第26話 トーナメント再編
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試合終了後。
静まり返った会場に、宵うさぎの軽い声が響いた。
宵うさぎ
「は~い、少し状況が変わってきてるからね~」
「敗者復活戦を勝ち上がった組は~、全員本戦復帰で~す」
その言葉に、会場がざわつく。
「……は?」
「ふざけるな」
「死人まで出てるのに、まだ続けるのか」
「こんなの大会じゃ――」
月狼がゆっくり立ち上がる。
それだけで、ざわめきは止んだ。
月狼
「――これは月花大戦だ」
冷たい一言。
反論を許さぬ圧が、会場を沈黙させる。
宵うさぎが肩をすくめる。
「わぁ~……怒らせた~」
軽く笑いながらも、その目は笑っていない。
宵うさぎ
「じゃあ勝ち残った人たちは、ホテル中央会場に集まってね~」
「詳しい説明はそこでしま~す」
ホテル中央会場。
広いホールには豪華な料理と酒が並べられていた。
だが、誰1人として浮かれた空気ではない。
勝ち残った者たちが次々と集まる。
その中に。
師走の姿があった。
宵うさぎが首を傾げる。
宵うさぎ
「あれ~?負けたでしょ~?」
師走は平然と答える。
師走
「そうでしたか?」
「試合に勝ってたもんで、ついその気になってましたわ」
一瞬の沈黙。
月狼が短く告げる。
月狼
「良い」
宵うさぎ
「だってさ~」
軽い返事。
だが、師走の視線はただ1人――霜月だけを捉えていた。
全員が揃うと、宵うさぎが説明を始める。
宵うさぎ
「現在、本戦勝ち残り6組」
「敗者復活戦勝ち上がり5組」
「合わせて11組で~す」
ざわめき。
宵うさぎは続ける。
「だから~、このままトーナメントを続行しま~す」
「そのうち3組はシードね~」
「配置は月狼たちが決めるよ~」
そこで宵うさぎが、ちらりと霜月を見る。
宵うさぎ
「異論あるかな~?」
誰も答えない。
納得したわけではない。
だが、この場で逆らう者はいなかった。
宵うさぎは満足げに笑う。
「じゃ、決まったね~」
「料理とお酒、好きに楽しんでいって~」
それぞれが散っていく。
酒を飲む者。
食事を取る者。
無言で去る者。
だが。
霜月はまだ会場にいた。
壁にもたれ、静かにグラスを傾けている。
それを離れた場所から見つめる師走。
師走
「……負けたけど、酒がうまいわ」
小さく笑う。
だがその目に笑みはない。
(今度は逃がさん)
しばらくして。
霜月が静かに立ち上がり、会場を後にした。
師走もすぐに追う。
ホールを抜け、長い廊下へ。
その瞬間。
違和感。
師走
「……っ?」
足が、重い。
景色が、妙に鈍い。
師走
「なんや……これ……」
長い廊下。
ほんの数秒しか経っていないはずなのに。
霜月の姿は、もう見えない。
師走の顔色が変わる。
師走
「最初から……か」
ようやく理解する。
会場全体に、薄く時間減速が張られていた。
そして今。
霜月だけが解除している。
師走は歯を食いしばり、減速した世界を駆け出した――。
今後もよろしくお願い致します。




