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今宵月 月花大戦  作者: アル治
神の謀略

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第64話  神激突

いつも読んでいただきありがとうございます。

最終章

月狼と宵うさぎが静かに前へ出る。

月狼が短く告げる。

「バフを。」

宵うさぎも続けた。

「言霊を。」

2人の声が重なった瞬間、睦月と文月も同時に動く。

これまで仲間たちへ掛けていたバフと言霊をすべて解除し、その力を月狼と宵うさぎへ集中させる。

限界までではない。

以前、向日葵が意識を失いかけた、その一歩手前――耐えられる限界まで。

月狼が息を呑む。

「っ……!」

宵うさぎも苦笑した。

「結構キツいんだね。」

次の瞬間。

2人は同時に地面を蹴った。

神を前後から挟み込み、顔面へ渾身の蹴りを叩き込む。

だが――

2人の蹴りは水鏡に阻まれ、そのまま跳ね返される。

「くっ!」

「邪魔だな。」

2人一瞬の間で上手く、力を逃がしていた。

その時だった。

師走が目を見開く。

「あれは……!?」

水鏡に、小さな波紋が広がっていた。

今までどんな攻撃を受けても、水鏡はただそこに存在するだけだった。

傷一つ付かず、揺らぐことすらなかった。

だが今、月狼と宵うさぎの蹴りによって、初めて波紋が生まれた。

強すぎる衝撃だからか。

それとも、水鏡が限界に近付いているのか。

師走は歯を食いしばる。

「判断出来ない!」

月狼と宵うさぎも無理はせず、一度距離を取った。

神は2人を睨み付ける。

「貴様ら……鏖殺だ。」

その目が狂気に染まる。

「いや……人間は全員、鏖殺だ!!」

神の殺気が会場を覆い尽くす。

月花たちは、その圧倒的な威圧感に思わず息を呑んだ。

だが、その空気を切り裂くように声が響く。

「まだです!」

金木犀だった。

秋桜も微笑みながら前へ出る。

「まだ~終わらないよ~。」

秋桜は残された力を振り絞り、重力で水鏡を引き寄せる。

決勝戦の消耗は激しく、もう長く能力は使えない。

それでも、最後の力を振り絞った。

わずかに下がった水鏡。

その一瞬を逃さず、金木犀がクロスボウを放つ。

神は余裕の表情で矢を掴む。

しかし、1本。

また1本。

金木犀は立て続けに矢を放ち続けた。

その中の1本を、秋桜が重力で加速させる。

矢は神の頬をかすめた。

神の表情が変わる。

「……貴様ぁぁぁ!!」

怒号とともに口を開いた、その瞬間。

左右から月狼と宵うさぎの蹴りが、再び神の顔面へ炸裂する。

蹴りを受けながらも神は笑う。

「殺される準備は出来ているみたいだな!」

次の瞬間。

月狼は拳で殴り飛ばされる。

宵うさぎは膝蹴りを腹へ受け、宙高く吹き飛ばされた。

「月狼!」

「宵うさぎ!」

月花たちの叫びが響く。

自分たちより遥かに格上である2人。

その2人が、バフと言霊を受けてもなお、勝てない。

絶望が、全員の胸へ重くのしかかった。

神無月がすぐに前へ出る。

「大国主大神!」

神々しい光が月狼と宵うさぎを包む。

梅もわずかな力を振り絞り、2人へ回復を重ねる。

月狼は静かに立ち上がった。

「問題ない。」

宵うさぎも笑みを浮かべる。

「大丈夫。まだやれる。」

もちろん、無傷ではない。

だが――

神もまた、無傷ではなかった。

神の口元から血が流れる。

神は口の中に溜まった血を吐き捨てた。

「……切れたか。」

確かにダメージは通っている。

しかし、このままでは勝てない。

秋桜も限界が近い。

回復も、バフも、永遠には続かない。

持久戦になれば、敗北は避けられない。

重苦しい沈黙が、戦場を包み込む。

その空気を打ち砕いたのは――

たった一言だった。

向日葵が、1歩前へ出る。

その瞳には迷いがなかった。

「私がやる!」

今後もよろしくお願いいたします。

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