お友達になった働き者の妻
諸事情で短く軽く書いてみた連載でした。
時間ができたらアルメリアの話しなんかまた書いてみたいです。皆さんありがとうございました。
帰りの馬車の中、セレンが気疲れしていないか尋ねてきた。
いささかポーッとしている新妻が、心配だったのだが話しを聞いて更に驚きと心配が増す。
「アルメリア様のご友人になって欲しいと頼まれました、皇帝陛下からも。」
「え?なんだって‼︎」
「アルメリア様はまだお子様がいらっしゃいませんよね?だから、後宮も完全に解体できないそうでその上、皇妃様より先に後宮にいらっしゃる方々から様々な嫌がらせを受けていらっしゃるそうです。そんな鬱憤を晴らす為に街に出たりしていたそうなのですが・・・何故か私をとてもお気に召されたそうで、侍女ではなく一人の友人としてこれからもお城に来て欲しいと、そうすれば街に出歩いたりしないからと皇帝陛下に頼まれた様で、サーラさんと皇帝陛下から頭を下げられましては断れませんでした。」
「・・・確かに皇妃様が街へ出るのを止めれば私達の仕事も楽にはなる・・・が、いいのか?ハンナ。」
フーッと、深い息をつきハンナは話し始めた。
「皇妃様がお忍びで街に出るのは、いくらサーラさんが手練れとはいえやはり危険でしょう?それに何かあればセレンの責任も問われるとか考えると・・・あと、皇妃様は城内にあまり味方がいらっしゃらないようでええとこれは女性問題ですが。なんだか空元気で明るく見えて実は寂しいお方に思えました。だから私、身軽なうちは時々ご様子を伺いに行かせていただこうかと。」
「身軽なうち?」
「///そ、そのうち私達も赤ちゃんを授かるだろうしそれまでなら・・・」
ハンナは今度は男らしい胸板に抱き締められていた。
「ならば、早く身重になって私だけのハンナになってもらわねばな。」
「え///や、ちょっ」
馬車は甘い空気を含み二人の住む伯爵家の仮住まいへと帰っていく。
「屋敷を建てよう、庭があり子どもが走り回れる様な。」
「///はい・・・///」
この後、しばらくの間ハンナとアルメリアは友情を育み、そしてお互いに小さな命も授かるがそれはまた、少し先のお話しになる。
とにかく仕事に一途な二人は確かにこの皇妃の登場でめでたく結ばれたのだ。不器用でなかなか会いに行けない騎士と働き者で気だての良い婚約者が結ばれるお話しはひとまずこれでお・し・ま・い。