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今宵月 月花大戦  作者: アル治
崩れる盤面

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第47話  大切な人達

いつも読んでいただきありがとうございます。

明日に準決勝を控え、各自思い思いの時間を過ごしていた。

葉月の病室では、ネモフィラ

海岸では如月と撫子

ラウンジでは、師走と百合、睦月と向日葵、弥生と鈴蘭。

そして、いつもの女子4人組が今日も賑やかに女子会を開いていた。

朝顔が紅茶を飲みながらため息をつく。

「月花大戦って……合コンなの?」

月見草も苦笑した。

「なんかカップル増えましたよね」

すると南天が得意気に胸を張る。

「私は彼氏居るし」

その瞬間。

朝顔、月見草、カトレアの3人から冷たい視線が飛ぶ。

「……え?」

「みんな居ないの?」

カトレアが優雅に紅茶を口にした。

「わたくしに見合う男性がおりませんのよ」

朝顔と月見草が大きく頷く。

「判ります」

「ええ」

南天は少し引き気味だった。

「こ、怖っ……」

一方。

カウンターでは百合が幸せそうに師走の肩にもたれていた。

「ねぇ、白無垢もいいですけど、ドレスも着たいですわ」

「……付き合って3日目だぞ」

呆れ顔の師走。

しかし百合は止まらない。

「新婚旅行は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ……全部ですわね」

「……俺……金ないですよ」

「愛があれば大丈夫ですわ」

「愛って万能なんだね……」

暴走する百合。

そんな2人を見ていた睦月と弥生は、なぜか安堵したように笑っていた。

「女性は大変だな……」

睦月が呟く。

「な、向日葵?」

突然話を振られた向日葵が、パフェを喉に詰まらせる。

「ッ!」

「ケホッ!ケホッ!」

「急に振らないでよ!」

すると向日葵はニヤリと笑った。

「私も両方」

「世界一周」

「ッ!」

今度は睦月が珈琲を吹きそうになる。

「なんだよ急に!」

向日葵は満足そうに微笑む。

「仕返しぃ」

睦月は目を細める。

しかし、

「別に構わないよ」

涼しい顔で返した。

「……えっ?」

逆に向日葵が真っ赤になる。

「い、今の無し!」

「なんで?」

「なんでも!」

そんな2人を見て弥生がため息をつく。

「お前達も大変だな」

「そっちもだろ」

師走の言葉に、弥生は隣を見る。

そこには。

パスタ。

ピザ。

サラダ。

デザート。

そして追加注文。

幸せそうに料理を頬張る鈴蘭。

「そんなに食べて平気か?」

「へーき!」

「しあわせ~♪」

弥生は呆れながらも笑った。

「……幸せそうでなによりだ」

一方。

ホテルの花壇のベンチ。

秋桜と金木犀が並んで座っていた。

「準決勝だね~」

「はい。頑張りましょうね」

「もし勝てたら、金木犀はどうするの~?」

「私は何も求めてません」

「家が出ろと言うので出てますから」

「秋桜様は?」

「私も~」

「貰えるならお金かな~」

「お金ですか?」

「お金があれば、何もしないで好きに暮らせるでしょ~?」

金木犀は優しく笑う。

「ふふっ、そうですね」

その時。

「はぁ~、旨い~」

間の抜けた声が聞こえた。

振り向くと、宵うさぎが1人で酒を飲んでいた。

「宵うさぎさん~?」

「宵うさぎ様?」

「うん~?」

「お前たちか~」

上機嫌で酒を傾けながら視線を向ける。

「何してるの~?」

「花見酒~」

「いいですね~」

「うん~」

「でも~」

「お前たちを~許してないよ~」

秋桜は困ったように笑った。

「そうですよね~」

「月狼さんに怪我をさせちゃったからね~」

「ごめんなさい~」

宵うさぎは酒を一口飲む。

「大切な人~だからね~」

その言葉に、秋桜は優しく微笑んだ。

「うん~」

「私もそうなったら、きっと許さない~」

宵うさぎも笑う。

「だろうね~」

そして秋桜は隣を見る。

金木犀もまた、秋桜を見つめていた。

「秋桜様?」

「ううん~」

「なんでもない~」

秋桜はふわりと笑った。

すると、

「また飲んでいるのか」

聞き慣れた低い声がした。

「月狼さん~」

「月狼様」

秋桜と金木犀が頭を下げる。


「怪我人は~大人しくしてろ~」

「誰のせいだ」

月狼は呆れた顔をする。

「まだ~怒ってる~?」

「当然だ」

「うわ~怖い~」

全く怖がっていない宵うさぎ。

月狼は小さくため息を吐いた。

「……体に悪い」

そう言って、宵うさぎの隣に腰を下ろす。

「うん~?」

「酒は没収だ」

「ええ~!」

頬を膨らませる宵うさぎ。

秋桜が笑う。

「月狼さん、優しいですね~」

「どこがだ」

すると宵うさぎがニヤニヤしながら笑う。

「大切な人~だからね~」

月狼は咳払いをした。

「……馬鹿者」

その声は、どこか優しかった。

夜風が静かに吹き抜ける。

準決勝前夜。

戦いを忘れたような穏やかな時間が、ゆっくりと流れていた。

今後もよろしくお願い致します。

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