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平八郎とトミ、タタミイワシはじめました

作者:東曌
最新エピソード掲載日:2026/09/24
「2026年 が物価高だと嘆くみなさま、米びつが空になるということは、すなわち『死』を意味していたのだ」
時は江戸時代初期、西暦一六三五年――寛永十二年。
徳川三代将軍・家光の治世のもと、京都では第百九代の女帝・明正天皇の御代(みよ)が、戦乱の消え去った天下を穏やかな光で包み込んでいました。しかし、東国・相模湾のうら寂れた漁村に暮らす民にとっては、日々の飢えをいかに凌ぐかという、冷徹な生存の闘いがあるばかりでした。
現代の二〇二六年のような「物価高」などという生ぬるい言葉では決して片付けられない、文字通り「生きるか死ぬか」の圧倒的な飢餓の不条理。便利で近代的な機械や、お洒落な写真(インスタグラム)の欺瞞など入り込む隙もない、生身の人間と大自然が直接ぶつかり合う、江戸初期の泥臭い暮らしの現実がそこには横たわっていたのです。
相模湾の貧しい漁師・平八郎(へいはちろう)は、五人の子供たちを抱え、毎日「今日のご飯はどうするのさ!」と怒鳴り散らす、近所でも評判の、おっかなくて口の悪い女房・トミの剣幕に怯えていました。
「あんた! 起きておくれよ! 今日も米びつは、いつも通り上から下まで、これっぽっちの粒も残っちゃいない、完全な空っぽだよ!」
ガランと無慈悲にひっくり返される、空の米びつ。水道もガスも電気もない不便な冬の夜明け、それは「家庭の崩壊と餓死」がすぐ目の前に迫っているという、張り詰めた絶望の淵でした。
「本書(本作品)はフィクションです。作中に登場する人物、団体、名称、地名、事件などはすべて架空のものであり、実在するいかなる対象とも一切関係ありません。また、特定の思想・信条・宗教を支援または誹謗中傷する意図はございません。」
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