第9話 毒と呪い
いつも読んでいただきありがとうございます。
試合前。
月狼が口を開く。
「言ってなかったな」
「このフィールド内、攻撃は全て“殺せないように調整されている”」
宵うさぎが笑う。
「武器も同じだよー、斬れないし貫けない」
「能力の武器は……」
第3試合
弥生、鈴蘭VS皐月、彼岸花
第4試合
水無月、蓮VS霜月、撫子
第5試合
神無月、薔薇VS葉月、ネモフィラ
第6試合
長月、牡丹VS師走、紫陽花
フィールドが変わる。
ジャングル。
そして、空から落ちる雷。
「始めろ」
その瞬間。
弥生が動く。
地面がうねる。
木が生える。
「生命の力、舐めるなよ……」
一気に防壁を作る。
鈴蘭の手の中。
霧が生まれる。
「……」
「ここで広げるなよ」
返事はない。
「……まぁいい」
その時。
轟音。
雷――ではない。
皐月の拳。
木を叩き砕く音。
「ちっ、硬ぇな」
「外、静かにしてくれ」
弥生が言う。
鈴蘭が頷く。
霧が、外へ流れる。
木々の隙間から。
じわじわと。
広がる。
「……なんだこの霧」
皐月が眉をひそめる。
「下がり」
彼岸花。
「……毒や」
皐月が飛び退く。
「マジかよ……」
「せやけど」
彼岸花が続ける。
「水分には変わりない」
皐月が笑う。
「雷で焼けるってことか」
肩に触れる。
「任せたわ」
その瞬間。
宵うさぎの顔色が変わる。
「……綺麗な人は怖いなぁ」
月狼が睨む。
「真面目にやれ」
空気が締まる。
次の瞬間。
雷が走る。
霧へ。
だが――
流れない。
地面へ逃げる。
「はぁ!?」
「当たり前や」
彼岸花が冷たく言う。
「木も水も、全部繋がってる」
「電気は逃げるんや」
皐月が舌打ちする。
「チッ……」
その瞬間。
動きが止まる。
「……あ?」
体が、重い。
「な……に……」
彼岸花が、ゆっくりと歩く。
「やっと咲いたな」
肩に。
赤い花。
彼岸花。
「いつの間に……」
「最初や」
静かな声。
「触れたやろ?」
皐月の顔が歪む。
「呪いや」
「死なん程度に、抑えとる」
膝が崩れる。
「……くそ……」
完全に倒れる。
静寂。
彼岸花が手を上げる。
「降参や」
「相方倒れたら、試合にならへん」
月狼が頷く。
「勝者――弥生・鈴蘭」
木がほどける。
弥生と鈴蘭が現れる。
「……何が起きた?」
「さぁな」
ただ1つ。
空気だけが変わっていた。
9話も読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願い致します。




