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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第33話「宇宙ログ」

NOVAの中で、何かが開いた。


それは記録媒体ではなかった。

映像でも、文字でもない。


もっと根本的なもの。


宇宙そのものに刻まれた記憶。


ソラの視界が白く染まる。


次に見えたのは、星のない世界だった。


始まりの前。


まだ光も、時間も、距離も存在しない場所。


そこに――


小さな揺らぎが生まれる。


一点。


それが膨張する。


爆発ではない。


誕生。


宇宙が生まれる瞬間だった。


ソラは息を呑む。


「……ビッグバン。」


だが、その宇宙は一つではなかった。


次々と生まれ、次々と終わる。


無数の宇宙。


無数の歴史。


そして、そのすべてに共通して現れる存在があった。


VOID ARCHITECT


宇宙を終わらせる者。


宇宙を作り直す者。


そして、宇宙が暴走しないよう管理する者。


ソラは理解する。


ヴォイドスウォームは尖兵に過ぎない。


シンギュラリティ級も、上位端末に過ぎない。


本当の敵は、宇宙の外側から全宇宙を管理する存在。


宇宙創造生命体。


VOID ARCHITECT。


記録がさらに流れ込む。


前宇宙の文明。


星を動かし、銀河を設計し、ついには宇宙の終焉に抗った者たち。


彼らは最後に、一つの計画を残した。


《継承計画》


次の宇宙に、抗う意志を残す。


宇宙が終わるたびに、すべてが消えるのなら。


消えないものを作ればいい。


それが――


人類。


ソラは震える声で呟く。


「私たちは……」


「宇宙を越えて残された種?」


そのとき、ログの奥に巨大な影が現れる。


前宇宙の最終兵器。


人型の重力構造体。


NOVAの原型。


その名は――


ORIGIN FRAME


《ORIGIN FRAMEは完成しなかった》


《だが、その核は次宇宙へ送られた》


《核の名は――NOVA》


ソラの胸が熱くなる。


NOVAは人類が作っただけの機体ではない。


前宇宙から託された、未完成の答えだった。


ログは最後に、ひとつの警告を示す。


《VOID ARCHITECTは観測した》


《継承者は確認された》


《最終修正が開始される》


現実へ戻る。


NOVAのコクピット。


警報が鳴り響いていた。


DENEBの声が飛ぶ。


「敵反応、多数!」


「銀河外縁からヴォイド群接近!」


レイが言う。


「ソラ、何を見た。」


ソラは少し黙った。


そして言った。


「全部。」


短い言葉。


だが重い。


「ヴォイドの本体が分かった。」


司令官が通信に入る。


「本体?」


ソラは前を見る。


宇宙の奥。


そこから、無数の黒い影が近づいてくる。


「VOID ARCHITECT。」


「宇宙を作り直す存在。」


沈黙。


ソラは続ける。


「そしてたぶん、向こうも私たちに気づいた。」


古代リングが崩壊を始める。


役目を終えたように。


その中心で、NOVAが青く輝く。


以前より深く。


以前より静かに。


レイが言う。


「戦うのか。」


ソラは笑った。


「うん。」


「でも、ただ倒すだけじゃダメ。」


視線を上げる。


「宇宙の仕組みごと、越えなきゃいけない。」


遠方で、ヴォイドの群れが広がる。


その数は数えきれない。


艦隊でも、部隊でもない。


銀河規模の掃討戦力。


司令官が命令する。


「全艦隊へ通達。」


「これより銀河防衛機構は、最高戦闘態勢へ移行する。」


ソラはNOVAの操縦桿を握った。


だがその手は、震えていなかった。


「NOVA。」


「行こう。」


青い光が答える。


人類は、ようやく知った。


自分たちがなぜ生まれたのか。


何と戦うために存在するのか。


そして。


何を越えるべきなのかを。


宇宙ログは開かれた。


もう後戻りはできない。

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