↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/28

第2期 第11話 「一周年のサプライズ」

挿絵(By みてみん)


九月。


空は高く澄み、夏の暑さも少しずつ和らいでいた。


今日は、ユウキとマミが付き合って一年になる記念日。


一年前。


高校の近くの公園で、お互いの初恋に答えを出した日だった。


東京。


朝七時。


ユウキはいつもより早く目を覚ました。


ベッドの横には、小さな紙袋。


その中には、何日もかけて選んだプレゼントが入っている。


(喜んでくれるかな。)


少し緊張しながら笑う。


今日は仕事を定時で終え、大阪へ向かう予定だった。


もちろん、そのことはマミには秘密。


「サプライズだからな。」


その頃、大阪。


マミも鏡の前で髪を整えていた。


机の上には、きれいにラッピングされた箱。


「これなら……。」


箱の中には、ユウキが以前から欲しいと言っていた革の名刺入れ。


営業の主任になった記念も兼ねて選んだ。


そして。


「今日は驚くだろうな。」


マミもまた、東京へ向かう新幹線を予約していた。


もちろん、ユウキには内緒だった。


夕方。


東京駅。


ユウキは大阪行きの新幹線に乗ろうとしていた。


一方その頃。


新大阪駅。


マミは東京行きの新幹線に乗っていた。


お互いが、お互いに会いに行こうとしていることなど知らずに。


午後六時。


二人は同時にメッセージを送る。


ユウキ

『今日、仕事長引きそう。ごめんね。』


マミ

『私も少し忙しくなりそう。』


どちらもサプライズのための小さな嘘だった。


午後八時。


東京駅。


新幹線を降りたマミは、スマートフォンを取り出す。


「え?」


ユウキから位置情報が共有されている。


場所は――


新大阪駅。


「えぇ!?」


その瞬間。


ユウキも大阪でスマホを見て固まっていた。


マミの位置情報。


表示されているのは――


東京駅。


数秒の沈黙。


そして。


二人は同時に電話をかけた。


「もしもし!?」


「ユウキ!?」


「え、東京?」


「え、大阪?」


「……。」


「……。」


次の瞬間。


二人とも大笑いした。


「何やってるの、私たち!」


「サプライズ失敗だ!」


笑いが止まらない。


駅のホームで、周りの人が不思議そうにこちらを見るほどだった。


「どうする?」


マミが笑いながら聞く。


「せっかく会いに来たのに。」


ユウキは少し考える。


そして。


「戻ろう。」


「え?」


「途中で会おう。」


「途中?」


「名古屋。」


マミの表情がぱっと明るくなる。


「ちょうど真ん中!」


「決まり。」


二人はすぐに次の新幹線を予約した。


午後十時。


名古屋駅。


改札を出ると。


「あ!」


「あっ!」


また同時だった。


一年前、文化祭で再会した時と同じ。


「あ!」


その一言で笑ってしまう。


「本当に私たちらしい。」


「計画性ないな。」


「でも。」


「会えた。」


「うん。」


それだけで十分だった。


駅近くのホテルラウンジ。


遅い時間だったが、記念日を祝うために小さなケーキを注文する。


「乾杯。」


「付き合って一年。」


「おめでとう。」


グラスを軽く合わせる。


「プレゼント。」


「え?」


二人は同時に紙袋を差し出した。


「えぇ!」


また同じタイミング。


「また一緒!」


笑いが止まらない。


ユウキからのプレゼントは、小さなネックレス。


シンプルで仕事の日でも身につけられるデザインだった。


「かわいい……。」


「ありがとう。」


マミはその場で身につける。


一方。


マミからのプレゼントは革の名刺入れ。


「ずっと欲しかった。」


「覚えてた?」


「もちろん。」


ユウキは嬉しそうに名刺を入れてみせた。


「明日から毎日使う。」


ケーキを食べ終えたあと。


窓の外には、名古屋の夜景が広がっていた。


「ねぇ。」


マミが静かに言う。


「一年前。」


「高校の近くの公園で付き合い始めたよね。」


「うん。」


「まさか一年後。」


「名古屋で記念日を迎えてるなんて。」


「しかもサプライズ失敗。」


「大失敗。」


二人はまた笑った。


笑いが落ち着いた頃。


ユウキは真剣な表情になる。


「マミ。」


「ん?」


「この一年。」


「ありがとう。」


「遠距離も。」


「仕事も。」


「全部乗り越えられたのは。」


「マミがいたから。」


マミは優しく微笑む。


「私も。」


「ありがとう。」


「高校生の頃。」


「勇気を出せなかった私たちが。」


「今、こんなに幸せなんだね。」


ユウキは静かに頷く。


「来年も。」


「再来年も。」


「ずっと一緒に祝おう。」


「うん。」


「約束。」


二人は小指を絡め、小さく笑い合った。


しかし、その時。


ユウキのスマホに一本の電話が入る。


画面には――


『母』


という表示。


その一本の電話が、二人の人生をさらに大きく前へ進めるきっかけになるとは、この時はまだ知らなかった。


――第12話「両親に会おう」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。