第62話 女神との決戦
いつも読んでいただきありがとうございます。
女神は怒りを露わにしながら、3人へ次々と斬りかかった。
剣術と呼ぶには荒々しい剣筋。
だが、血塗られた剣、その1撃は当たれば致命傷となる。
薔薇、椿、芍薬は防戦一方となり、攻撃へ転じる隙を見つけられない。
後方では卯月と撫子が分身体を生み出し続けていた。
しかし、その能力にも欠点がある。
分身体は本物と見分けがつかないほど精巧だが、卯月と撫子、そして本人以外には区別ができない。
不用意に援護へ向かえば、本物ではなく分身体を助けてしまう可能性があった。
そのため3人は、自らの身を守ることだけで精一杯だった。
薔薇が細剣を構え直す。
「くっ……水鏡が多すぎますわ!」
芍薬も歯を食いしばる。
「隙間はある……でも、その隙間を動かされる!」
女神は鼻で笑った。
「諦めて、バラバラになれ!」
卯月と撫子の後方。
4人に守られるように立つ彼岸花の手には、小さな瓶が握られている。
その瓶の中から――
黒い彼岸花が、静かに花開いた。
彼岸花 「出来ました……1本ですが。」
その瞬間。
膝をついていた神が僅かに立とうとしたように見えた。
如月は黙って能力を使い続け、神を氷で拘束し続けていた。
異様な空気を感じた女神が彼岸花へ視線を向ける。
黒い彼岸花。
女神は小さく鼻で笑う。
「黒……?」
「呪いも扱えない半端者だったか。」
「そんな出来損ないどもに、ここまで押されるとは情けない。」
彼岸花は黒彼岸花を手に、ゆっくりと女神へ歩み始めた。
その前には薔薇、椿、芍薬。
後方には卯月と撫子が控える。
女神は冷たく笑う。
「そんな出来損ないを守るのか。」
「まぁ……受けてやる義理はないがな。」
その言葉と同時に、睦月が3人へのバフを解除し、卯月と撫子へ掛け直す。
睦月も文月も限界が近い。
それでも2人は最後まで仲間を支え続ける。
卯月は肩を回した。
「凄いものだな。」
撫子も笑う。
「いい感じー!」
次の瞬間。
前衛は6人になっていた。
本物と見間違えるほど完成度の高い分身体。
本人ですら見分けがつかないほどの精度だった。
薔薇が皆へ声を掛ける。
「見分けが付きませんわ!自分だけを守りなさい!援護へ行けば逆にやられます!」
椿が笑う。
「私がやってやるよ!」
芍薬も頷いた。
「薔薇も気を付けて!」
3人と3体の分身体が、一斉に女神へ襲い掛かる。
女神は薄く笑った。
「ふっ……。」
「分身は攻撃してこない。」
「反射で消えてしまいますからね。」
女神は迫る方向へ次々と水鏡を合わせる。
水鏡が動くたび、その隙間の位置も変わる。
彼岸花は位置が悪いと判断し、1度退いた。
3人と3体の分身体が攻撃を続ける。
女神の言う通り、薔薇の攻撃が水鏡みに当たり跳ね返ると、薔薇が消える、分身体は付加がかかると消えてしまう、しかし卯月、撫子は不敵に笑っていた、彼岸花は前衛3人に混ざり黒彼岸花を撃ち込む機会を狙っていた、女神もそれに気付いて、彼岸花を警戒はしている、3人と分身体が攻め立てる、女神も少し冷静になりつつある、剣術が戻ってくる、分身体も消されるがすぐに2人に生み出される。
女神も消えて生み出される分身体を見て段々本体の目星がつくようになる、
女神「お前は本物だろ?」
女神が椿に斬りかかると、大剣で受ける、
椿「読まれたか!」
女神の動きが止まった、残りが一斉に女神に斬りかかる、女神も水鏡を攻撃の場所に合わせるが、薔薇の後ろから彼岸花が現れる。
女神「姑息な手を使うな!」
女神が来る方向に水鏡を合わせる、水鏡同士の隙間がまた変わる、彼岸花は位置が悪く引く、他の2人と分身3体は攻撃を仕掛ける、分身は消えたが、女神の気が逸れて、椿が引くことができた。
「面倒だな。」
「慌てないで。必ずチャンスはある!」
再び態勢を立て直す。
卯月と撫子は再度分身体を作り出した。
女神は鼻で笑う。
「また同じか?」
「猿以下だな!」
今度は誰も不用意に攻撃しない。
攻撃すれば分身体が消え、本物を見破られる。
慎重に、慎重に女神を追い詰めていく。
女神が薔薇へ斬り掛かった。
薔薇は紙一重でかわす。
「……本物か?」
その瞬間。
5人が一斉に攻撃へ転じる。
女神は水鏡で受け流しながら、彼岸花だけを探していた。
やがて椿の背後に彼岸花の姿を見つける。
「見つけた!」
椿が大剣で受け止める。
その後ろから彼岸花。
「猿以下が!」
女神は彼岸花の前へ水鏡を集中させる。
隙間はない。
彼岸花も足を止めた。
「出来損ないでも、呪われるのは御免だからね。」
だが――
彼岸花はそのまま水鏡へ突っ込んだ。
「気でも狂ったか?」
違和感。
女神は瞬時に水鏡を自分の周囲へ戻す。
「それも分身か!」
今度は背後から、もう1人の彼岸花。
「やはり姑息だな!」
2人の彼岸花が同時に黒彼岸花を突き出す。
1人は水鏡へ触れ、霧のように消えた。
だが、もう1人は水鏡をすり抜ける。
「……え?」
驚く女神の横から、1輪の黒彼岸花が水鏡の隙間を縫うように伸びる。
そして――
女神の足へ深々と突き刺さった。
「……は?」
女神は呆然と視線を上げる。
そこには彼岸花。
「なんで……彼岸花が3人……」
「…いた?」
黒彼岸花を刺されたまま、女神は彼岸花を見つめ続けていた。
今後もよろしくお願いいたします。




