第3話 願いの代償
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激励会の夜。
それぞれが、帰る場所を選んだ。
家へ戻る者。
主催側の用意したホテルへ向かう者。
自由。
だが――
完全な自由ではない。
「判っているな?」
名家の一室。
低い声が響く。
「家の掟だ」
「……はい」
「その時は――必ず仕留めろ」
一瞬の沈黙。
「御意」
そして、朝。
「これより、対戦を発表する」
月狼の声が響く。
「文句は言うなよー?」
宵うさぎが軽く笑う。
月狼の視線が刺さる。
「……はい」
すぐに黙る。
「第一試合」
空間に文字が浮かぶ。
睦月・向日葵
VS
如月・梅
「第二試合」
文月・秋桜
VS
卯月・菖蒲
ざわめきが広がる。
その時。
体が――止まる。
誰も動けない。
空気が凍りつく。
“声”が降りてきた。
「――願え」
「各々、1つだけ願いを叶えてやる」
「楽しめ」
空気が震える。
月狼が静かに補足する。
「フィールド内に1つだけ追加できる」
「何でもだ」
ざわめき。
笑う者。
考え込む者。
表情は様々だった。
「第一試合」
「準備に入れ」
睦月が隣を見る。
「どうする?」
「任せる」
向日葵は笑う。
「太陽だね」
「強いやつ」
「……判った」
如月も視線を向ける。
「俺が決める」
「いいか?」
梅は静かに頷く。
「任せます」
「私は戦闘向きではないので」
如月が笑う。
「なら――任せろ」
その時。
再び“それ”が現れる。
神。
「さあ、望みを言え」
向日葵が前に出る。
「太陽」
「もっと、強くして」
如月が続く。
「氷原で」
「全部凍らせる」
「――叶えてやる」
世界が歪む。
光が弾ける。
次の瞬間――
そこは、氷原だった。
昼であるはずの世界に、
凍てつく大地が広がる。
その上に――
強烈な太陽が照りつける。
観客席が沸いた。
「いいね」
向日葵が笑う。
「やれそうだ」
如月が拳を握る。
「やってやるよ」
「ネットの方は?」
月狼が言う。
「大丈夫でーす!」
宵うさぎは酒を飲みながら答える。
「ちゃんと配信してますよー」
月狼は何も言わない。
ただ、冷たく見る。
そして。
「フィールドに入れ」
2人が踏み込む。
「――始めろ」
その瞬間。
向日葵が氷原を蹴った。
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