第53話 決勝戦
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決勝戦。
月狼、宵うさぎが並び立っていた。
宵うさぎ 「決勝戦~ちゃんと願いは決まってるかな~?」
神になるのか。
神の奇跡を願うのか。
賞金を受け取り、人間として生きるのか。
それが月花大戦の戦利品。
宵うさぎ 「ちゃんと考えて~後悔しないようにね~」
その言葉が終わった瞬間。
会場全体に重圧が走る。
誰も動けない、指すらも動かない。
この感覚。
現、月花大戦主催者。
元・神無月。
「神」
元・彼岸花。
「女神」
二柱の神が姿を現した。
神 「やっと来たか」
女神 「最後くらい見てあげるわ」
神々の前での決勝戦。
月狼の表情がわずかに曇る。
宵うさぎ 「月狼さん~?」
月狼は視線だけを宵うさぎへ送る。
ただそれだけ。
しかし宵うさぎには十分だった。
宵うさぎ 「……月狼さん」
それが宵うさぎに出来る精一杯の言葉だった。
宵うさぎ 「それでは~決勝戦~始めるよ~」
「フィールドは~?」
向日葵 「私は太陽!」
秋桜 「私は豪雨~」
太陽が一切隠れてないのに豪雨という、フィールド。
会場にざわめきが広がる。
矛盾した世界が生まれた。
月狼 「始めろ」
決勝戦が始まる。
向日葵 「最後だから全力でいくよ!」
睦月 「おう!遅れるなよ!」
向日葵と睦月の気迫で空気が変わる。
秋桜 「行くよ、金木犀~」
金木犀 「はい!秋桜様!」
向日葵が一気に距離を詰める。
睦月も同時に強化をかける。
秋桜は自分と金木犀を浮かせ、機動力を上げる。
金木犀が巨大な大剣2本を操り、向日葵を迎え撃つ。
一方。
睦月の前には秋桜。
しかし武器を持たない。
何もしてこない。
睦月 「持久戦かな?」
「付き合うつもりはない!」
二刀流で斬りかかる。
体は重くない。
地面にも異常はない。
本当に何もしていない。
睦月 「ナメ過ぎだ!」
日本刀が秋桜を捉える。
しかし。
直前で止まった。
操作された訳ではない。
秋桜の前に、水の壁が生まれていた。
秋桜 「私は今回、援護だよ~」
睦月が斬り返す。
しかし、また水壁。
さらにその先にも水壁。
秋桜 「水だからって甘く見ると危ないよ~」
豪雨が刃となって睦月を襲う。
腕。
足。
腹。
かなり浅い傷。
しかし確実に血を流していく。
睦月 「厄介なのは変わらないか……」
向日葵もまた苦戦していた。
大剣二刀流。
大剣の攻撃は当たらない。
しかしこちらの攻撃も届かない。
向日葵 「攻撃が通らない!」
金木犀 「秋桜様と共に勝利します!」
向日葵は睦月を見る。
しかし睦月も苦戦していた。
さらに力を上げれば意識が飛ぶ危険もある。
向日葵は覚悟を決める。
向日葵 「私も負けられない理由がある!」
金木犀 「……貴女は、まだ気付いてないんです。」
向日葵 「えっ?なに?」
答える代わりに。
金木犀の大剣二刀流が舞い始めた。
向日葵も太陽を浴び続ける。
時間と共に。
力も速度も増していく。
金木犀は冷たく微笑んだ。
一方。
睦月は何度も水壁を斬り裂く。
しかしその先にまた水壁。
完全な持久戦。
秋桜 「このままなら勝てる~」
睦月 「あまりナメるなよ!」
秋桜 「ナメてないよ~」
「強いから、完璧に準備した~」
睦月が距離を取る。
睦月 「持久戦で勝てると?」
秋桜はニコニコ笑っていた。
そして。
睦月は気付く。
シュゥゥ……
雨が蒸発している。
向日葵 「熱くなってきた!」
金木犀 「秋桜様」
秋桜 「うん~」
秋桜の表情が真剣になる。
秋桜 「向日葵ちゃん」
「これ以上は危ないよ~」
向日葵 「え?」
金木犀 「貴女の熱と、このの豪雨。」
「このまま力を上げ続ければ……」
「会場ごと吹き飛びます。」
睦月 「その為に雨か!」
秋桜 「だから私達、持久戦なんだよ~」
「向日葵ちゃんを倒したいわけじゃないから~」
向日葵 「じゃあ……力を抑えれば……」
金木犀 「そうですね。」
「ですが、それでは貴女達は勝てない。」
金木犀が静かに呟く。
「神なら助けてくれる。」
「そう思っていました?」
秋桜も笑顔を消していた。
秋桜 「でもね~」
「神様は優しくないよ~」
金木犀 「救いなんてありません。」
「私達は、それを知っています。」
睦月 「……どういう意味だ?」
向日葵 「神様なのに?」
秋桜 「それは~」
「戦いながら話そうか~」
再び笑顔を浮かべる秋桜。
金木犀も大剣を構える。
向日葵も拳を握る。
睦月も2本の刀を握り直した。
決勝戦。
そして。
誰も知らない、本当の月花大戦。
その真実へ。
4人は少しずつ近付いていくのだった――。
今後もよろしくお願い致します。




