第14話 試合の裏で
いつも読んでいただきありがとうございます。
第6試合が行われている裏で――
動く影があった。
「……邪魔なものから消すか」
霜月が笑う。
手には、小さな瓶。
視線の先。
梅。
「……時間減速」
呟いた瞬間。
世界が、遅れる。
霜月だけが動く。
静かに歩き、瓶の中身を梅に振りかける。
そして――能力を解く
「……?」
梅が顔を上げる。
「今、一瞬……」
ふらつく。
「っ……なに……これ……」
「力が……まとまらない……」
霜月が姿を見せる。
「効いているな」
「俺が作った薬だ」
梅が睨む。
「毒……?」
「さあな」
興味なさそうに答える。
ダガーを抜く。
「お前には関係ない」
1歩。
近付く。
梅が回復を試みる。
だが。
「……ダメ……制御が……」
霜月が構える。
「終わりだ」
振り下ろす――
その瞬間。
金属音。
ダガーが弾かれる。
霜月の目がわずかに動く。
「……来たか」
前に立つ影。
半分、獣。
葉月。
「臭いと殺気で分かる」
「試合中から、ずっとな」
霜月が静かに笑う。
「……気付くか」
「面白い」
「順番を変える」
「先に、お前だ」
「時間減速」
霜月がダガーで葉月を刺そうとした、その瞬間――
葉月が、動く。
「……なっ」
本来なら、動けるはずがない。
だが。
その一撃は、届かない。
ほんの一瞬。
霜月の動きが“止められたように見えた”。
「……動けるのか?」
再び。
世界が遅れる。
だが。
葉月が、動く。
わずかに。
「……止まらない?」
霜月の声が低くなる。
葉月が唸る。
「違う……遅いだけだ」
一歩。
踏み込む。
鈍い。
だが、止まらない。
霜月の目が細くなる。
「耐性か」
「いいな」
斬りかかる。
爪で弾く。
火花。
何度も打ち合う。
だが。
葉月の動きは重い。
「鈍いな」
霜月が踏み込む。
太もも。
ダガーが突き刺さる。
「っ……!」
葉月が反撃。
空を切る。
次。肩。
突き刺さる。
カナリの出血、
「終わりだ」
霜月が構える。
葉月が吠える。
「グルルルル……!」
それでも前へ出る。
だが。
腹。深く、刺さる。
「……が……っ」
力が抜ける。
膝をつく。
霜月が見下ろす。
「これで1つ」
「減った」
その時。
人の気配。
ざわめき。
霜月が顔を上げる。
「……遅い」
「時間減速」
姿が消える。
残るのは。
血と。
倒れた2人。
霜月の声だけが、わずかに残る。
「……まだ足りない」
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