。


否定しなかった。


「分かる」


その一言で、妖精達が少し驚いた顔をした。


「私も、早く隣に立ちたかった」


メンちゃんは、峠子に一筋分けたぶんだけ湯気の細くなった、胸元のリボンを見た。


「ご主人様に見てほしかった。うまいって言ってほしかった」


メンちゃんの声は揺れなかった。


「でも、早く人になるために、ご主人様を閉じ込めたら」


彼女は一度、息を吸った。


「私はご主人様の好きな家系じゃなくなる」


俺は息を止めた。


彼女は自分のことも含めて言っている。


そして、メンちゃんは、さっきプラカードを持っていた全員を、ゆっくり見回した。


「峠子の濃さも、潮風子の抜けも、けん子の限定も」


「こめりの米も、雨乃の傘も、こはるの記憶も」


一つずつ、名前を呼ぶように言う。


「全部、ちゃんとおいしい」


それは、やきもちから一歩だけ前に出た声だった。


自分以外の家系を、はじめて、まっすぐ認めた声だった。


「だから、消えてほしくない」


その言葉は部屋全体に向けられていて、目だけは峠子を見ていた。


こはるが小さく頷いた。


「店の記憶として」


「うん」


潮風子が笑う。


「風通しがいい結論ですね」


峠子は静かに言った。


「山道にも、道は一本ではありません」


けん子が食券をしまう。


「次の休日は、その時の自分で押してください」


こめりはしゃもじを下げる。


「その日の胃袋に聞いてください」


雨乃は傘を閉じる。


「雨の日に、思い出してもらえれば十分です」


メンちゃんは少しだけ泣きそうな顔で笑った。


俺は言った。


「次の休日、俺だけで決めない」


全員が俺を見る。


「メンちゃんと相談して決める」


メンちゃんが目を丸くする。


「私と?」


「一緒に選ぶ相手だからな」


その言葉を聞いた瞬間、メンちゃんのリボンが小さく跳ねた。


本人は気づいていない。


峠子が少し微笑んだ。


潮風子は窓から入る風を細くした。


けん子は食券を半分だけ俺に見せて、半分をしまった。


こめりは炊飯器から目を離した。


雨乃は傘をきれいに畳んだ。


こはるは、古い写真みたいな目で笑っている。


誰も勝っていない。


誰も完全には負けていない。


それが、今のところ一番いい結論なのだと思う。


「では、決を採ります」


峠子が背筋を伸ばした。


「次の休日、ご主人様が選んだ一杯で、確かめましょう」


「何をだ」


「一人を虜にしなくても、たくさんの『また来たい』で残れる、ということを」


「なら、次は麺乃峠に」と言いかけた俺に、峠子は首を振った。


「私の店に来てもらうのでは、皆さんの温かさと同じ借り物です」


「知りたいのは、道そのものが本当にあるかどうかです」


「道が本当にあるなら、うちの常連さんの細い『また来たい』も、いつか私を支えます」


こはるが、ゆっくり頷いた。


「私一人だと、昔の話で終わってしまいます」


「ご主人様の一杯で、今の話にしてください」


けん子が票箱をもう一度出した。


「賛成の方は、一票」


今度は、六対六の地獄にはならなかった。


峠子が最初に票を入れた。


まだ少し白い指先で、誰よりも早く。


満場一致。


この会議で初めての、まともな多数決だった。


「家系会議・本日の決議」


メンちゃんが、審判の顔のまま宣言した。


「次の休日、ご主人様が選んだ一杯で、『また来たい』で残る道を実証する」


そこで一度言葉を切り、峠子をまっすぐ見た。


「峠子を、湯気に戻さないために」


峠子の目が、少しだけ揺れた。


「以上。議決に従い、散会」


部屋の湯気が少し揺れた。


増えた寸胴も、いつの間にか一つ残らず消えていた。


換気扇が、ようやく普通の音に戻る。


妖精達の姿は、消えない。


かといって、濃くなりすぎもしない。


妖精達がいた場所に、小さな湯気の印が残った。


峠子の印だけ、少し細い。


けれど、消えてはいない。


帰り際、峠子は「騒がせました」と頭を下げ、山の店へ帰っていった。


「騒いだのは全員だ」


会議は終わった。


議題は、もう残っていない。


残っているのは、次の休日の実証だ。


妖精達が帰った後、部屋には少しだけ匂いが残った。


山の土。


海風。


券売機の紙。


炊きたての米。


雨の布。


古い写真。


それらが混ざっているのに、嫌な匂いじゃない。


ただ、腹が減る。


非常に問題のある残り香だった。


メンちゃんはノートを抱えた。


「ご主人様」


「何だ」


「実証って、けっこう責任あるね」


「あるな」


「今日から、責任に顔がついた」


「峠子の指、まだ少し白かった」


「見てた」


「でも、一緒に選べるのは、ちょっと嬉しい」


「そうか」


「あと、候補が多すぎる」


「それは本当にそう」


俺たちは、湯気の残る部屋で顔を見合わせた。


次の一杯は、もう俺だけの選択ではない。


たくさんの「また来たい」で残れるかどうかを確かめる、最初の一杯だ。


その答えを、山の店で待っている妖精がいる。


散会はしたのに、腹の減る宿題と、湯気に戻せない顔が残った。

峠子、潮風子、けん子、こめり、雨乃、こはるが集まりました。


彼女達は主人公を奪いたいのではなく、自分の店の一杯を忘れられたくない。


会議の途中、客足の細い山の店の峠子が、湯気に戻りかけました。


妖精達が温かさを分け合って繋ぎ止めましたが、借り物の温かさは応急処置にすぎません。


メンちゃんは、その願いを知ります。


そのうえで、主人公一人を差し出すのではなく。


たくさんの「また来たい」で残る道を選びました。


会議の決議はひとつ。


次の休日、主人公が選んだ一杯で、その道を実証すること。


峠子を、湯気に戻さないために。


次は、休日家系巡礼の区切り。実証の日です。

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家系ラーメンを愛しすぎた男と、ラーメンの化身・メンちゃんの物語。
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