第28話 計画の綻び
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翌朝。
トーナメント参加者全員が、ホテル中央会場へ呼び出されていた。
後半戦の組み合わせ。
その発表のためである。
重い空気が漂う会場。
誰もが昨夜の出来事を知っていた。
皐月の死。
水無月の戦線離脱。
そして、疑いの視線。
その中心にいるのは――霜月。
会場正面には、月狼と宵うさぎがいた。
月狼は静かに目を閉じている。
まるで何も気にしていないかのように。
その隣で宵うさぎは、朝から酒瓶を傾けていた。
全員が揃う。
宵うさぎが軽く手を振る。
宵うさぎ
「は~い、じゃあトーナメント表を発表するよ~」
間延びした声。
だが、その直後。
宵うさぎの目が細まった。
「でも~その前に~」
一拍。
「みんな、もう分かってると思うけど~」
「水無月組は欠場ね~」
その瞬間。
鋭い殺気が、一斉に霜月へ向けられた。
だが。
月狼がゆっくりと目を開く。
それだけで。
会場を満たしていた殺気が凍りついた。
宵うさぎですら、静かに酒瓶を下ろす。
月狼
「……黙れ」
たった一言。
誰も逆らえない。
圧だけで空間が支配される。
月狼
「これが月花大戦だ」
冷たい宣告。
それ以上、異を唱える者はいなかった。
やがて。
巨大なスクリーンに、トーナメント表が映し出される。
シード
・睦月、向日葵
・神無月、薔薇
・文月、彼岸花
第一回戦
水無月、蓮
VS
長月、牡丹
※水無月欠場のため、長月・牡丹の不戦勝
第二回戦
霜月、蒲公英
VS
卯月、菖蒲
第三回戦
弥生、鈴蘭
VS
秋桜、金木犀
第四回戦
藤、椿
VS
紫陽花、百合
第五回戦
睦月、向日葵
VS
長月、牡丹
第六回戦
第三回戦勝者
VS
神無月、薔薇
第七回戦
第四回戦勝者
VS
文月、彼岸花
その後は勝者同士による準決勝、決勝。
宵うさぎが笑う。
宵うさぎ
「ま~、状況次第で変わるかもだけどね~」
「また不戦勝とかあるかも~?」
その軽口。
数人の表情が険しくなる。
月狼が無言で宵うさぎを睨む。
宵うさぎは肩をすくめ、視線を逸らした。
月狼
「以上だ」
宵うさぎ
「第二回戦は一時間後だよ~」
「それと~次の試合から勝者には神の祝福があるからね~」
「体が試合前の状態になるよ~」
普通なら、この時点で2人は姿を消している。
だが。
この日は違った。
月狼も宵うさぎも、その場に残る。
誰の目にも届く位置に。
まるで――誰かを監視するように。
その後。
メイン会場でもトーナメント表が発表された。
当然のように、観客席から怒号が飛ぶ。
「また不戦勝かよ!」
「どうなってんだ!」
「成立してねぇだろ!」
次の瞬間。
全員の身体が、ぴたりと止まった。
指一本動かせない。
言葉すら出ない。
静寂。
その中を、2つの影が歩く。
神無月。
そして彼岸花。
神無月
「……騒がしい」
冷え切った声。
彼岸花が薄く笑う。
彼岸花
「外野は黙ってなさい」
それだけで。
会場全体が凍りつく。
誰1人、逆らえない。
こうして。
不穏さを孕んだまま。
月花大戦、後半戦の幕が上がった――。
これからもよろしくお願い致します。




