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第2期 第8話 「二人の夢と、それぞれの夢」

挿絵(By みてみん)


七月。


夏の日差しが街を照らしていた。


ユウキは東京本社で、マミは大阪本社で、それぞれ忙しい日々を送っていた。


遠距離恋愛は終わったものの、東京と大阪。


新幹線で会える距離とはいえ、毎週会えるわけではない。


それでも二人は、お互いの予定を調整しながら月に二回は会うようにしていた。


ある日の夜。


午後十時。


ビデオ通話ではなく、今日は電話だった。


「今日もお疲れ。」


「マミも。」


「最近忙しそう。」


「うん。」


「ユウキもでしょ?」


「実は。」


ユウキは少し笑う。


「主任への昇進候補になった。」


「えっ!」


電話の向こうから明るい声が聞こえる。


「すごい!」


「まだ決まってないけどね。」


「でも嬉しい。」


「絶対なれるよ。」


マミは自分のことのように喜んでくれた。


その声を聞くだけで、ユウキの疲れは吹き飛んでいく。


「実はね。」


今度はマミが少し照れながら話し始めた。


「私も。」


「営業チームの副リーダーに推薦されたの。」


「本当に?」


「うん。」


「まだ正式じゃないけど。」


「おめでとう!」


「ありがとう。」


二人とも笑う。


学生時代は恋愛しか見えていなかった。


今は違う。


仕事も大切。


夢も大切。


そして、その夢を一緒に応援できる相手が隣にいる。


翌週。


大阪。


ユウキは休日を利用してマミに会いに来ていた。


「今日はどこ行く?」


「水族館!」


「珍しいね。」


「夏だから。」


二人は笑いながら館内を歩く。


大きな水槽の前で立ち止まる。


ゆっくり泳ぐ魚たち。


静かな時間。


「落ち着くね。」


「うん。」


「ユウキ。」


「ん?」


「同棲したらさ。」


「うん。」


「こんな休日が毎週になるのかな。」


「そうだね。」


「朝起きて。」


「一緒に朝ご飯食べて。」


「買い物行って。」


「夜は家で映画観たり。」


マミは楽しそうに話す。


その姿を見ているだけで、ユウキも自然と笑顔になる。


「想像するだけで楽しい。」


「俺も。」


イルカショーを見終えたあと。


ベンチに座って休憩する。


「でも。」


ユウキが少し真面目な表情になる。


「一つだけ気になることがある。」


「何?」


「もし同棲するなら。」


「どこに住む?」


マミも少し考え込む。


「大阪?」


「東京?」


「それとも。」


「別の場所?」


二人とも仕事がある。


簡単には決められない問題だった。


「私ね。」


マミが静かに話し始める。


「仕事、大好き。」


「うん。」


「でも。」


「ユウキと一緒にいる未来も大切。」


「俺も。」


「だから。」


「どっちかが我慢するんじゃなくて。」


「二人で納得できる答えを探したい。」


ユウキは力強く頷いた。


「それが一番だ。」


夕方。


海が見える遊歩道。


オレンジ色の夕日が海面に反射していた。


「高校生の頃。」


マミが笑う。


「こんな話するなんて思わなかった。」


「俺も。」


「告白もできなかったのに。」


「そうそう。」


「今じゃ住む場所の相談。」


二人は声を出して笑った。


その時。


ユウキのスマホが鳴る。


会社からだった。


「もしもし。」


「……はい。」


「分かりました。」


電話を切る。


「どうしたの?」


マミが心配そうに聞く。


「来週。」


「正式な昇進面談がある。」


「おお!」


「でも。」


「勤務地の希望も聞かれるらしい。」


「勤務地?」


「東京以外も希望できる。」


その言葉に、マミは目を見開いた。


「じゃあ……。」


「大阪も?」


「可能性はある。」


二人は顔を見合わせる。


未来が少しだけ動き始めた気がした。


帰りの新幹線。


ユウキは窓の外を眺めながら考えていた。


仕事。


昇進。


将来。


そしてマミとの人生。


どれも大切だからこそ、簡単には決められない。


一方、大阪へ戻ったマミも同じことを考えていた。


「一緒に暮らしたい。」


「でも、お互い仕事も諦めたくない。」


二人はまだ答えを出せずにいた。


しかし、その答えを見つけるきっかけは、思いがけない人物との再会によって訪れる。


――第9話「恩師からのアドバイス」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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