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今宵月 月花大戦  作者: アル治
崩れる盤面

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53/55

第53話  決勝戦

いつも読んでいただきありがとうございます。

決勝戦。


月狼、宵うさぎが並び立っていた。


宵うさぎ 「決勝戦~ちゃんと願いは決まってるかな~?」


神になるのか。


神の奇跡を願うのか。


賞金を受け取り、人間として生きるのか。


それが月花大戦の戦利品。


宵うさぎ 「ちゃんと考えて~後悔しないようにね~」


その言葉が終わった瞬間。


会場全体に重圧が走る。


誰も動けない、指すらも動かない。


この感覚。


現、月花大戦主催者。


元・神無月。


「神」


元・彼岸花。


「女神」


二柱の神が姿を現した。


神 「やっと来たか」


女神 「最後くらい見てあげるわ」


神々の前での決勝戦。


月狼の表情がわずかに曇る。


宵うさぎ 「月狼さん~?」


月狼は視線だけを宵うさぎへ送る。


ただそれだけ。


しかし宵うさぎには十分だった。


宵うさぎ 「……月狼さん」


それが宵うさぎに出来る精一杯の言葉だった。


宵うさぎ 「それでは~決勝戦~始めるよ~」


「フィールドは~?」


向日葵 「私は太陽!」


秋桜 「私は豪雨~」


太陽が一切隠れてないのに豪雨という、フィールド。


会場にざわめきが広がる。



矛盾した世界が生まれた。


月狼 「始めろ」


決勝戦が始まる。


向日葵 「最後だから全力でいくよ!」


睦月 「おう!遅れるなよ!」


向日葵と睦月の気迫で空気が変わる。


秋桜 「行くよ、金木犀~」


金木犀 「はい!秋桜様!」


向日葵が一気に距離を詰める。


睦月も同時に強化をかける。


秋桜は自分と金木犀を浮かせ、機動力を上げる。


金木犀が巨大な大剣2本を操り、向日葵を迎え撃つ。


一方。


睦月の前には秋桜。


しかし武器を持たない。


何もしてこない。


睦月 「持久戦かな?」


「付き合うつもりはない!」


二刀流で斬りかかる。


体は重くない。


地面にも異常はない。


本当に何もしていない。


睦月 「ナメ過ぎだ!」


日本刀が秋桜を捉える。


しかし。


直前で止まった。


操作された訳ではない。


秋桜の前に、水の壁が生まれていた。


秋桜 「私は今回、援護だよ~」


睦月が斬り返す。


しかし、また水壁。


さらにその先にも水壁。


秋桜 「水だからって甘く見ると危ないよ~」


豪雨が刃となって睦月を襲う。


腕。


足。


腹。


かなり浅い傷。


しかし確実に血を流していく。


睦月 「厄介なのは変わらないか……」


向日葵もまた苦戦していた。


大剣二刀流。


大剣の攻撃は当たらない。


しかしこちらの攻撃も届かない。


向日葵 「攻撃が通らない!」


金木犀 「秋桜様と共に勝利します!」


向日葵は睦月を見る。


しかし睦月も苦戦していた。


さらに力を上げれば意識が飛ぶ危険もある。


向日葵は覚悟を決める。


向日葵 「私も負けられない理由がある!」


金木犀 「……貴女は、まだ気付いてないんです。」


向日葵 「えっ?なに?」


答える代わりに。


金木犀の大剣二刀流が舞い始めた。


向日葵も太陽を浴び続ける。


時間と共に。


力も速度も増していく。


金木犀は冷たく微笑んだ。


一方。


睦月は何度も水壁を斬り裂く。


しかしその先にまた水壁。


完全な持久戦。


秋桜 「このままなら勝てる~」


睦月 「あまりナメるなよ!」


秋桜 「ナメてないよ~」


「強いから、完璧に準備した~」


睦月が距離を取る。


睦月 「持久戦で勝てると?」


秋桜はニコニコ笑っていた。


そして。


睦月は気付く。


シュゥゥ……


雨が蒸発している。


向日葵 「熱くなってきた!」


金木犀 「秋桜様」


秋桜 「うん~」


秋桜の表情が真剣になる。


秋桜 「向日葵ちゃん」


「これ以上は危ないよ~」


向日葵 「え?」


金木犀 「貴女の熱と、このの豪雨。」


「このまま力を上げ続ければ……」


「会場ごと吹き飛びます。」


睦月 「その為に雨か!」


秋桜 「だから私達、持久戦なんだよ~」


「向日葵ちゃんを倒したいわけじゃないから~」


向日葵 「じゃあ……力を抑えれば……」


金木犀 「そうですね。」


「ですが、それでは貴女達は勝てない。」


金木犀が静かに呟く。


「神なら助けてくれる。」


「そう思っていました?」


秋桜も笑顔を消していた。


秋桜 「でもね~」


「神様は優しくないよ~」


金木犀 「救いなんてありません。」


「私達は、それを知っています。」


睦月 「……どういう意味だ?」


向日葵 「神様なのに?」


秋桜 「それは~」


「戦いながら話そうか~」


再び笑顔を浮かべる秋桜。


金木犀も大剣を構える。


向日葵も拳を握る。


睦月も2本の刀を握り直した。


決勝戦。


そして。


誰も知らない、本当の月花大戦。


その真実へ。


4人は少しずつ近付いていくのだった――。

今後もよろしくお願い致します。

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