第52話 2つの魂胆
いつも読んでいただきありがとうございます。
宵うさぎが酒を片手に笑う。
「決勝戦は~明日行うよ~」
「両チームは~ちゃんと休んでね~」
その言葉をもって、準決勝は幕を閉じた。
ラウンジ。
自室。
病室。
それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。
そして。
文月の部屋。
コンコン。
扉を叩く音。
「どうぞ」
部屋に入ってきたのは金木犀だった。
文月は苦笑する。
「後は頼む」
金木犀も頷いた。
「判っております」
「情報が間違っていれば良いのですが……」
文月も表情を曇らせる。
「それに越したことはない」
「しかし、お前が決勝に行けるとは思わなかったな」
金木犀は少し微笑んだ。
「私もですよ」
「秋桜様のおかげです」
文月は肩をすくめる。
「俺が行ければ良かったんだがな」
「強かったからな」
金木犀の目に迷いはない。
「秋桜様は私が守ります」
「どうか文月様も援護を」
「出来る限り守ってあげてください」
「彼岸花も」
文月は視線を逸らした。
「……」
「と、とりあえずだ」
「奴等の化けの皮を剥がして」
「最悪なら滅するぞ!」
金木犀は苦笑した。
「そうならないことを祈ります」
その頃。
誰もいない暗闇。
???
「貴方の作戦は失敗したみたいですね」
???
「仕方ない」
「力が入ればそれでいい」
???
「貴君の手を使って死者を操ってまでしたのに」
???
「もっと手に入る予定だったんだがな」
???
「既に1人ずつ手に入っております」
「最後に全部手に入れればいいだけです」
???
「先代どもを根絶やしにし」
「我等が制する」
???
「楽しみですね」
一方。
部屋を出ようとする金木犀に。
文月が声わ掛ける。
「後悔してますか?」
金木犀が立ち止まる。
金木犀は少し考えて、
静かに首を横に振った。
「いいえ」
「秋桜様に出会えましたから」
文月も小さく笑う。
「俺もですよ」
「彼岸花達に会えた」
「だから」
「今さら引く気はない」
金木犀も頷く。
「はい」
「最後まで付き合います」
2人の視線が重なる。
それは、
月花大戦が始まる以前。
奴等の裏の顔を追う中で偶然出会った2人だけが共有する、
静かな覚悟だった。
そして。
2人は再び別々の方向へ歩き出す。
明日の決勝。
そして。
その先に待つ本当の戦いへ向けて。
2つの暗躍。
2つの思惑。
それらが交錯する中。
決勝戦の朝が近付いていた。
そして。
誰も知らない、月花大戦の真実へ。
今後もよろしくお願い致します。




