13/55
第13話 止まった刻
いつも読んでいただきありがとうございます。
夜、静かな廊下。
コツ、コツ、コツ。
一定の足音。
霜月が歩いている。
止まる。
何もない空間を見つめる。
「……いるな」
「遅い」
呟く。
ポケットから鏡片を取り出す。
覗く。
自分の顔。
――そのはず。
一瞬。
ズレる。
その瞬間。
別の景色。
血。
崩れる影。
伸ばした手。
「待て!」
声が届かない。
途切れる。
廊下に戻る。
鏡。
霜月の目は変わらない。
「……またか」
鏡を握り潰す。
血が滲む。
「同じだ」
歩き出す。
コツ、コツ、コツ。
「月は」
立ち止まる。
「消えない」
1歩。
「なら」
顔を上げる。
「減らす」
その目は。
何も映していない。
ただ1つ。
“終わったはずの瞬間”だけを。
遠くに気配、
“月”。
霜月の足が止まる。
わずかに。
口元が歪む。
「……次だ」
消える。
時間が、遅れる。
世界が、置いていかれる。
13話も読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願い致します。




