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初恋は、十年越しに花開く。  作者: こよみん


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第4期 第10話 「ありがとう、そしてこれからも」

挿絵(By みてみん)


チャペルでの挙式を終えた二人は、ガーデンへと続く扉をくぐった。


夏の青空の下。


祝福の拍手が鳴り止まない。


「おめでとう!」


「幸せになれよ!」


高校時代の友人たちが笑顔で手を振る。


野球部の仲間たちも、口々に祝福の言葉を送っていた。


ユウキとマミは何度も「ありがとう」と頭を下げる。


披露宴会場。


木の温もりを感じる明るいホールには、笑顔があふれていた。


新郎新婦入場。


大きな拍手の中、二人はゆっくりと歩く。


席に着くと、司会者が穏やかな声で話し始めた。


「本日は、お二人の新たな門出を祝うため、多くの皆様にお集まりいただきました。」


会場は温かな空気に包まれていた。


乾杯のあと、歓談が始まる。


友人たちが次々とテーブルへやってくる。


「ユウキ!」


「タキシード似合ってるぞ!」


「マミさん、本当にきれい!」


写真を撮りながら、高校時代の思い出話で盛り上がる。


「文化祭の日、覚えてる?」


「あの日から全部始まったんだよな。」


笑い声が絶えなかった。


やがて司会者が告げる。


「それでは、新郎新婦の恩師、佐伯先生よりご祝辞をいただきます。」


会場が静かになる。


佐伯先生はゆっくりとマイクの前に立った。


少しだけ深呼吸をしてから話し始める。


「私は二人が高校一年生の時、数学を担当していました。」


会場から小さな笑いが起こる。


「当時の二人は。」


「授業中によく話していました。」


ユウキは苦笑し、マミは顔を赤くする。


「ある日。」


「私は思わず言いました。」


『二人は、お似合いですね。』


会場が優しい笑いに包まれる。


先生は少し声を詰まらせた。


「その時は、まさか。」


「本当に夫婦になるとは思っていませんでした。」


少し間を置いて続ける。


「でも。」


「二人は遠回りをしました。」


「すれ違いもありました。」


「それでも。」


「相手を責めるのではなく、相手を思い続けた。」


「だから今日という日があります。」


先生は二人を見つめる。


「これから先も。」


「数学の答えのように一つではありません。」


「人生には、いろいろな選択があります。」


「その時は。」


「今日と同じように。」


「二人で話し合い、二人で答えを作ってください。」


「それが。」


「夫婦です。」


会場から大きな拍手が起こった。


続いて友人代表のスピーチ。


マユがマイクを握る。


「今日は。」


「親友として。」


「少しだけ昔の話をします。」


会場は静かに耳を傾ける。


「高校一年生のマミは。」


「毎日のようにユウキくんの話をしていました。」


マミは思わず顔を隠した。


「そして。」


「ユウキくんも。」


「本人は隠しているつもりでしたが。」


「見ている人には分かるくらい、マミのことを大切に思っていました。」


会場から笑いが起きる。


「だから私は。」


「今日という日が来ることを、ずっと楽しみにしていました。」


マユは涙をぬぐいながら微笑む。


「二人とも。」


「本当に、おめでとう。」


マミも涙を流しながら頷いた。


披露宴も終盤。


司会者が静かに告げる。


「新婦より、ご両親へのお手紙です。」


マミは一通の手紙を開く。


震える声で読み始める。


「お父さん、お母さん。」


「今日まで育ててくれて、本当にありがとう。」


幼い頃の思い出。


反抗期。


社会人になってからのこと。


そして、ユウキと出会えたこと。


感謝の言葉を、一つひとつ丁寧に伝えていく。


読み終える頃には、会場中が涙に包まれていた。


両親も静かに涙を流しながら拍手を送る。


最後に、新郎挨拶。


ユウキはマイクを握る。


「本日は、お忙しい中お集まりいただき、本当にありがとうございました。」


一人ひとりの顔を見渡す。


「高校一年生の春。」


「僕たちは同じ教室で出会いました。」


「その時は。」


「今日という未来を想像できませんでした。」


少し笑う。


「でも。」


「たくさんの人に支えられ。」


「遠回りをしながら。」


「今日、この日を迎えることができました。」


「これからは夫婦として。」


「皆さまへの感謝を忘れず、一歩ずつ歩んでいきます。」


深く頭を下げた。


会場から、今日一番大きな拍手が送られた。


披露宴のあと。


夕暮れのガーデン。


ゲストを見送った二人は、チャペルを振り返る。


「終わったね。」


マミが静かに言う。


「うん。」


ユウキは微笑む。


「高校一年生の俺に言ってあげたい。」


「何て?」


「『勇気を出せなくても大丈夫。』」


「『ちゃんと未来で幸せになってる。』」


マミは笑いながら涙をぬぐった。


「私も。」


「『その恋は、ちゃんと実るよ。』って。」


夜。


新居へ帰る。


玄関を開ける。


「ただいま。」


マミが言う。


ユウキは笑顔で答える。


「おかえり。」


夫婦になって初めて交わす、その言葉。


何も変わらない。


でも、その一言が今まで以上に温かかった。


リビングの棚には、高校時代のクラス写真と、今日撮った結婚式の写真が並んでいた。


始まりと、新しい始まり。


二枚の写真は、まるで二人の人生を優しく見守っているようだった。


ユウキはマミの手をそっと握る。


「これからも。」


「よろしく。」


マミは穏やかに微笑む。


「こちらこそ。」


「ずっと。」


二人は窓の外に広がる夜空を見上げた。


これから先も、嬉しいことも、悲しいこともあるだろう。


それでも。


二人なら、きっと大丈夫。


高校一年生の春に始まった初恋は、夫婦として歩む新しい人生へと続いていく。


――第4期 前半 完――

第4期後半では、新婚旅行、新婚生活、そして「家族になる」という新たなテーマが描かれ、物語は第5期へ向けて穏やかに、そして温かく進んでいきます。

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