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第2期 第10話 「それぞれの決断」

挿絵(By みてみん)


八月下旬。


夏の暑さが少しだけ和らぎ始めた頃。


ユウキは東京本社の会議室にいた。


今日は昇進面談の日。


ネクタイを整え、深呼吸をする。


「失礼します。」


ドアを開けると、営業部長と人事部長が席についていた。


「座ってくれ。」


「はい。」


少し緊張しながら椅子に腰を下ろす。


「まずは。」


営業部長が笑顔で口を開く。


「主任昇進、おめでとう。」


「ありがとうございます!」


思わず笑みがこぼれる。


名古屋プロジェクトの成功。


東京本社での実績。


それらが評価され、二十四歳で主任へ昇進することが決まった。


「若手では異例のスピードだ。」


「期待している。」


「はい!」


力強く返事をする。


「もう一つ。」


人事部長が資料をめくる。


「勤務地の希望について聞きたい。」


「東京勤務を続けるか。」


「それとも関西エリアへの異動を希望するか。」


ユウキは少し考える。


頭に浮かぶのはマミの笑顔。


でも同時に、佐伯先生の言葉も思い出す。


『どっちかが我慢するんじゃない。』


『二人で正解を作るんだ。』


ユウキはゆっくり答えた。


「私は。」


「東京勤務を希望します。」


部長たちは静かに頷いた。


「理由は?」


「東京本社には、営業として成長できる環境があります。」


「今はまだ。」


「自分の力をもっと磨きたいです。」


「その上で。」


「将来のことは恋人としっかり話し合って決めます。」


部長は満足そうに微笑んだ。


「いい答えだ。」


その頃、大阪。


マミも人事部へ呼ばれていた。


「マミさん。」


「はい。」


「副リーダー昇格、おめでとう。」


「ありがとうございます!」


「そして。」


「東京本社への異動案は正式に見送る。」


「大阪本社で新チームを任せたい。」


マミは安堵したように笑った。


「頑張ります。」


夜。


午後十時。


いつものビデオ通話。


「お疲れ!」


「お疲れ!」


二人とも、どこか嬉しそうだった。


「先に言って。」


マミが笑う。


「いや。」


「マミから。」


「じゃあ。」


「副リーダーになりました!」


「おめでとう!」


ユウキが拍手する。


「すごいじゃん!」


「ありがとう!」


「ユウキは?」


「主任。」


「えぇ!」


今度はマミが拍手した。


「本当に?」


「うん。」


「やった!」


画面越しなのに、まるで隣にいるように喜び合う。


少し落ち着いた頃。


ユウキが話し始める。


「勤務地の希望も聞かれた。」


「どうしたの?」


「東京を希望した。」


マミは少し驚いた。


「私のこと、考えなかった?」


その質問に、ユウキは優しく笑う。


「もちろん考えた。」


「でも。」


「マミが仕事を頑張ってるのに。」


「俺だけ仕事を変えるのは違うと思った。」


「それに。」


「お互いが納得して決めたい。」


「だから。」


「今は仕事を頑張る。」


「その先で。」


「一緒に住む方法を探そう。」


マミは目を潤ませる。


「私も。」


「同じこと考えてた。」


「大阪に残るって決めた。」


「ユウキに合わせたんじゃない。」


「私自身が、この仕事を続けたいから。」


「うん。」


「だから。」


「その決断を応援してほしい。」


「もちろん。」


しばらく無言になる。


でも気まずくない。


同じ未来を見ている。


そんな安心感があった。


「ねぇ。」


マミが笑う。


「今は離れてても。」


「ちゃんと未来に向かって歩いてる気がする。」


「俺も。」


「焦らなくていい。」


「一歩ずつ。」


「二人のペースで。」


通話を終えたあと。


ユウキは机の上の手帳を開く。


来月の予定。


その中に、赤い丸で囲まれた日があった。


『付き合って一周年』


思わず笑みがこぼれる。


(何か特別な日にしたい。)


一方、マミも同じようにカレンダーを見ていた。


(今年は私からサプライズをしようかな。)


二人とも同じ日に向けて、それぞれ秘密の準備を始めていた。


しかし、その記念日には思いもよらない出来事が待っている。


――第11話「一周年のサプライズ」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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