第32話 楯と矛と毒
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4回戦
藤、椿 VS 紫陽花、百合
フィールドが構築される。
藤が選んだのは「ジャングル」。
紫陽花が選んだのは「雨」。
濃い木々が生い茂る密林。
そこへ絶え間なく雨が降り注ぐ。
視界は悪い。
湿った空気が重く肌にまとわりつく。
月狼
「始めろ」
開始と同時。
藤が無数の弦を伸ばす。
蛇のようにうねりながら、紫陽花たちへ迫る。
椿は巨大な大剣を肩へ担ぎ、静かに前へ出た。
対する紫陽花と百合。
2人は光の球体の中に包まれていた。
百合は優雅に弓を構える。
紫陽花は、両手を空へ掲げたまま動かない。
藤の弦が球体へ到達する。
だが。
侵入できない。
弦は弾かれた。
百合
「わたくしの結界は強いですよ」
百合が矢を放つ。
鋭い一撃。
しかし木々が射線を遮る。
藤はさらに弦を操り、鞭のように球体を叩きつける。
だが、傷1つ付かない。
椿
「どけ」
藤が弦を引く。
その瞬間。
椿が踏み込んだ。
大剣が振り下ろされる。
轟音。
しかし球体は砕けない。
椿
「硬いな」
椿が口元を歪める。
椿
「これならどうだ?」
次の瞬間。
斬撃の嵐。
速い。
あまりにも速い。
大剣とは思えない速度で斬撃が叩き込まれる。
そして。
球体が崩れた。
百合
「なっ――」
藤が即座に弦を伸ばす。
同時に大量の花粉を撒き散らした。
椿は一歩下がり、大剣を構え直す。
花粉が紫陽花と百合へ付着する。
だが。
変化がない。
藤
「花粉が効かない?」
百合が微笑む。
百合
「もしかして、毒かしら?」
「残念ですけれど――」
「わたくしに毒は効きませんの」
優雅な笑み。
その周囲に再び光が集まり、新たな球体が形成されていく。
藤の顔色が変わる。
藤
「まずい……このままだと時間がない」
雨は止まらない。
むしろ、徐々に強くなっている。
紫陽花は未だ両手を空へ向けたままだった。
椿
「なら、任せな」
椿が大剣を水平に構える。
深く息を吐く。
空気が張り詰めた。
そして。
横一閃。
放たれた斬撃が球体へ直撃する。
次の瞬間。
光の球体が粉々に砕け散った。
百合
「一撃で……?」
驚愕。
その隙を藤は逃さない。
弦が百合の身体へ絡みつく。
拘束。
締め上げる。
百合
「くっ……!」
紫陽花がスローイングナイフを放つ。
弦を切ろうとする。
だが。
椿が目の前へ現れた。
大剣。
圧倒的な威圧感。
紫陽花は避けるだけで精一杯だった。
まともに受ければ終わる。
百合の身体がさらに締め上げられる。
呼吸が止まる。
そして。
百合の意識が落ちた。
それを見た紫陽花が叫ぶ。
紫陽花
「降参よ!」
だが。
椿は止まらない。
大剣を水平に構える。
そして。
斬撃。
紫陽花の首を狙った一撃が放たれる。
紫陽花
「降参だって言ってるでしょう?!」
斬撃が迫る。
誰も間に合わない。
――はずだった。
甲高い音。
次の瞬間。
斬撃が空中で砕け散った。
そこに立っていたのは、月狼。
月狼
「終わりだ」
静かな声。
それだけで場が凍る。
月狼
「勝者、藤、椿」
雨が降り続く中。
張り詰めた空気だけが、静かに残っていた。
今後もよろしくお願い致します。




