第23話 記憶の香り
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第3試合
如月、撫子 VS 秋桜、金木犀
如月が「氷原」を選択。
秋桜は「洞窟」を選択した。
フィールドは――
凍った洞窟。
氷柱。 凍結した地面。 吐く息すら白い。
月狼
「始めろ」
開始と同時。
秋桜が金木犀を抱え、後方へ跳ぶ。
如月
「逃がすか!」
地面から無数の氷の棘。
だが。
棘は途中で押し潰される。
見えない重圧。
如月
「……厄介だな」
撫子
「どうするー?」
如月が笑う。
「行くぞ!」
瞬間。
如月は自分と撫子の靴底へ氷を形成する。
刃のように鋭い氷。
如月
「滑れるな?」
撫子
「得意」
珍しく。
少しだけやる気のある声。
二人が一気に加速する。
氷上を滑走。
まるでスケートのように。
秋桜
「前の試合みたいになるけど……お願い」
金木犀
「お任せください」
金木犀が秋桜から離れる。
その身体から。
見えない気体が広がり始める。
秋桜はすぐに鼻と口を覆う。
しばらくして。
金木犀が横へ移動。
その直後。
今まで立っていた場所を、重力が押し潰した。
撫子
「……なんか甘い」
如月
「あ?」
「わかんねぇ」
だが。
進むほど。
匂いが濃くなる。
撫子
「……毒?」
如月も異変を感じる。
即座に氷壁を展開。
だが。
遅い。
視界が揺れる。
呼吸が浅い。
そして。
如月の足が止まる。
「……ゆき……」
撫子を見る。
だが。
撫子は下を向いたまま。
動かない。
何かを小さく呟いている。
金木犀の香り。
それが。
過去の記憶を呼び起こしていた。
金木犀
「これくらいでしょうか?」
秋桜
「……うん」
だが。
返事がおかしい。
震えている。
金木犀
「……どうしましたか?」
秋桜が後退る。
「近づかないで……!」
洞窟内の重力が歪む。
氷に亀裂。
空気が軋む。
金木犀
「吸ってしまいましたか……!」
秋桜の目が怯えている。
能力が漏れていく。
制御できていない。
その時。
洞窟の壁が砕ける。
月狼。
月狼
「終わりだ」
如月は泣き崩れている。
撫子は動かない。
秋桜は怯え。
金木犀も近付けない。
月狼は一瞬で判断した。
「試合続行不可能」
今大会。
一番静かな戦いになった。
今後もよろしくお願い致します。




