22.ボス戦が「事前告知済み」の公開イベントにされる
ついに魔将軍が守る「断罪の門」に到着した……はずだった。しかし、現場には殺伐とした空気など一切なく、色とりどりの幟と、魔族の親子連れで溢れかえっていた。
「【告知】本日14時〜 勇者vs魔将軍! 豪華景品が当たる勝敗予想クイズも実施中!」
『……ボスの出現場所を「イベント会場」にすんな! 命がけの死闘を「八百長」の台本付き興行に格下げするような真似すんじゃねえよ! ミア、お前、魔王軍の広報担当と裏でどんな打ち合わせ(談合)してんねん!』
「勇者様ぁ、今さら何言ってるんですかぁ? 今、私の水晶配信、同接(同時接続数)が魔界新記録なんですよぉ! ほら、魔将軍さんも『カメラ位置こちらで大丈夫ですか?』って聞いてますよぉ」
『敵のボスに「画角」を気にさせるような真似すんな! 威厳たっぷりに剣を構えてた魔将軍が、スタッフに指示出ししてる裏側を見せるな! 殺気じゃなくて「視聴率」を気にしてるボスなんて、誰が本気で倒したいねん!』
そこへ、ゼンイチが魔族のイベント設営業者と見積書をチェックしながら、冷淡に割り込んできた。
「勇者様、今回の興行収入の期待値は過去最高です。……あ、魔将軍様。予定通り『三分間の激闘の末、勇者の必殺技で派手に散る』という演出でお願いします。火薬代(演出費)は中抜きさせていただきますが」
『バトルの「結末」まで事前に中抜きで決めるような真似すんな! 魔法使いの知性を、バトルの演出と裏金の洗浄にだけ使うな! ゼンイチ、お前、火薬代をケチって俺の必殺技を「しょぼいクラッカー」みたいな演出にするつもりやろ!』
「……Oh、ユーシャ。……俺サマ、ボブ。……ココ、屋台、出シタヨ。……『黄金ノ、段ボール焼きそば』、魔族ニ、大人気ネ」
『ボブ、お前はもう「魔族側の業者」として完全に定着してんじゃねえよ! 黄金の戦士が、敵陣のど真ん中で焼きそば焼いて「ナイス商売!」って親指立てるような真似すんな! 伝説の盾役が、今や「鉄板奉行」に成り下がっとるねん!』
結局、俺が魔将軍を倒した瞬間、会場には「おめでとう!」の紙吹雪が舞い、観客の魔族から「いい芝居だったぞ!」と拍手喝采を浴びる羽目になった。
『伝説の武器より「イベントの盛り上がり」の方が大事なんか! 俺を元の世界に即帰させろ!』




