第44話 昔と試合の決着
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六回戦再戦
神無月、薔薇 VS 秋桜、金木犀
神無月が動いた。
放たれた矢を避け、そのまま薔薇を抱き締めた。
薔薇 「……えっ!?」
神無月 「……水華……」
会場の空気が止まる。
秋桜も金木犀も、絶好の好機にもかかわらず動けなかった。
誰も理解できない行動。
薔薇の顔が真っ赤になる。
「……誰が水華ですの!」
そのまま神無月の腹に膝蹴りを叩き込む。
「ウッ!」
「敵を目の前にして何をしている!」
怒鳴りながらも、顔は真っ赤だった。
「す、すまん……」
「……いいから援護しなさい!」
「須佐之男命」
神無月の肉体が強化される。
2人は近接戦闘に切り替えた。
秋桜と金木犀も我に返り。
金木犀 「秋桜様は援護に!」
秋桜 「……判った~」
(やっぱり、あれを使って……)
そう考えている間にも、薔薇が一直線に突撃する。
当然、狙いは秋桜。
「秋桜様!」
金木犀の声で秋桜が構える。
しかし、薔薇は近付けば近付くほど動きが遅くなっていく。
「うぉぉぉ!」
気合いとは裏腹に、前へ進めない。
しかし秋桜も、攻撃する余力がない。
「秋桜様、そのまま!」
金木犀は秋桜の後ろに回ると、秋桜の背中越しにクロスボウを放った。
秋桜の前までは普通の速度。
しかし、秋桜を通り過ぎた瞬間、矢は重力によって急加速する。
一直線に薔薇の胴体を狙う。
その瞬間。
薔薇の前に神無月が立った。
矢は神無月の背中に突き刺さる。
「……」
須佐之男命で強化された肉体。
その程度では致命傷にならない。
神無月が、
「大丈夫か?」
薔薇 「あ……ありがとう……」
顔を赤くして下を向く。
場の空気が変わりかける。
しかし、金木犀は止まらない。
さらに矢を放つ。
だが神無月の体に届く前に、簡単に折られてしまった。
金木犀はクロスボウを捨てる。
最後の1本だった。
代わりに護身用の短いナイフを抜く。
秋桜 「このままでは~」
金木犀は優しく笑う。
「秋桜様、大丈夫ですよ」
「えっ?」
「このまま勝ちましょう」
その笑顔を見て、秋桜は理解した。
色々な意味を。
「……うん!」
秋桜も構え直す。
金木犀が神無月へ斬りかかる。
しかし神無月は避けない。
拳を振るうが、
速度では金木犀が上。
容易にかわされる。
何度斬りつけても、須佐之男命で強化された肉体には大した傷を与えられない。
逆に、攻め続ける金木犀の方が体力を削られていく。
その間にも、薔薇は少しずつ秋桜へ近付いていた。
攻撃に力をまわせない秋桜。
しかし突然、能力を解除する。
薔薇の剣は空を切る。
当たらない位置まで移動してから能力を解いたのだ。
体勢を崩した薔薇の脇腹に、秋桜の蹴りが炸裂する。
「ぐはぁ!」
重力を乗せた蹴り。
予想以上の威力。
完全に無防備。
しかし。
蹴りを受けた瞬間には、既に薔薇の剣は切り返されていた。
秋桜は慌てて能力を使う。
薔薇の動きが止まる。
――はずだった。
「……っ!」
先程より、進んでくる。
秋桜の限界が近付いていた。
秋桜は距離を取る。
もうギリギリだ。
それを見た金木犀が動く。
秋桜と合流するため走る。
神無月は金木犀を追う。
薔薇も秋桜を追う。
近付くほど進まなくなる。
だが、その力も限界だった。
薔薇の剣が秋桜を捉える。
「秋桜様!」
金木犀は秋桜を正面から抱き締める。
自ら薔薇に背を向けた。
勝負あった。
誰もがそう思った。
薔薇の剣が貫いたのは――
金木犀ではなかった。
「……えっ!?」
刺さっていたのは、神無月の背中だった。
「……なんで!?」
神無月は2人を守っていた。
そして――
泣いている。
痛みによる涙ではない。
天を仰ぎ、涙が止まらない。
秋桜と金木犀は理解できないでいた。
薔薇も叫ぶ。
「何をしているの!?」
神無月は静かに答えた。
「薔薇……すまない……」
「何がですの!?」
「俺は間違えていたんだ」
「望んでいなかったんだ……」
「何の話ですか!?」
「間違えてるのは合っていますが!」
神無月は目を閉じ。
「すまない……」
そして。
静かに告げた。
「降参する」
一瞬の静寂。
そして――
薔薇 「…………は?」
「はぁぁぁぁぁぁっ!!?」
今後もよろしくお願い致します。




