↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今宵月 月花大戦  作者: アル治
神の謀略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/67

第66話  決着

いつも読んでいただきありがとうございます。

神は、自分の身に何が起きたのか理解できず、その場に立ち尽くしていた。


ゆっくりと腹へ手を当てる。


「……痛みがある……。」


「何が……あった……?」


向日葵は何も答えず、鋭い眼差しで神を睨みつける。


その視線が交わった瞬間――向日葵の姿が消えた。


次に神の目に映った景色は、大地だった。


向日葵の拳が神の顔面を捉え、そのまま地面へ叩きつけていた。


圧倒的な力。


だが、その代償も大きい。


向日葵の口から血が流れ落ちる。


神の攻撃による傷ではない。


限界を超えたバフと言霊が、内臓を少しずつ破壊していた。


神は立ち上がる。


「神を超えるはずがない!」


怒声と共に、水鏡を全身へ展開する。


だが、向日葵は止まらない。


一直線に拳を振り抜く。


拳が水鏡へ触れた瞬間、神の口元がわずかに緩んだ。


その光景を見つめる師走は、ただ祈っていた。


誰に願うでもなく、ただ願った。


向日葵の拳が当たった水鏡は、大きく波紋を広げる。


そして、触れた部分の水が一瞬で蒸発した。


蒸気が立ち上る。


次の瞬間――


ドォォォン!!


小規模な水蒸気爆発。


爆煙の中から神が吹き飛ぶ。


その後を追うように風が駆け抜ける。


神が吹き飛ばされるたび、爆発が起こる。


周囲の者たちには、そうとしか見えなかった。


薔薇が思わず呟く。


「……凄いですわ。」


如月も目を見開く。


「強ぇ!」


だが、睦月と文月の顔色は青ざめていた。


「早くしろ!」


「時間がないぞ!」


睦月の言葉どおりだった。


向日葵は口から血を流し続け、拳は裂け、血に染まり、原形を失いつつある。


神もそれに気付いていた。


勝てない。


だからこそ、時間を稼ぐ。


あらゆる手を尽くす。


しかし、その全てを向日葵の力がねじ伏せる。


「もう少し……。」


神は必死に時間だけを求める。


向日葵は何も言わない。


ただ、神を睨み続ける。


その足は小さく震えていた。


もう時間がない。


このままでは向日葵の命が尽きる。


神は笑う。


「私の勝ちだな。」


「もう戦えないだろ?」


それでも向日葵は睨み返す。


「よく頑張った。」


「しかし所詮、人間は神には勝てない!」


その瞬間。


向日葵が一気に距離を詰めた。


渾身の拳が神の胸を貫く。


神の口から大量の血が噴き出した。


師走は勝利を確信し、能力を解除しようとする。


しかし――


向日葵が振り返り、師走を見た。


その瞳に宿るのは、圧倒的な殺意。


師走は理解した。


まだ終わっていない。


神は胸を貫かれてなお、生きていた。


向日葵は腕を胸へ突き刺したまま、神の顔を蹴り飛ばす。


その衝撃で右腕が折れる。


それでも止まらない。


左右の足で、何度も、何度も神の顔を蹴り続ける。


そして――


右足を振り抜いた、その一撃。


神の首が宙を舞った。


「……えっ?」


神の頭が地面を転がる。


体はゆっくりと崩れ落ち、2度と動かなかった。


その場にいた誰もが息を呑む。


誰1人、すぐには動けなかった。


長かった戦いが、本当に終わったのだ。


その静寂を破るように、師走が能力を解除する。


向日葵は大量の血を吐き、右腕は折れ、拳は原形を留めないほど砕けていた。


神無月と梅がすぐに駆け寄る。


2人は必死に回復を続ける。


少しずつ、向日葵の傷が癒え始めた。


その時だった。


神の首だけが、わずかに動く。


「……わ……わたしが……。」


その周りには月花たちが静かに立っていた。


誰も勝ち誇らない。


誰も罵らない。


ただ、最後を見届けていた。


「……わたしを……見下ろすな……。」


神は苦しそうに呟き、遠くを見つめる。


「……女神……すまん……さは……。」


その一言を最後に、神は静かに息絶えた。


睦月は回復を受ける向日葵へ駆け寄る。


「向日葵!」


「約束を破るのか!」


「世界一周はどうするんだよ!」


「パフェも食べるんだろ……。」


「帰ってこいよ……向日葵……。」


神無月と梅は諦めることなく、回復を続けていた。



次回最終回になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。