23.勇者、魔将軍との「打ち上げ(合コン)」の盛り上げ役をさせられる
ボス戦という名の「興行」が終わった直後、俺は魔王城近くの居酒屋「魔界村」の座敷にいた。目の前には、さっきまで死闘(演技)を繰り広げていた魔将軍が、兜を脱いで枝豆をつついている。
「勇者くん、さっきの必殺技、ちょっと当たりが強かったぞ? 次回はもう少し『溜め』を作ってくれないと、こっちのリアクションが映えないだろ」
『……宿敵とジョッキ片手に反省会すんな! 「次回の演出」について枝豆食いながら打ち合わせするような真似すんじゃねえよ! ゼンイチ、お前がセッティングしたこの「打ち上げ」という名の癒着現場、どういうつもりやねん!』
「勇者様、これは期待値の高い『ネットワーキング』です。魔王軍の幹部と懇意になれば、次のダンジョンの通行許可証が安く手に入ります。ほら、魔将軍様がグラス空いてますよ。早く盛り上げてください」
『勇者を「接待要員」にすんな! 伝説の剣を栓抜き代わりに使って、敵の幹部にビール注いで回るような真似すんじゃねえよ! 』
すると、隣の席で聖女セシリアが、魔将軍の側近のデーモンと楽しげに連絡先(念話アドレス)を交換し始めた。
「えぇーっ、デーモン様ぁ、その角超クールですぅ! 今度、二人で魔界のパンケーキ食べに行きませんかぁ? ……あ、勇者様、邪魔しないでくださいねぇ。これ、魔王軍のインフルエンサー枠への『営業』ですからぁ」
『聖女が敵の魔族と「合コン」すんな! 連絡先を交換して、裏でパンケーキの約束取り付けるような真似すんじゃねえよ! ミア、お前も横で「【速報】聖女、魔族と熱愛発覚?」とか言って、身内のスクープを文春砲に売る準備すんな!』
「……Oh、ユーシャ。……俺サマ、ボブ。……魔将軍様ノ、馬ト、意気投合、シタヨ。……二次会、馬房デ、朝マデ、語リ合ウネ」
『ボブ、お前まで「馬のコミュニティ」に完全移籍すんじゃねえよ! 黄金の戦士が、敵の軍馬と馬房で二次会開くような真似すんな!』
結局、俺は深夜まで魔将軍の「魔界の愚痴」に付き合わされた挙句、割り勘どころか「勇者様のおごり」で全額支払わされる羽目になった。
『伝説の武器より「敵への接待費用」の方が大事なんか! 俺を元の世界に即帰させろ!』




