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初恋は、十年越しに花開く。  作者: こよみん


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第4期 第2話 「家族になる日へ」

挿絵(By みてみん)


日曜日。


春の柔らかな陽射しが街を包んでいた。


今日は、ユウキとマミにとって少し緊張する一日。


両家の顔合わせの日だった。


待ち合わせは、落ち着いた雰囲気の日本料理店。


「緊張する?」


店の前でユウキが尋ねる。


マミは小さく笑った。


「すごく。」


「営業のプレゼンより?」


「今日は比べものにならない。」


「俺も。」


二人は顔を見合わせて笑う。


その笑顔のおかげで、少しだけ緊張が和らいだ。


個室の扉を開ける。


「失礼します。」


「こんにちは。」


ユウキの両親が立ち上がる。


「久しぶり、マミちゃん。」


「お久しぶりです。」


少し遅れて、マミの両親も到着した。


「初めまして。」


「ユウキの父です。」


「こちらこそ。」


「マミの父です。」


最初は少しぎこちない空気だった。


料理が運ばれてくる。


季節の前菜。


お刺身。


炊き合わせ。


話題は自然と二人のことになった。


「文化祭で再会したんですよね。」


マミの母が微笑む。


「はい。」


ユウキが頷く。


「高校の頃は、お互い好きだったんですが。」


「付き合えなくて。」


ユウキの母が笑う。


「聞いた時は、青春だなぁって思ったわ。」


「本当に。」


マミの父も穏やかに笑った。


「遠回りしたからこそ、今があるんでしょうね。」


「実は。」


ユウキの父が口を開く。


「初めてマミさんに会った日。」


「この子、本当に幸せそうな顔をしていたんです。」


ユウキは少し照れくさそうに笑う。


「そんな顔してた?」


「してた。」


母も頷く。


「学生の頃の写真とは全然違ったもの。」


「へぇ。」


マミが嬉しそうにユウキを見る。


「知らなかった。」


「俺も知らなかった。」


今度はマミの母が笑顔で話し始める。


「マミもね。」


「シンガポールに行ってる間。」


「毎日ユウキくんの話をしてたの。」


「お母さん!」


「『今日はこんなことがあったよ』って。」


「『早く帰りたいな』って。」


マミは恥ずかしそうに俯いた。


ユウキは優しく微笑む。


「ありがとう。」


その一言だけで十分だった。


食事も終盤。


マミの父が静かに湯のみを置いた。


「ユウキくん。」


「はい。」


「娘をよろしくお願いします。」


その言葉に、部屋の空気が少しだけ引き締まる。


ユウキはまっすぐ父の目を見て答えた。


「はい。」


「必ず幸せにします。」


少し間を置いて続ける。


「でも。」


「僕一人ではなく。」


「二人で幸せになります。」


マミは隣で嬉しそうに笑った。


両親も穏やかに頷いていた。


食事を終え、店を出る。


桜並木を六人でゆっくり歩く。


「結婚式、楽しみね。」


ユウキの母が言う。


「まだ何も決めてないんです。」


マミが笑う。


「これから少しずつ。」


「二人らしい式にしたらいい。」


マミの母も優しく微笑んだ。


駅前で両親と別れる。


「今日はありがとう。」


「また連絡するね。」


「体に気を付けて。」


それぞれが手を振る。


少しずつ。


二人だけではなく、家族同士の距離も近づいていた。


帰り道。


夕暮れの公園。


ベンチに並んで座る。


「終わったね。」


「うん。」


「どうだった?」


マミが聞く。


「安心した。」


「俺も。」


「家族になれるんだなって。」


マミは静かに頷く。


「私も。」


少し沈黙が流れる。


風で桜の花びらが舞う。


「ねぇ。」


マミが小さく言う。


「結婚式。」


「高校の先生も呼びたい。」


「佐伯先生?」


「うん。」


「数学の先生。」


ユウキは笑った。


「絶対泣くぞ。」


「先生が?」


「いや。」


「俺。」


「え?」


「『お似合いですね』って言われた教室から。」


「ここまで来たんだなって。」


マミの目にも、少し涙が浮かぶ。


「私も。」


「きっと泣いちゃう。」


二人は顔を見合わせて微笑んだ。


その夜。


リビングのテーブルには、一冊の結婚式場のパンフレット。


「来週。」


「見学予約したよ。」


ユウキが言う。


「本当に?」


「うん。」


「チャペル。」


「ガーデン。」


「ホテル。」


「三つ見に行こう。」


マミは嬉しそうにパンフレットを抱きしめた。


「楽しみ。」


結婚が、少しずつ現実になっていく。


その幸せをかみしめながら、二人は未来へのページをまた一枚めくる。


そして翌週。


運命の式場見学で、二人は「ここしかない」と思える場所に出会うことになる。


――第3話「運命のチャペル」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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