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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第59話「惑星防衛線」

銀河各地で、惑星が狙われ始めた。


恒星ではない。

艦隊でもない。

防衛拠点でもない。


人が住む星。


VOID ARCHITECTは、人類の防衛線ではなく、人類の暮らしそのものを削りにきた。


火星圏。


赤い大地の上空に、黒い亀裂が開く。


SPICA部隊が飛び上がる。


「民間区画へは行かせるな!」


青い量産機が黒いヴォイドへ突撃する。


木星圏。


巨大な軌道都市群が、重力津波に揺れる。


GF-07 ZEUSが砲身を展開する。


「木星の重力を借りる。」


光の砲撃が、襲来するタイタン級を貫いた。


土星リング。


避難船団を守るように、GF-08 CRONUSが立つ。


無数の氷塊が砕け、黒い波が迫る。


「ここは通さない。」


巨大な重力盾が、惑星ごと包み込む。


銀河外縁。


司令艦アルゴスでは、救援要請が途切れなかった。


「第六植民惑星、防衛線崩壊寸前!」


「外縁農業星系、敵侵入!」


「民間船団、避難完了率四十二パーセント!」


司令官は拳を握った。


「全戦力を惑星防衛へ回せ。」


オペレーターが叫ぶ。


「前線が薄くなります!」


「構わん。」


司令官は静かに言った。


「星を守れない軍に、前線を守る意味はない。」


VOID ARCHITECT内部。


COSMOSは中枢へ進んでいた。


だが、ソラは銀河各地の悲鳴を感じていた。


火星。

木星。

土星。

外縁植民地。

名前も知らない惑星。


すべてが、細い重力線で繋がっている。


「……みんな、戦ってる。」


レイが言う。


「戻るか。」


ソラは首を振った。


「戻ったら、本体を止められない。」


少し沈黙する。


「でも、見捨てない。」


ソラはCOSMOSの胸に手を当てる。


NOVA核が青く光る。


「銀河リンク、もっと広げる。」


ミナトが叫ぶ。


「これ以上は危険だ!防衛星系全部と接続したら、情報量で意識が潰れる!」


ソラは笑った。


「大丈夫。」


「一人で受けない。」


銀河全域。


SPICA部隊、新世代GF、艦隊重力炉、惑星防衛シールド。


そのすべてがCOSMOSと接続される。


ソラは命令しない。


ただ、繋ぐ。


各地の意思を、各地へ返す。


火星のSPICAが、木星のZEUSの重力補助を受ける。


土星のCRONUSが、外縁艦隊の観測データを使う。


MNEMOSYNEが消えかけた都市の記録を固定する。


星々は孤立していなかった。


銀河全体が、一つの防衛線になっていく。


ソラが叫ぶ。


「惑星防衛線、展開!」


青い光が銀河各地で立ち上がる。


それは巨大な盾ではない。


無数の小さな盾。


暮らしを守るための光。


VOID ARCHITECTの侵食波が、それらに衝突する。


一部は砕ける。


守りきれない場所もある。


だが、消えかけた都市が戻る。


避難船が間に合う。


誰かの名前が、記録から消えずに残る。


ソラは涙をこらえた。


「よかった……」


レイが静かに言う。


「まだ終わっていない。」


その通りだった。


VOID ARCHITECTの内部が、さらに深く開く。


COSMOSの前に、巨大な構造が現れる。


それは心臓のように脈動していた。


創造主の中枢へ続く、最後の隔壁。


DENEBが告げる。


「中枢隔壁、確認。」


「突破すれば、本体核へ到達できます。」


ミナトが言う。


「でも外の惑星防衛線は長く持たない。」


ソラは前を見る。


「じゃあ、早く終わらせる。」


外では人類が星を守っている。


内ではCOSMOSが創造主の心臓へ迫っている。


どちらか一方では足りない。


両方で、宇宙を支える。


ソラは操縦桿を握った。


「行くよ。」


「みんなが守ってる間に、私たちが終わらせる。」


COSMOSが中枢隔壁へ拳を向ける。


青い光が収束する。


銀河中の惑星防衛線が、それに呼応して瞬いた。


人類は、宇宙を守る前に。


まず、自分たちの星を守ることを選んだ。


その選択こそが、VOID ARCHITECTには理解できない力だった。

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