21.勇者パーティ、ボブだけ「駐輪場」で一晩を過ごす
魔王城目前の高級宿屋に到着した。女子二人はクラファンの中抜き資金で「ロイヤルスイート」を即決し、俺はゼンイチの計算で「窓なしシングル」へ。しかし、段ボールを纏ったボブにだけ、フロントのドワーフが冷たく言い放った。
「お客様、当店は『景観保護』の観点から、リサイクルゴミを纏った方の入店はお断りしております」
『……おい! 仲間を「資源ゴミ」扱いすんな! 黄金の戦士を「歩く不燃物」みたいに門前払いするような真似すんじゃねえよ! こいつはただ、女子二人の物欲の犠牲になっただけやろ!』
「勇者様ぁ、そんなに怒らないでくださいよぉ。……ゼンイチさーん、期待値的にはどうなんですかぁ?」
ゼンイチが眼鏡を光らせ、宿泊規約と電卓を見比べながら事務的に答えた。
「はい。ボブさんの宿泊費を浮かせれば、明日のポーション購入費の期待値が最大化されます。ボブさん、今夜は宿の裏の『駐輪場』で、馬車と一緒に待機してください。これ、防犯用の南京錠です」
『仲間を「放置自転車」と同じ扱いにすんな! 南京錠でボブを柱に繋ぎ止めるような真似すんじゃねえよ! ゼンイチ、お前も「期待値」って言葉で、仲間の人権をシュレッダーにかけるような真似すんな!』
見上げると、最上階の窓からセシリアが高級聖水(シャンパン風)のグラスを片手に、スマホ(水晶)を構えていた。
「あーあ、ボブさん、雨が降ってきたら段ボール溶けちゃうから気をつけてくださいねぇ。……はい、窓越しに『格差社会(かーっ!)』。パシャリ。アップ完了ぉ」
『窓から「下界」を見るような目で煽り倒すな! 自分たちが贅沢してる横で、雨に怯えるボブを「映えスポット」扱いすんじゃねえよ! 聖女の慈悲は、スイートルームの空調で全部蒸発したんか!』
「……Oh、ユーシャ。……俺サマ、ボブ。……コノ、駐輪場、意外ト、落チ着クネ。……俺サマ、馬車ノ、馬ト、親友、ナッタヨ」
『ボブ、お前が一番「家畜の生活」に馴染んじゃダメやろ! 伝説の盾役が、馬に慰められて満足するような真似すんじゃねえよ! 尊厳が雨水でふやけとるねん!』
結局、俺はシングルルームの硬いベッドで、外から聞こえる「ボブと馬の会話(鳴き声)」を耳にしながら、一睡もできずに朝を迎える羽目になった。
『伝説の武器より「宿泊予約のランク」の方が大事なんか! 運営、このパーティの階級社会設定、バグりすぎやろ! 俺を元の世界に即帰させろ!』




