第21話 血に染まる初手
いつも読んでいただきありがとうございます。
試合終了後。
師走は、そのまま走り出していた。
「……間に合えよ」
会場を抜ける。
一方。
皐月は歩いていた。
右腕を押さえながら。
「クソッ……しばらく使えねぇか」
医務室へ向かう途中。
ふと、足が止まる。
「……っ?」
嫌な感覚。
振り返る。
そこにいた。
霜月。
皐月
「……霜月?」
「何してやがる?」
霜月
「スケジュールは守らないとな」
皐月
「あぁ?」
「何の話だよ」
その瞬間。
空気が歪む。
「なっ……!」
時間減速。
世界が、重く沈む。
皐月の体も遅くなる。
だが――
「……動ける……!」
わずかに。
霜月が目を細める。
「やっぱりな」
「月は、多少は耐えるか」
皐月
「ナメるなよ……!」
全身に雷を纏う。
筋肉に電流を流す。
無理やり、動きを引き上げる。
霜月が短刀を抜く。
「その程度か」
皐月
「コノヤロウ!!」
踏み込む。
だが遅い。
霜月は軽くかわす。
皐月
「チッ……!」
雷を放つ。
一直線。
だが。
それすら、遅い。
霜月
「届かない」
雷が空を切る。
皐月がさらに踏み込む。
拳。
蹴り。
すべて、空振り。
距離が縮まらない。
皐月の呼吸が荒くなる。
「クソが……!」
霜月は踏み込む。
一瞬。
短刀が投げられる。
避けられない。
「っ……!」
腹に突き刺さる。
血が、ゆっくりと滲む。
時間が遅い。
苦痛だけが長い。
霜月が近づく。
無言で、短刀に蹴りを入れる。
「ぐぁ……!!」
皐月が崩れる。
雷が消える。
力が抜ける。
霜月が短刀を引き抜く。
血が、遅れて溢れる。
首元へ刃。
皐月
「……やれよ」
霜月
「……これが最初か」
「悪くない」
刃が動く。
横に――
引かれる。
「ハァ……ハァ……!」
師走が駆け込む。
「……霜月!!」
視界に入る。
血まみれの皐月。
倒れている。
動かない。
師走の顔が歪む。
「霜月ぃぃ……!!」
今後もよろしくお願い致します。




