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今宵月 月花大戦  作者: アル治
崩れる盤面

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48/57

第48話  エキシビション

いつも読んでいただきありがとうございます。

準決勝。

本来は、

秋桜、金木犀VS文月、彼岸花。

その1戦が行われるはずだった。

しかし――

宵うさぎがマイクを持ち、いつもの調子で笑いながら、

「秋桜、金木犀VS文月、彼岸花なんだけど~」

「睦月と向日葵が~暇そうだから~」

「遊んであ~げ~る~」

会場が一瞬静まり返る。

睦月と向日葵も唖然としていた。

「聞いてないぞ……」

「私はいいよ!」

向日葵が目を輝かせる。

睦月は思わず向日葵を睨みつける。

「だって楽しそうだから!」

「はぁ……判ったよ…」

「で、相手は?」

すると宵うさぎと睦月の目が合った。

「……まさか……」

「宵うさぎさんと?」

宵うさぎは酒を1口飲み、

「早くやろ~」


「マジかよ……」

頭を抱える睦月。

しかし向日葵は嬉しそうだ。

「いいね!」

「やろっ!」

月狼は呆れたようにため息をつく。

「遊びだぞ」

「本気出すなよ」


「は~い」

「勝てたら~」

「言うこと聞いてあげるよ~」

「出来る範囲でね~」


「おい!」

思わず月狼が声を上げる。

「いいじゃない~」

「若い子には~ご褒美必要でしょ~?」

月狼は頭を押さえた。

「はぁ……」

宵うさぎが2人に聞く、

「フィールドは~?」

向日葵が笑いながら。

「私は太陽ね!」

「睦月は~?」

「俺も?」

「ハンデだよ~」

「大分優しいな…」

睦月の顔つきが変わる。

ナメられている。

「市街地!」

フィールドが構築される。

太陽。

そして市街地。

「これで~いいかな~?」

「おう!」

「うん!」

月狼はため息混じりに告げた。

「始めろ…」

宵うさぎは動かない。

酒を飲んでいるだけだった。

「向日葵!」

「本気で行くぞ!」

「うん!」

睦月は自分と向日葵に限界近くまでバフを掛ける。

自身は最初から二刀流。

向日葵も太陽を浴び、その力を溜めていく。


宵うさぎは酒を飲んでいた。

「そろそろかな~?」

その言葉が言い終わる前に。

すでに向日葵の目の前にいた。

「ッ!」

宵うさぎの蹴りが脇腹を襲った。

向日葵もとっさに膝で受けるが、軽く吹き飛ばされる。

「ッ!強っ!」

「油断するな!」

睦月が二刀流で斬り込む。

振り下ろし。

回転しながらの切り返し。

「遅いよ~」

宵うさぎは軽やかに避ける。

そこへ向日葵の拳が迫るが、

避けられる。

蹴り。

避けられる。

2人の猛攻。

しかし、宵うさぎは笑っていた。

「終わり~?」

睦月の日本刀を足で止める。

向日葵の拳を紙一重でかわす。

だが。

向日葵の拳が、ふさふさの毛をかすめた。

「おぉ~?」

「当たった~」

嬉しそうに笑う。

その瞬間を逃さず、睦月が切り返す。

宵うさぎは初めて距離を取る。

「ヤバイかも~」

宵うさぎは月狼を見る。

しかし月狼は一切関与しないって顔をしている。

「自分で何とかしろ…」


宵うさぎは笑いながら酒を地面に置く。

「危なそうだね」

向日葵が笑う。

「面白い!」

睦月も笑う。

2人は一気に距離を詰める。

向日葵の拳。

睦月の斬撃。

互いを信頼しているから出来る連携。

防御。

回避。

反撃。

次第に宵うさぎの攻撃回数も減り、防御の回数が増えていく。

「凄いね~」

「2人とも~」

「成長したね~」

「楽しくなってきた~」


「まだ余裕なの?!」

向日葵が叫ぶ。

「化け物かよ……」

睦月も苦笑する。

しかし2人は止まらない。

向日葵のミドルキックが初めて宵うさぎの腕を捉えた。

「おぉ~!」

「入った~!」

宵うさぎは嬉しそうに笑う。


「いけるぞ!」

「いくよー!」

その瞬間。

宵うさぎの目の色が変わった。

月狼の表情も変わる。

「……宵うさぎ…」

一瞬。

本当に一瞬で。

向日葵の体が吹き飛んでいた。

「ぐはぁっ!」

「向日葵!」

吹き飛ばされた先。

そこにはいつの間にか月狼がいた。

「っと」

向日葵を受け止めると、

「宵うさぎ」


「ハッ!」

「ごめん~!」

「つい本気に~」

月狼は深くため息をつく。

「勝者、睦月、向日葵」

「え~!」

「なんでよ~!」

「本気を出しただろう?」

宵うさぎはうつむく。

「判ったよ~……」

「遊びって言ったのに~」

「つい楽しくなっちゃった~……」

「反省しろ」

「は~い……」

向日葵は月狼の腕の中で目をパチパチさせる。

「……勝った?」

睦月も苦笑した。

「……勝ったらしい」

準決勝前。

温かなエキシビションマッチは幕を閉じた。

今後もよろしくお願い致します。

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