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初恋は、十年越しに花開く。  作者: こよみん


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第5期 第6話 「小さなベビー服」

挿絵(By みてみん)


七月。


朝から青空が広がる休日。


リビングのテーブルには、小さな段ボール箱が置かれていた。


「開けようか。」


ユウキがカッターを手に取る。


「うん。」


マミは少しわくわくした表情で頷いた。


送り主は、両家の祖父母たち。


昨日届いたばかりの荷物だった。


箱を開ける。


一番上には、一通の手紙。


『生まれてくるひ孫へ。』


『元気に会える日を楽しみにしています。』


『じいじ、ばあばより。』


「みんな楽しみにしてくれてるね。」


マミが微笑む。


「うん。」


ユウキも優しく頷いた。


手紙の下には、小さなベビー服が丁寧にたたまれていた。


淡いピンク色のロンパース。


白い靴下。


小さな帽子。


「小さい……。」


マミは思わず両手で服を持ち上げる。


「こんなに小さい子が。」


「この服を着るんだね。」


ユウキも服を手に取る。


「俺の手のひらくらいしかない。」


「本当に。」


二人は顔を見合わせて笑った。


「今日。」


ユウキが言う。


「ベビー用品も見に行こう。」


「いいの?」


「もちろん。」


「娘を迎える準備だ。」


マミは嬉しそうに頷いた。


午後。


ベビー用品店。


店内には、ベビーカーやベビーベッド、おもちゃが並んでいた。


「すごい。」


「全部かわいく見える。」


マミは目を輝かせる。


「まずは必要なものから。」


ユウキはスマートフォンのチェックリストを開いた。


「ベビーベッド。」


「チャイルドシート。」


「ベビーバス。」


「肌着。」


「おむつ。」


「結構あるね。」


「営業の準備より多い。」


「また仕事に例える。」


「癖です。」


二人は笑い合った。


ベビーベッド売り場。


木のぬくもりを感じるデザインが並んでいる。


「これ。」


マミが一つを指差す。


シンプルなナチュラルカラー。


「家にも合いそう。」


「俺も好き。」


店員が説明してくれる。


「高さも調整できます。」


「長くお使いいただけますよ。」


二人は顔を見合わせる。


「これにしよう。」


意見はすぐに一致した。


次は、小さな肌着。


「これも必要なんだ。」


「知らなかった。」


マミが一枚ずつ選んでいく。


「この柄かわいい。」


小さな桜の模様。


ユウキは笑った。


「花園高校っぽい。」


「ほんとだ。」


「じゃあ。」


「一枚だけ。」


二人はその肌着を買い物かごへ入れた。


レジへ向かう途中。


小さなぬいぐるみが目に入る。


白いうさぎ。


「かわいい。」


マミが足を止める。


「買う?」


「まだ早いかな。」


「記念に。」


ユウキはぬいぐるみを手に取る。


「娘への。」


「初めてのプレゼント。」


マミは優しく笑った。


「ありがとう。」


「きっと。」


「気に入ってくれる。」


夕方。


家へ帰る。


届いたばかりのベビーベッドを組み立てる。


「説明書。」


「俺読む。」


「私はネジ持つ。」


二人で協力しながら少しずつ完成させる。


「できた!」


リビングの隣の部屋。


窓際に置かれたベビーベッド。


まだ誰も眠っていない。


それでも。


その場所だけが、未来を待っているようだった。


マミはベッドの柵を優しくなでる。


「ここで。」


「眠るんだね。」


ユウキも隣に立つ。


「泣いたり。」


「笑ったり。」


「きっと。」


「毎日が賑やかになる。」


「楽しみ。」


二人はベッドを見つめながら微笑んだ。


夜。


寝室。


マミは少しだけお腹が大きくなってきたことを実感していた。


「最近。」


「よく動くの。」


「本当?」


ユウキはそっとお腹に手を添える。


しばらくすると。


トン。


小さな動きが手のひらに伝わった。


「……!」


「今。」


「動いた!」


ユウキは驚きと喜びで目を見開く。


「これが胎動。」


マミは嬉しそうに笑った。


「こんにちは。」


ユウキはお腹に向かって小さく話しかける。


「お父さんだよ。」


「会える日を楽しみにしてる。」


その瞬間。


もう一度、小さく動いた。


まるで返事をしてくれたようだった。


数日後。


会社から帰宅したユウキがリビングへ入ると、テーブルの上には一冊の本が置かれていた。


タイトルは――


『はじめての育児』


マミが少し照れながら言う。


「一緒に勉強しよう。」


ユウキは本を手に取り、笑顔で頷いた。


「娘のためなら。」


「何でも覚える。」


二人は肩を並べ、本を開いた。


親になる準備もまた、二人で歩む大切な時間だった。


――第7話「はじめてのお父さん、お母さん教室」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」



そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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