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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第62話「銀河中心侵攻」

銀河中心。


そこは、人類にとって最も遠い場所だった。


数千億の恒星が渦を描き、巨大ブラックホール群が重なり合う重力の海。


文明が生まれる以前から畏れられてきた、銀河の心臓。


そして今――。


人類は、その心臓へ侵攻しようとしていた。


「進路、銀河中心。」


ソラの声は静かだった。


GF-Σ COSMOSの背後では、青い銀河リンクが脈動している。


SPICA部隊。


新世代GF。


艦隊。


惑星防衛線。


そのすべてが、まだ繋がっていた。


司令艦アルゴス。


司令官は戦術図を見つめていた。


「銀河中心への航路は。」


オペレーターが答える。


「ブラックホール群の乱流により、通常航行は不可能。」


「さらにVOID ARCHITECTの本体反応が集中しています。」


ミナトが通信を繋ぐ。


「つまり。」


「宇宙で一番危険な場所ってことです。」


ソラは笑った。


「いつも通りだね。」


レイが小さくため息をつく。


「君の基準は信用できない。」


COSMOSが進む。


銀河中心へ。


周囲の空間は、すでに宇宙の法則が乱れ始めていた。


時間の流れが揺らぐ。


光が曲がる。


重力が歌うように振動する。


DENEBが解析結果を表示する。


「銀河中心ブラックホール群。」


「配置が自然ではありません。」


ミナトが息を呑む。


「……誰かが作った?」


ソラは前を見る。


「VOID ARCHITECT。」


銀河中心は、自然の産物ではなかった。


創造主が、宇宙のリセット機構として組み上げた巨大装置。


ブラックホールを束ね。


宇宙の寿命を調整し。


必要とあれば、宇宙そのものを巻き戻す。


レイが静かに言う。


「銀河の心臓ではなく。」


「宇宙の処理装置か。」


その瞬間。


ブラックホール群の奥から、白い光が現れた。


それはヴォイドではない。


VOID-GFでもない。


人型ですらない。


巨大な環。


無数の銀河の残骸を繋いだような構造体。


中心に白い核。


周囲を巡る重力輪。


DENEBの声が震える。


「新反応。」


「識別不能。」


「規模……銀河中心級。」


ミナトが呟く。


「本体防衛機構……。」


白い構造体が動く。


ブラックホール群が共鳴する。


銀河中心全域の重力が、一つの意思を持ったかのようにCOSMOSへ向けられる。


ソラの身体が軋む。


「っ……!」


レイが叫ぶ。


「重力集中!」


「避けろ!」


COSMOSが加速する。


だが、重力そのものが壁になる。


前へ進めない。


銀河そのものに拒まれている。


その時。


銀河リンク越しに、無数の声が響いた。


「火星隊、推進補助!」


「木星重力炉、供給開始!」


「外縁艦隊、出力送ります!」


「SPICA全機、COSMOSを押せ!」


青い光が集まる。


小さな光。


弱い光。


それでも無数に。


ソラは涙を浮かべながら笑った。


「ありがとう。」


COSMOSの背後に、青い重力環が展開する。


銀河中の意思が、彼女の背を押す。


「行くよ。」


ソラは前を見る。


「銀河中心。」


「あなたが宇宙の終わりを決める場所なら。」


拳を握る。


「私たちは、ここで続きを選ぶ。」


COSMOSが踏み出した。


ブラックホール群の重力を越え。


白い防衛機構へ向かって。


その瞬間。


白い構造体の核が光る。


そして初めて、声が響いた。


《なぜ抗う》


《終焉は救済である》


《次の宇宙は、すでに準備されている》


ソラは静かに答えた。


「知ってる。」


「でも。」


COSMOSの目が青く輝く。


「次じゃなくて。」


「今を選ぶ。」


白と青。


銀河中心で、二つの意志が向かい合う。


終わりを受け入れる存在。


終わりを越えようとする存在。


人類はついに。


銀河の心臓へ辿り着いた。


そして、その中心で。


宇宙そのものの意思と対話を始める。

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