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今宵月 月花大戦  作者: アル治
崩れる盤面

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第39話  言霊の行方

いつも読んでいただきありがとうございます。

第七回戦

藤・椿 VS 文月・彼岸花

藤は「ジャングル」を選択。

文月は「市街地」を選択した。

2つが合わさりフィールドが出来上がる、蔦や大木に侵食された廃墟のような市街地が出来上がる。

月狼が静かに告げた。

「始めろ」

開始と同時に藤が蔓を伸ばす。

椿は大剣を構え、その前に立った。

一方の文月は素早く後退し、近くのビルへと身を隠す。

彼岸花だけがその場に残る。

細く長い両刃の剣を構え、妖艶な笑みを浮かべていた。

「その細い剣で戦うのか?」

椿が問いかける。

彼岸花は肩をすくめた。

「大きければええいうもんやないどすえ」

「見た目だけで判断したらあきまへん」

椿が大剣を振り下ろす。

だが彼岸花は軽く剣を添え、その一撃を逸らした。

「ほぉ……」

椿の目が細くなる。

「一回止めただけで随分自信ありそうだな」

さらに踏み込もうとした瞬間――。

椿の動きが止まった。

「動くな」

文月の声。

離れたビルの窓からボウガンが椿を狙っている。

指は既に引き金に掛かっていた。

「卑怯者が!」

椿が吐き捨てる。

文月は静かに引き金を引いた。

その隙に彼岸花は藤へ向かう。

蔓が次々と襲い掛かる。

彼岸花は剣で捌き続ける。

だが蔓から毒霧が噴き出した。

「避けるのも限界が来るけどね」

藤が笑う。

彼岸花も笑みを崩さない。

「その前に、相棒がやられるかもしれへんよ」

言い終わる前に背後から大剣。

椿だった。

彼岸花は辛うじて回避するが体勢を崩す。

「しまった……!」

追撃が迫る。

だが次の瞬間。

彼岸花の姿が消えた。

「えっ?」

椿が目を見開く。

彼岸花は文月に抱えられていた。

言霊による加速。

常人では目で追えない速度だった。

「すまない。少し外した」

「仕方ない」

彼岸花は苦笑する。

「2人でやりましょう」

文月はため息をつく。

「本当は決勝まで隠しておきたかったんですがね」

そして小さく呟いた。

「速くなれ」

次の瞬間。

彼岸花が消えた。

椿の反応が遅れる。

腕に鋭い痛み。

血が舞った。

「チッ……速い!」

離れた場所で藤が呟く。

「自分にも使えるのか」

文月は笑う。

そして藤を見た。

「燃えろ」

瞬間。

藤の身体が炎に包まれる。

だが藤は冷静だった。

蔓を何重にも巻き付け、炎を押し潰していく。

「そこまで出来るのか」

藤は笑う。

「でも聞こえなかったら?」

蔓が耳を塞ぐ。

完全な防音。

藤は蔓を腕へ巻き付ける。

巨大な拳のようになった蔓で文月へ殴り掛かった。

文月は回避する。

言霊で強化された身体能力。

だが藤も笑っていた。

「簡単だね」

腕の蔓が解放される。

無数の蔓が文月を捕らえた。

「燃えろ!」

しかし藤には届かない。

耳を塞いでいる。

文月は舌打ちした。

そして。

「左腕、燃えろ」

自らの腕が炎に包まれる。

蔓を焼き切り、そのまま地面を転がって消火した。

「そこまでするか」

藤が呆れる。

文月は苦笑した。

「目的がありますからね」

もちろん藤には聞こえていない。

文月は再びボウガンを構える。

藤へ矢を放つ。

そのまま背後へ回り込む。

だが毒霧が噴き出し、接近を阻んだ。

一方。

椿と彼岸花は睨み合っていた。

互いに決定打がない。

椿が大きく息を吐く。

大剣を横に構える。

「なら――吹き飛べ!」

大剣が振り抜かれた。

巨大な斬撃。

彼岸花は咄嗟に上空へ跳ぶ。

直後。

背後の大木が両断された。

さらに遠くのビルへ深い傷跡が刻まれる。

彼岸花は大木の上へ着地した。

額に汗が浮かぶ。

「危な……」

椿も息を荒げている。

一進一退。

どちらも決め手に欠けていた。

その時。

文月が彼岸花を見る。

「この方法好きじゃないですが……」

彼岸花が頷く。

そして2人は同時に走り出した。

互いに向かって。

全力で。

その先には――。

今後もよろしくお願い致します。

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