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今宵月 月花大戦  作者: アル治
月花大戦

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7/8

第7話  月に触れる者

いつも読んでいただきありがとうございます。

試合後の夜。

主催側ホテル。

静まり返った廊下。

音もなく。

1つの影が、歩いていた。

「……ここやな」

小さく呟く。

扉の前。

ノックは、しない。

「――入るで」

その瞬間。

空気が、歪んだ。

中にいた気配が、反応する。

「……誰だ」

低い声。

彼岸花は、静かに笑った。

「誰でもええやろ」

1歩、踏み出す。

「殺す相手なんやから」

次の瞬間。

距離が消える。

手が、届く。

その時。

「――そこまでだ」

止まった。

彼岸花の手が、空中で止まる。

「……は?」

視線の先。

いつの間にか。

1人、立っていた。

師走。

「そこ、どいてくれへん?」

彼岸花が言う。

「それは出来ない」

「なんで?」

1歩。

師走が前に出る。

「月を殺していいのは――」

その目が、細くなる。

「俺だけだ」

空気が変わる。

彼岸花が、笑う。

「はぁ……」

「面倒なん来たなぁ」

その瞬間。

“消えた”

次の瞬間。

衝撃。

師走の腕と、彼岸花の手がぶつかる。

「……速いな」

師走が呟く。

「そっちもな」

彼岸花が笑う。

一瞬の静寂。

そして。

「今日は、やめとくわ」

すっと、距離を取る。

「試合、壊したらあかんしな」

師走は動かない。

ただ見ている。

「次は、止められる思わんといてな」

背を向ける。

「神無月は、うちが殺す」

足音が遠ざかる。

静寂。

師走が、ぽつりと呟く。

「……好きに言え」

その視線は、扉の向こう。

「殺すのは――俺だ」

夜は、まだ終わらない。



廊下。

「……次は、お前だ」

霜月の声。

睦月が振り向くより早く――

殺気。

その瞬間。

「危なっ!」

向日葵が割って入る。

衝撃。

拳と刃がぶつかる。

「……邪魔だ」

霜月が呟く。

「するよ」

向日葵が笑う。

「この人、うちのペアだから」

一瞬の静寂。

霜月の目が細くなる。

「……なるほど」

視線が向日葵に向く。

「お前か」

空気が変わる。

次の瞬間。

消える。

いや――

遅くなる。

世界が、わずかに歪む。

向日葵の動きが“遅れる”。

その隙に。

霜月が距離を取る。

「……今日はいい」

「順番がある」

振り返る。

「次は、殺す」

完全に消えた。

時間が戻る。

「……なに今の」

向日葵が呟く。

睦月が小さく息を吐く。

「面倒なのに目をつけられたな」


廊下の先は暗く見通せない。

第7話も読んでいただきありがとうございます。

今後もよろしくお願い致します。

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