18.聖女の蘇生魔法、スパチャが貯まらないと発動しない
魔王軍の不意打ちを食らい、俺のHPは残り1。視界がかすむ中、聖女セシリアが駆け寄ってきた……が、手には聖典ではなく、自撮り棒に固定された水晶が握られていた。
「大変ですぅ! 勇者様が瀕死ですぅ! 皆さん、今すぐ『蘇生カンパ』お願いします! 目標金額まで、あと5万ゴールドですっ!」
『……おい、目の前で死にかけてる仲間を「配信のネタ」にすんな! 祈る前にカメラの角度を調整するな! HP残り1の俺の顔面をドアップで映して「映える絶望顔」とか実況すんじゃねえよ!』
「勇者様ぁ、喋るとHP減っちゃいますよぉ? ほら、今ミアちゃんが『勇者が生き残る確率占い』の限定配信始めて、赤スパ(高額投げ銭)募ってますからぁ!」
『ミア、お前もか! 人の生き死にで「賭博」を開幕すんな! 入金があるまで生存確率を「0%」に固定して、リスナーを煽るような真似すんじゃねえよ!』
そこへ、魔法使いのゼンイチが電卓を叩きながら冷淡に割り込んできた。
「勇者様、ご安心を。現在のスパチャ時給から計算して、あと15分で蘇生費用が貯まります。それまで根性で心臓を動かしておいてください。ちなみに私の『蘇生手数料』として、30%中抜きさせていただきますが」
『蘇生を「時給」で計算すんな! 自分の仲間に「中抜き」の報告を、今このタイミングでするような真似すんなよ!』
「……Oh、ユーシャ。……死ヌナ。……俺サマ、ボブ。……全財産、投ゲルヨ。……黄金ノ、赤スパ、連打スルネ」
『ボブ、お前はもう金ないやろ! 借金してまで「追い課金」すんな! 仲間を救うために破産して、結局パーティ全員で路頭に迷うような真似すんじゃねえがふぅっ』
『あ、くたばりましたね。りざれくしょん~』
ようやく目標金額が貯まり、セシリアがやる気なさげに短い呪文を唱えた。
「……はい、ナイスパ(蘇生)ですぅ。勇者様、生き返った感想をカメラに向かってどうぞぉ!」
『感想もクソもあるか! 生き返った瞬間に「ナイスパ!」って叫ぶ空気、地獄すぎるわ! 伝説の武器より「投げ銭の額」の方が大事なんか! この「命のサブスク」設定、バグりすぎやろ! 俺を元の世界に即帰させろ!』




