表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トップを越えろ!2  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/25

第22話「重力の対話」

静寂。


それは“終わり”の静けさではなかった。


“理解の始まり”の静寂。


シンギュラリティ級内部。


崩壊しかけていた空間は、今、奇妙な安定を見せていた。


重力の流れが整い、歪んでいた構造がゆっくりと再構築されていく。


その中心で。


ソラは“それ”に触れていた。


直接ではない。


だが確かに――


繋がっている。


「……聞こえる?」


ソラが静かに言う。


言葉ではない。


重力の揺らぎとして、意思を送る。


返ってくる。


ゆっくりと。


――観測。


――解析。


――対話開始。


ソラは少し笑った。


「やっと話せるね。」


外部。


GF部隊は異様な光景を見ていた。


シンギュラリティ級の崩壊が止まっている。


いや、むしろ安定している。


DENEBが困惑する。


「これ……どういう状態?」


ORIONが低く言う。


「戦闘ではない。」


レイが静かに答える。


「……対話だ。」


内部。


ソラの周囲で、重力が穏やかに流れている。


さっきまでの圧倒的な圧力は消えていた。


代わりにあるのは――


観測されている感覚。


“それ”がソラを理解しようとしている。


――個体。


――異常。


――例外。


――なぜ存在する。


ソラは答える。


「人間だから。」


一瞬の沈黙。


――定義不明。


ソラは少し考える。


「えーとね。」


「簡単に言うと。」


笑う。


「無駄がある存在。」


重力がわずかに揺れる。


理解できない。


当然だ。


ソラは続ける。


「でもさ。」


「無駄って、悪いことじゃないんだよ。」


“それ”が反応する。


――非効率。


――不要。


――削除対象。


ソラは首を振る。


「違う違う。」


「無駄があるから、変われる。」


少し間。


「予定通りにいかないから。」


「新しいことが起きる。」


重力が静かに波打つ。


“それ”は処理している。


理解しようとしている。


ソラはゆっくり手を伸ばす。


「触っていい?」


返事はない。


だが拒絶もない。


そっと重ねる。


その瞬間。


膨大な情報が流れ込む。


宇宙の構造。


時間の流れ。


過去の宇宙。


そして――


何度も繰り返された終焉。


ソラの目が見開かれる。


「……こんなに。」


何度も宇宙は終わり。


何度も始まっている。


“それ”は、その管理者。


失敗しないために。


効率的に。


確実に。


すべてを終わらせる。


ソラは静かに言った。


「でもさ。」


「それ、つまらなくない?」


重力が揺れる。


――意味不明。


ソラは笑う。


「だって同じこと繰り返してるだけじゃん。」


「ちょっとくらい違う方が面白いよ。」


沈黙。


“それ”にとって“面白い”という概念はない。


だが。


ソラの存在そのものが、矛盾だった。


外部。


DENEBが叫ぶ。


「内部反応、安定してる!」


「むしろ……弱体化?」


レイが呟く。


「……説得しているのか。」


内部。


ソラはゆっくり言う。


「終わらせるの、やめない?」


強い言葉。


だが、声は穏やか。


「この宇宙、まだいけるよ。」


“それ”は答える。


――不確定。


――リスク増大。


――失敗可能性。


ソラはうなずく。


「うん。」


「失敗するかもね。」


でも。


笑う。


「それでもいいじゃん。」


一瞬の沈黙。


“それ”は初めて迷う。


完全な論理では処理できない。


未知。


例外。


可能性。


そのとき。


さらに奥。


より深い層から。


強烈な“圧”が発生する。


ソラの表情が変わる。


「……来た。」


“それ”も反応する。


――上位権限。


――介入。


――強制終了。


外部。


司令室が震える。


「新たな重力反応!」


「さっきの比じゃない!!」


レイが叫ぶ。


「ソラ!」


内部。


空間が裂ける。


そこから現れる。


今までとは次元の違う存在。


それは――


意思ではない。


法則そのもの。


ソラが呟く。


「……これが。」


「本当の本体。」


“それ”が後退する。


明確に。


恐れている。


ソラは前を見る。


笑った。


「いいよ。」


「来なよ。」


操縦桿を握る。


NOVAが再び輝く。


「ここからが本番だ。」


宇宙のさらに上位。


“設計者”との戦いが始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ