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今宵月 月花大戦  作者: アル治
崩れる盤面

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31/60

第31話  生み出す者奪う者

いつも読んでいただきありがとうございます。

3回戦

秋桜、金木犀 VS 弥生、鈴蘭

霜月の死は、冷静に全員へ告げられた。

安堵する者。

悲観する者。

反応は様々だった。

だが、月狼は感情を見せない。

ただ淡々と告げる。

月狼

「3回戦を始める」

呼ばれたのは、

秋桜、金木犀。

弥生、鈴蘭。

フィールドが構築される。

秋桜は「砂利」。

弥生は「ジャングル」。

砂利の地面に、巨大な木々が生い茂る異様な空間。

風が木々を揺らし、砂利が音を鳴らす。

月狼

「始めろ」

開始と同時。

秋桜が金木犀へ重力操作をかける。

金木犀の身体がふわりと浮いた。

金木犀は即座にクロスボウを構える。

対する弥生は巨大な木々を生やし、防壁を形成。

鈴蘭はスリングショットを握り締めた。

秋桜は数センチ浮き上がりながら、大量の砂利を宙へ浮かべる。

弥生が壁を増やしながら鈴蘭へ目配せする。

鈴蘭が頷いた。

スリングショットが放たれる。

秋桜が即座に迎撃。

その瞬間。

霧が広がった。

秋桜

「毒だね~」

重力操作。

霧が強制的に地面へ叩き落とされる。

その隙に、金木犀が上空から鈴蘭を狙撃。

だが弥生の木々が射線を塞ぐ。

拮抗。

一進一退。

互いに決定打を許さない。

秋桜

「そろそろ行くよ~」

大量の砂利が撃ち出される。

まるでガトリングガン。

凄まじい勢いで木々が削られていく。

その間にも毒弾は飛び続ける。

秋桜は迎撃を続けるが、徐々に消耗が見え始める。

鈴蘭が弥生を見る。

弥生

「大丈夫、予定通り。もう少し」

弥生は木を生やし壁を作り続ける。

上空からの攻撃を必死に防ぎながら。

やがて。

砂利の連射音が弱まった。

弥生の目が細くなる。

弥生

「来た……あの能力、消費が激しい」

音がさらに弱くなる。

そして止まった。

鈴蘭が毒弾を撃ち込む。

同時に弥生が木々を細く鋭く変化させ、槍のように突き出した。

毒霧。

木槍。

包囲。

だが。

弥生

「居ない?!」

上空。

遥か高く。

秋桜が金木犀を抱え、戦場から距離を取っていた。

金木犀

「何をなさるんですか?!」

秋桜

「危ないから~」

ふわりと笑う。

だがその目は、今までと違っていた。

秋桜

「あまり使いたくないんだけど~」

両手を弥生たちへ向ける。

弥生の顔色が変わった。

本能が叫ぶ。

危険。

弥生

「逃げろ鈴蘭!!走れ!」

鈴蘭が走り出す。

その後方に何枚もの木の壁が生み出される。

弥生の周囲にも巨大な木々が生え、防壁を形成。

冷や汗が止まらない。

そして。

弥生を囲む木々の近く。

黒い球体が生まれた。

小さい。

拳ほどの大きさ。

その周囲だけ、空気が歪んでいた。

砂利が浮く。

音が消える。

空気が吸われる。

ブラックホール。

吸引は弱い。

木々すら吸い込めない。

だが次の瞬間。

状況が一変する。

強烈な光。

誰も直視できない。

そして――

ドオォォォォォン!!!

凄まじい爆発。

ジャングルが消し飛ぶ。

砂利が吹き飛ぶ。

フィールドそのものが崩壊寸前。

何とか上空から降りる秋桜と金木犀。

だが秋桜は、その場にへたり込んだ。

消耗が激しい。

金木犀が駆け寄る。

金木犀

「大丈夫ですか?!」

爆煙。

その向こう。

離れた場所に、月狼が立っていた。

その背後に弥生と鈴蘭。

2人とも怯えきっている。

そして。

月狼の脇腹が赤く染まっていた。

傷。

月狼が、怪我をした。

その瞬間。

宵うさぎの目が変わる。

消えた。

秋桜の目の前。

秋桜も。

金木犀も。

気付いていない。

宵うさぎの手刀が、秋桜の首へ伸びる。

その顔には怒りしかない。

完全に理性が飛んでいた。

あと数センチ。

その瞬間。

宵うさぎの腕を、月狼が掴んだ。

月狼

「落ち着け」

宵うさぎは止まらない。

怒りが消えない。

月狼

「大丈夫だ」

「ここにいる」

その言葉で。

ようやく宵うさぎの目に理性が戻る。

宵うさぎは月狼を見る。

怯えていた。

どうしていいか分からない顔。

月狼

「すまない、宵うさぎ」

宵うさぎ

「……月狼さん」

力が抜ける。

その場にへたり込んだ。

月狼は静かに前を見る。

月狼

「勝者、秋桜、金木犀」

後半戦。

月花大戦は、さらに危険な領域へ踏み込んでいく。

これからもよろしくお願い致します。

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