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今宵月 月花大戦  作者: アル治
神の謀略

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第59話  神殺しの準備

いつも読んでいただきありがとうございます。

最終章 神の謀略

第四話 神殺しの準備

神の炎に包まれた拳が結界へ叩き込まれる。

激しい衝撃と共に、結界へ大きな亀裂が走った。

百合が歯を食いしばる。

「数撃しかもちませんわ……!」

「南天、次の結界を準備してください!」

「はーい、やっとくよ」

今の結界が砕けても、すぐに次の結界で閉じ込める。

百合と南天は神を足止めするための準備を進めていた。

その間に金木犀達も配置につく。

結界を飛ばす役は秋桜。

全員が役割を理解し、動いていた。

やがて結界が悲鳴を上げ始める。

神も少しずつ冷静さを取り戻していた。

「まぁ良い結界だったな」

「私の攻撃を数回も凌ぐとは」

そして次の一撃。

――パリン!!

結界が粉々に砕け散る。

その瞬間だった。

秋桜が小さな結界を神の足元へ飛ばす。

神が気付くより早く、南天が結界を発動。

さらに百合の結界が重ねられる。

神は再び巨大な檻へ閉じ込められた。

「時間稼ぎか?」

「つまらんぞ」

南天が不敵に笑う。

「いくよ、オッサン神」

南天が小さな結界を解除する。

同時に蓮が月花達のいる場所へ浄化を広げた。

神は怪訝そうに眉をひそめる。

「何をしたいんだ」

「何の意味も――」

そこで言葉が止まった。

神が頭を押さえる。

「父上……」

その声に金木犀が目を細めた。

金木犀の香りが効いている。

さらに。

結界の中で大爆発が起きた。

朝顔と藤の花粉。

神の炎。

それらが混ざり合い、粉塵爆発を引き起こしたのだ。

轟音。

煙。

毒。

香り。

精神干渉。

あらゆる能力が混ざり合う。

神はその場から動かない。

炎も消えていた。

追撃の好機。

前衛達が動こうとした、その時だった。

「情けない!」

女神の声が響く。

「人間ごときに苦戦するなんて!」

女神は深く溜め息を吐く。

「もし負けたら私が戦わなきゃいけないじゃない」

「面倒くさい」

「私は戦わないからね」

冷たい視線が月花達へ向けられる。

「毒には毒よ」

女神が静かに名を呼んだ。

「トリカブト」

その瞬間。

女神の影から1人の女性が現れる。

「お呼びですか?」

「トリカブト」

女神は面倒そうに手を振った。

「あいつら全員殺して」

「かしこまりました、女神様」

トリカブトは月花達へ向き直る。

そして静かに息を吐いた。

次の瞬間。

最前列にいた百合を庇うように師走が前へ出る。

師走が膝をつく。

そのまま倒れ込んだ。

「師走!?」

百合の悲鳴が響く。

師走は動かない。

口から胃液を吐き出している。

「毒よ!」

百合が慌てて結界を展開する。

蓮もすぐに浄化を広げた。

「長くはもたない!」

蓮が叫ぶ。

それでも師走は辛うじて呼吸していた。

浄化が間に合ったのだ。

神への追撃は完全に止められた。

百合は師走を見下ろしながら拳を握る。

「長く持たせる必要なんてありませんわ!」

「わたくしがやります!」

怒りに満ちた瞳がトリカブトを捉える。

「わたくしの旦那様に……」

「許しません!」

トリカブトが薄く笑う。

こうして。

百合とトリカブトの戦いが始まった。

一方その頃。

彼岸花と神無月は会場を離れていた。

病室を回りながら走る。

「何をすればいい?」

神無月が問いかける。

彼岸花は迷わず答えた。

「回復です」

「花達の血が必要なのです!」

「血が?」

「神に勝つには、これしかありません」

神無月は黙って頷く。

葉月の病室でネモフィラ。

如月の病室で撫子。

ラウンジで月見草とカトレア。

そして――梅。

「梅、血を分けて!」

突然の頼みに梅は目を丸くする。

「なんで?」

「神に勝つには必要なんです!」

梅は少し考えた後、静かに頷いた。

「……判った」

「でも能力が使えない私の血でいいの?」

神無月が前へ出る。

「大国主大神」

優しい光が梅を包む。

「どうだ?」

梅が能力を試す。

すると。

彼岸花と神無月の傷が僅かに癒えた。

以前ほどではない。

それでも確かに力は戻っている。

「使える……」

梅が驚いたように呟く。

時間の経過か。

神無月の力か。

理由は判らない。

だが、それで十分だった。

24輪の花達の血。

神を討つための最後の希望。

全てが揃った。

彼岸花は小瓶を強く握る。

「行きますよ」

神無月が頷く。

その後ろには、

卯月。

如月。

梅。

撫子。

それぞれが決意を胸に走り出す。

神を止めるために。

仲間達の元へ。

そして。

神殺しの準備は、ついに整った。

今後もよろしくお願いいたします。

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