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今宵月 月花大戦  作者: アル治
神の謀略

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第58話  怒れる神

いつも読んでいただきありがとうございます。

最終章 神の謀略

前衛が入れ替わったことで、戦い方も変わっていた。

勝ち誇るように立つ神。

その周囲には、無数の綿毛が漂っている。

神は不思議そうにそれを見た。

「これが爆発するのか?」

蒲公英が笑う。

「僕の綿毛は、触らない方がいいよ」

神は鼻で笑った。

「私にこんな物が効くか」

「私が貰って、もっと強いものにしてやるよ」

神が綿毛に触れた瞬間。

――ドォォォォン!!

連鎖するように綿毛が爆発した。

煙が会場を覆う。

その瞬間。

前衛達が一斉に駆け出す。

煙の中から神の声が響く。

「やはり、この程度か」

正面から向日葵が飛び込む。

拳に熱を込め、神の顔面を狙う。

本来なら簡単に防がれるはずだった。

しかし。

拳はそのまま届く。

神の両手足には植物が絡み付いていた。

神は感心したように笑う。

「ほぉ」

「痛みが無いから特に気にしなかったが」

拘束していたのは、藤と弥生。

前衛に上がった2人が、植物を操り神の動きを封じていた。

向日葵が笑う。

「いくよ、神様!」

拳の連打が神の顔を襲う。

その間に、牡丹と宵うさぎが背後へ回り込む。

2人のミドルキックが神の脇腹に突き刺さった。

だが。

神は植物を力任せに引き千切る。

そして向日葵へ拳を振るった。

植物が邪魔をしているためか、速度は遅い。

向日葵は余裕を持って避ける。

しかし。

向日葵の服の一部が焦げていた。

「なんで?」

向日葵が神を見る。

神の体が炎に包まれ始めていた。

そして。

神の口元から、一筋の血が流れる。

神の顔が歪んだ。

「この私に」

「この神に……傷を付けたな!!」

向日葵の攻撃は確かに通っていた。

しかしそれは、

神を激怒させてしまった。

「お前ら、骨すら残さんぞ!」

怒りと共に、神の炎が激しく燃え上がる。

女神は深い溜め息をついた。

「これだから嫌なのよ」

「私はもう知らんからな、バカな人間どもめ」

炎に包まれた神。

接近戦は危険と判断した月花達は、一斉に距離を取った。

代わりに前へ出たのは、

百合と南天。

百合が眼鏡を押し上げる。

「本来は防御のためなのですが……」

「南天、判ってますわよね?」

南天が笑う。

「OK、楽勝っしょ!」

2人の結界が神を包み込む。

熱を通さない、巨大な檻。

師走が感心した。

「なるほど、考えたな百合」

百合は満面の笑みを浮かべる。

「はい!」

「結婚式の場所も考えてありますわ!」

師走は頭を抱えた。

「……それは後で……」

「後なら良いのですか?」

「決めてくださったのですね?」

弥生が呆れた顔で割って入る。

「師走、お前は喋るな」

「判った……」

神は炎を纏ったまま結界を破ろうとする。

しかし。

言霊とバフで強化された百合の結界は、簡単には壊れない。

その間に。

金木犀は周囲へ指示を飛ばしていた。

そして南天へ視線を向ける。

「何個か小さい結界を作れますか?」

「小さいのなら問題ないよ」

「なら、結界で箱を作れますか?」

南天は一瞬考え、

そして笑った。

「作れるけど……」

「判った!」

次々と生み出される小さな結界。

その周囲には、

金木犀。

鈴蘭。

藤。

彼岸花。

桜。

紫陽花。

朝顔。

そして、万が一に備えて蓮も準備を整えていた。

一方。

結界の中では、神が怒り狂っていた。

「こんなもので!」

「ふざけるな!!」

結界に亀裂が走る。

しかし。

月花達はすでに次の段階へ進んでいた。

正面で戦う者。

裏で準備する者。

それぞれが役割を果たし、

勝利のために動いている。

その頃。

彼岸花は神無月へ歩み寄っていた。

「神無月」

「ちょっと手伝って欲しいことがある」

神無月が振り向く。

「何を?」

彼岸花は真剣な表情で頷いた。

「貴方の力を借りたい!」

神無月もまた、迷わず頷く。

「判った」

誰も知らない。

彼岸花が何をしようとしているのか。

そして。

それこそが、

神を討つ唯一の方法であることを。

今後もよろしくお願いいたします。

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