表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/25

8.伝説の聖剣、ログイン制限でロックされる

魔王軍を退け、俺たちはついに、選ばれし勇者にしか抜けないと言われる「伝説の聖剣エクスカリバー」が眠る聖域へと辿り着いた。

切り立った岩山の頂上、神秘的な光に包まれた台座に、その剣は深く突き刺さっていた。


「勇者様、ついに……ついにこの時が来ましたぞ。これさえあれば、魔王など恐るるに足りません。さあ、その手で運命を切り拓くのです!」


『……おお、やっとや。第1話からパチンコハンドルとか、ボブの髭とか、雀卓とか……散々な目に遭ってきたけど、ようやくファンタジーの主役になれるんやな。じいさん、見てろよ!』


俺は震える手で、黄金に輝く聖剣のつかを力強く握り締めた。

一気に引き抜こうと腰を入れた、その瞬間。

「ピローン。……顔認証を開始します。カメラを直視してください」


『……しゃべった? 剣がしゃべった今? 演出か? 聖剣の意志的なやつが俺の魂をチェックしとんのか?』


「勇者様、動いてはいけません! 聖域のセキュリティーが作動しております! ほら、柄の宝石のところが赤く光って……!」


剣の柄に埋め込まれた小さなルビーが、まるでスマホのカメラレンズのように怪しく明滅し、俺の顔をスキャンし始めた。

数秒の沈黙の後、剣から無機質な合成音声が響き渡る。

「……照合に失敗しました。登録されている勇者様と、現在の顔の彩度さいどが一致しません」


『顔の彩度で落とすな! 第6話でボブの毒消し飲まされて、顔色が紫色のままやねん! 設定変更しとけよ、臨機応変に認証しろ!』


「勇者様、落ち着いて! 別の認証方法があるはずです。ほら、台座のところに液晶パネルが!」


慌てて足元を見ると、岩の表面に「パスワードを入力してください」の文字。


『伝説の武器にログイン制限かけるな! スマホの機種変か! 勇者の指紋と虹彩こうさいを事前に石板に登録しとけよ! 誰が設定したんや、このセキュリティー!』


俺はヤケクソで、思い当たる数字をパネルに打ち込んだ。……「7777」。

「ブブーッ! 不正なアクセスです。あと1回間違えると、聖剣は24時間ロックされ、初期化されます」


『初期化すな! 伝説の力が工場出荷状態に戻るんか! 切れ味バツグンのただの鉄くずになるやろ! 24時間待ってる間に魔王が攻めてくるわ!』


「勇者様、思い出してください! 『秘密の質問』があるはずです!」


パネルに表示された質問を見て、俺の血の気が引いた。

【質問:あなたが最初にお金を使い果たした競馬場は?】


『質問が個人的すぎるわ! 誰の履歴ログ参照しとんねん! 異世界にカスタマーセンターあるんか! 秘密の質問が「母親の旧姓」とかじゃなくて、俺の「ギャンブルのトラウマ」なのが一番腹立つわ!』


結局、パスワードがわからず、聖剣からは「1分後に自動アップデートを開始します。電源を切らないでください」という無慈悲な宣告が流れた。


『アップデート長すぎやろ! 今からOSの更新か! 抜く前に容量不足でエラー吐きそうやわ!』


「勇者様、これでは使い物になりませんな。……アップデートが終わるまで、そこらへんの落ちてる枝で戦いますかな?」


『木の枝で魔王に挑めるか! 勇者のステータスをクラウド管理すな! 俺を元の世界に即帰そっきさせろ!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ